映画「プライベート・ライアン」のDVDを十一月下旬に見ました。
原題は「saving private ryan」、スピルバーグ監督に、トム・ハンクス主演の戦争映画です。
感想を一言で言うと「圧倒的だ」です。
物語の筋的には単純極まりないのですが、三時間の長丁場を、あの手この手を使った戦闘シーンで尺を埋め尽くすことで一気に乗り切るという力技の映画です。
本当に凄かったです。なんというか、「戦争シーンを描くための戦争映画だな」と思いました。特に冒頭の上陸シーンは圧巻です。
ライアンの追想から始まる話なので、物語の最後がどうなるのか最初っから分かる映画なのですが、それでも最後まで楽しめました。
しかしまあ、これだけの戦争シーンを撮れる監督はそうはいないなあと思いました。
そして、凄いドライな戦争シーンだなと感じました。
ベトナム系の戦争映画はだいたいウェットなのですが、この映画は舞台が違うことを考えてもなお、ドライな戦争映画です。
質感がドライという以前に、人が死ぬということに対して基本的にドライ。「戦争に参加したんだから、君たちは当然みんな無残に死ぬよね」という、暗い笑いが伝わってくるような気がしました。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。終盤の最初ぐらいまで書いています)
第二次大戦中、軍の上層部はある命令を前線に伝える。それは、ライアンという兵士を救えというものだった。
四人兄弟の末弟であるライアン以外の兄弟は同時期に別の戦場で戦死した。そしてライアンも空挺部隊の一員として敵陣真っ只中に降下して行方不明になっていた。
その救出作戦を命ぜられた主人公は部下たちの質問に毒づく。「これは広報だよ」
その言葉の通り、それは宣伝効果を狙ったもので、一人の命のために他の無数の兵士の命を犠牲にするという作戦だった。
主人公たちは戦場を行軍し、敵陣深くに踏み入り、ライアンに出会う。
だが、ライアンは自分が特別扱いされることをよしとせず、戦場に留まることを主張する。そして彼が守る橋に、敵の軍団が進軍してくるという情報がもたらされた……。
ともかく、戦闘シーンが圧倒的でした。
そして、冒頭の上陸作戦のシーンは、「父親たちの星条旗」に非常に被りました。
ただし、「プライベート・ライアン」の方が、カメラが近いです。「父親たちの星条旗」はもっと引いているシーンが多かったので。
個人的には、戦争映画ごとに、kill/minのグラフを作ってみたいなと思いました。1分以内に、画面内で殺されていると明確に分かる形で、生きている人が死体に変わっていく人数。
二つの映画の冒頭のシーンは、かなり高い数字を叩きだすと思います。
しかしまあ、こういうシーンを見るたびに、兵士の命は本当に使い捨てなんだなと思います。兵士だけは絶対になりたくないです。
というか、戦争には絶対参加したくないです。いざというときのために、英語ぐらいは勉強しておかないといけないなと思います。逃げ出せないとやばいので。
この手の映画ではよくあることなのですが、主人公や準主人公クラス以外の登場人物の見分けが、ほとんど付きません。
なぜならば、全員兵士なので、同じような格好をしているからです。
こういう映画を見るたびに、スターを映画に登場させるのは、興行目的だけでなく、映画を分かりやすくするためにも重要だなと思います。