映画「サマータイムマシン・ブルース」のDVDを十一月中旬に見ました。
酒氏が「通常版と特別版を買ったので、通常版を置いていきます」と言って、私の部屋に置いていったものです。
「二枚も買うほどのできの映画なのか?」と思っていたのですが、見てみたら納得。これはなかなかよくできている。
タイトルの通り、タイムマシン物のコメディーなのですが、基本をきっちりと押さえて、コメディーとして昇華させている。
舞台が大学のSF研というのも相俟って、その手の文化系サークルに所属していたことのある人間はニヤニヤしながら見られる内容になっています。
元々は演劇の作品で、特別版にはそちらの映像も収録されているそうですが、これはその手の人が手元に置いていてもいいタイプの商品だなと思いました。
以下、粗筋です。(序盤から中盤の初めぐらいまで)
片田舎の大学のSF研。彼らはいつもの通り、ぐだぐだの生活を送っていた。
だが、そんな彼らに不幸が訪れる。夏真っ盛りというのに、エアコンのリモコンが壊れたのだ。
エアコンは型が古く、リモコンなしでは動かない。当然リモコンの替えもなし。彼らは悶絶する。
翌日、彼らが部室にやって来ると、部屋の端っこにタイムマシンらしき物が転がっていた。
「なるほど、SF研にタイムマシンっぽいのを置くとは、手の込んだ悪戯だ!」
彼らは大喜びし、部員の一人を乗せ、適当にマシンをいじってレバーを引く。するとそれは本物のタイムマシンだった!
どこに行こうかと必死に考える部員たち。そして、「昨日のリモコンを取りに行こう!」と決め、何人かを送り込む。
彼らは、仲間が戻って来るのを楽しみにして待つ。
だが、SF研の顧問である物理教師に「タイムパラドックスを起こせば、全てが消えてなくなる」と言われて慌てふためく。
「奴らを止めなければ!」
さらに部室には、なぜか未来のSF研の部員もやって来て、話はややこしくなる。
そしてSF研の部員たちは、エアコンのリモコン奪取組と、タイムパラドックスの回避組に分かれ、時間移動の大冒険を行なうのだった……。
序盤は割とゆるい感じの話なのですが、話が転がり始めてからは、カチッ、カチッとネタがきれいにはまっていく様が楽しいです。
そして、タイムマシン物としては、きれいに落ちがつく。
決して新しい概念とか、衝撃の事実などは出てきませんが、既存の方法論をうまくコメディーとして昇華させています。
これはありだなと思いました。
SFの素養がまったくない人には辛いかもしれませんが、少しでもある人ならば、ニヤニヤしながら楽しめる作品です。
見ておいて損はない映画だなと思いました。