映画「ダニー・ザ・ドッグ」のDVDを九月下旬に見ました。
ジェット・リー主演の最近の映画です。新作からはずれて一般作になっていたので、さっそく借りてきました。
最後まで見たあとに知ったのですが、脚本はリュック・ベッソンなのですね。
最近ベッソンが脚本という映画をちらほらと見掛けます。自分で映画を取らなくても、脚本を書いて他人に撮らせる方が面白い年齢になってきたのでしょうか。
「ダニー・ザ・ドッグ」は、小品ながらよくできた映画でした。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。中盤ちょっと過ぎまで書いています)
子供の頃に母親を失ったダニーは、貸し金業の“おじさん”に育てられる。
“おじさん”は、ダニーに首輪を付け、絶対服従を命じている。そしてその首輪が外されたとき、ダニーは凶暴な戦闘マシーンになって“おじさん”の敵を叩きのめす。
ある日、ダニーは“おじさん”との仕事先で、盲目のピアノ調律師に出会う。そして、ピアノの音に異常な関心を示す。
また時を同じくして、ダニーの戦闘マシーンとしての素晴らしさに目を付けた富豪から、ダニーと“おじさん”は地下バトルへと招かれる。
ダニーは圧勝して“おじさん”は大儲けする。その仕事の帰り掛けに、二人が乗った車は事故に遭ってしまう。
辛うじて生き延びたダニーは、ピアノの音を聞いた場所に行き、そこで倒れる。そこにはちょうど、盲目のピアノ調律師が来ていた。
ダニーは盲目のピアノ調律師の家で介抱されて目覚める。そして、調律師と、その娘と、触れ合うことで、徐々に人としての心を取り戻していく。
彼は様々なことを覚え、自我に目覚め、自分の家族についても考え出す。ダニーは首輪の呪縛からも解放され、一人の人間として人生を歩み始める。
しかし、幸福な時間は長く続かなかった。交通事故で死んだと思っていた“おじさん”が実は生きていたのだ。
そして、地下バトルでの大儲けを忘れられず、ダニーを取り戻そうと接近してくる。
その押しに負け、地下バトルに出場するダニー。しかし、自我に目覚めたダニーは自分の過去を調べだす。
そして、“おじさん”と自分、そして母親とピアノの関係を探り始めた彼は、衝撃の事実にたどり着くのだった……。
一番驚いたのは、ジェット・リーが若者役を演じているのですが、ちゃんと若者に見えることです。
ジェット・リーは1963年生まれなので四十三歳ぐらい。でも映画中では十代の若造に見えます。俳優って凄いなと思いました。
あと、盲目のピアノ調律師はモーガン・フリーマンなのですが、やっぱりいいですね、この人は。何をやっても味があるなと思いました。
映画は、アクション映画なのですが、アクション映画にしては非常に丁寧にダニーの心の変化を描いています。
これがマイナスにならず、映画としてのクオリティアップに繋がっているのは作り手の上手さだなと思いました。
普通にやると、冗長になりかねないので。
あと、ラストの解決方法(“おじさん”との対決の締め)は、「そうくるか」と思いました。まあ、あれが正解な気もします。
おかげでダニーの殺伐とした人生が救われていますので。
小品ではあるものの、なかなかよい出来の映画でした。