映画「戦場にかける橋」のDVDを九月下旬に見ました。
原題は「THE BRIDGE ON THE RIVER KWAI」。第二次世界大戦中に、日本軍に捕らわれた英軍兵士と将校のお話です。
そして監督は、デイヴィッド・リーン。
「アラビアのロレンス」(1962)、「ドクトル・ジバゴ」(1965)を見たので、「戦場にかける橋」(1957)も見てみようと思ったわけです。
映画を見る前は、「戦場にかける橋」は予告ムービーでしか見たことがありませんでした。
そこで流れているBGMはいつもこの音楽。
「サル、ゴリラ、チンパンジー〜♪ サル、ゴリラ、チンパンジー〜♪」
この音楽のせいで、コメディータッチの映画だろうと勝手に想像していました。
しかし、この曲は映画の最初の方で少しだけ出て来るだけで、本編にはほとんど関係がなかったです。
話の内容は、コメディーにはほど遠い、非常に硬いものでした。
それなりに楽しめました。しかしまあ、この監督は、長い作品が好きですね。「アラビアのロレンス」、「ドクトル・ジバゴ」、「戦場にかける橋」全部長編映画です。
長いのは疲れるので、基本的に苦手です。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。最後の方まで書いています)
第二次世界大戦中。日本軍に捕らわれた英軍兵士と将校たちが、捕虜収容所に連れて来られた。
ジャングルの奥深くにあるその場所では、強制労働が行なわれていた。英軍捕虜に課せられた仕事は、鉄道用の橋の敷設。
しかし英軍のニコルソン大佐は、「将校を働かせることはジュネーブ協定に違反するから従えない」と反抗する。
橋の建設は遅れており、収容所の長官の斎藤大佐はどうにかしてニコルソンを従わせようと痛め付ける。
しかし、ニコルソンは連日の拷問にも耐え、自分の主義主張を貫く。
工事の納期はどんどん迫るが橋の建設は全く進まない。斎藤はニコルソンを呼び、将校を働かせるようにと言う。
それに対してニコルソンは、「日本人技師の指揮では工事は上手くいかないだろう。英軍将校に指揮をさせるように」と返す。
いくらかの確執があった末、ニコルソン指揮の下で、橋を作ることが決まる。
工事は急ピッチで進められ、英軍兵士、日本軍兵士は一丸となって働く。
その頃、英軍は、この捕虜収容所から脱走した男から橋の情報を得ていた。そして、橋の爆破のための特殊工作部隊をジャングルに送り込んでいた。
橋を完成させようとする男たちと、橋を爆破しようとする男たち。
二つのドラマが交錯し、そこに人間の複雑な心の機微が浮き上がってくる……。
序盤、ジュネーブ協定を盾にして働くことを拒み続けるニコルソン大佐なのですが、ただのわがまま親父にしか見えません。
宣伝では、「人間の尊厳を守るため」と言っていたのですが、「自分のプライドを守るため」と言い換えた方が適切だなと思いました。
粗筋にも書きましたが、「人間の複雑な心の機微」は、なんとも文章で書き表わし難い機微でした。
「なるほどねえ。こういうのも映画の題材になるのか」と思いました。
個人的には、アレック・ギネスだなあと思いました。
「アラビアのロレンス」のメイキングで、監督が、「アレック・ギネスは俺にとっては、幸運のお守りのようなものなんだよ」と言っていたのがなんとなく分かりました。
これだけの規模の映画を成功に導いた主役だったら、そりゃあ幸運のお守りになるよなと思いました。