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2006年12月31日 12:35:47
波止場
 映画「波止場」のDVDを十一月下旬に見ました。

 原題は「ON THE WATERFRONT」。マーロン・ブランド主演で、エリア・カザン監督の作品です。いろいろな本で言及されていたので借りてきて見ました。

 そこそこ面白かったのですが、突き抜けた感じはなかったです。白黒の古い映画ですので、まあこんなものかなと思いました。



 以下、粗筋です。(わずかなネタバレあり。中盤の終わりぐらいまで書いています)

 ニューヨークの波止場。そこでは、労働組合に名前を変えたヤクザ組織が人々の仕事の分配を牛耳っていた。

 そして、ある日、一人の男が殺される。ヤクザに逆らったからだ。

 その妹は犯人を探そうとする。そして、その姿に打たれた神父は、人々に立ち上がるように訴え掛ける。しかし、労働者たちは報復を恐れてなかなか腰を上げようとしない。

 妹は兄の死を調べているうちに一人の男に出会う。ヤクザ組織の中堅幹部の弟の彼は、彼女の幼馴染だった。彼はヤクザ組織に腰を掛けていたが、深く立ち入ってはいなかった。

 男は女に惚れ、次第に二人は引かれあっていく。しかし、ヤクザ組織はその関係を許しはしなかった。男の許に、裁判所からの召喚状が届いたからだ。

 司法の人間たちは、女の兄の死に関して、ヤクザのボスを裁こうとしていた。そこで男が、ヤクザ組織に不利な発言をすれば、ボスは逮捕される可能性がある。

 ボスは、自分の子分である男の兄を差し向け、命懸けの交渉をさせようとする……。



 さて、まずは監督についてです。エリア・カザンの名前は聞いたことがあったのですが、実際に映画を見たのは初めてでした。

 どこで見たかというと、主にマンガ「テレキネシス山手テレビキネマ室」の“崋山”というキャラクターの名前としてです。

□テレキネシス山手テレビキネマ室
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%86%E3%83%AC%E3%82%AD%E3%83%8D%E3%82%B7%E3%82%B9%E5%B1%B1%E6%8...

「崋山はカザンだよな」と前から思っていたので、たぶんそうだと思います。



 DVDにはインタビューも収録されていました。

 そのインタビューを見て、二つ興味深い話がありました。



 一つは、兄弟が車のなかで話をするシーンです。兄は弟をヤクザの側に引きとめようとして、弟は兄によって自分の人生が狂わされたと静かに糾弾します。

 映画を見ているとき、普通に見て流していたのですが、インタビューでは、「このシーンは映画史に残る傑作」として、様々な証言を交えて、このシーンがどうやってできたのかを解説していました。

 そこで自分が見たときの印象を再度思い出してみました。

「……なんか浮いていた」

 この映画全体を流れるテーマは“兄弟の葛藤”ではありません。しかし、このシーンは結構な尺が割かれています。おかげで、なんだかちぐはぐな印象を受けました。

 確かに名演技だとは思いますが、それが全体のなかで美しい調和を保っていなければ、過剰に高い評価を与えるべきではないと思います。

 実際に自分が見て、それほどのシーンだとは感じなかったということもあるのですが、インタビュー内でのこの評価は行き過ぎだと感じました。



 もう一つは、メソード演技について多く触れられていたことです。

 メソード演技はメソッド演技ともいい、役に没入することで、演劇的ではない自然な振る舞いをするという演技手法です。

 私がメソード演技を知ったのは、友人で俳優のryouta氏に教えてもらったからです。

□メソード演技
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%A1%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%89%E6%BC%94%E6%8A%80-%E3%82%A8%E3%...

 実際に本を買って読んだのですが、真っ先に思い浮かべたのは、島崎 譲の「THE STAR」でした。

□島崎 譲 - THE STAR
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4063056775/250-8532157-1081014?ie=UTF8&seller=/cronuscrow...

 役になりきり、真剣を持ってチャンバラとかするマンガです(まあ、だいたい合っているでしょう)。

「波止場」の映画中でも、主人公のマーロン・ブランドは、役になりきり、自由に振る舞い、喋ります。

 その自然な演技がよく出たところが、前述の車のなかの兄弟の会話シーンだったそうです。



 さて、映画自体のことについても少し書こうと思います。

 映画が始まった直後、誰が主人公か明確に示されていなかったので、ちょっと見難かったです。

 序盤は群像劇のように描かれ、主人公が誰だか意図的に説明されません。

 このまま映画が続くと退屈だなと思いましたが、教会に人々が集まって話し合いをするシーンぐらいで誰が主人公だかはっきりと示されるようになり、それ以降見やすくなりました。

 主人公が誰だか明確に描くことは、映画の見やすさにも繋がるのだと、改めて思い知らされました。

 あまり奇をてらったことをすると、「分かり難い」という観客の評価でしっぺ返しを食らうなと感じました。

 中盤以降は、映画の内容も引き締まってきて、快適に見ることができました。

 ただ、全体的にバランス感覚の悪い映画だなと感じました。全体の均整が取れていないという印象です。

 シーンごとの軽重の落差が大きい。

 そこがよいという人もいるのかもしれませんが、私はその点で評価を低くしました。



 最後に、映画を見ていて思ったことを一つ書いておこうと思います。

「きちんと仕事をしている人を見るのは気持ちがいい」ということです。

 この映画の神父は、きちんと仕事をしています。

 宗教というのは、社会においては調整役的存在なのですが、この映画の神父は、自分の骨身を削って、この仕事を全うしようとします。

 こういう、自分の役割をきちんと分かっていて、そのために動いている人を見るのは、気持ちがいいです。

 なかなかそういう人はいないのですが。
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