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2006年12月30日 15:01:33
 映画「武士の一分」を劇場で七日前に見てきました。

 映画館で見た場合は早めに感想を書くようにしているのですが、いろいろあって遅くなってしまいました。

 さて、見た感想ですが、非常によくできていました。

 この映画の特徴は、完成度の高さと平易なことです。

 特に、平易なことは、この映画の大きな特徴になっています。

 話の分かりやすさもそうですし、共感しやすさもそうですし、表現もできるだけ分かりやすくしています。

 また、喜怒哀楽を丁寧に描いたり、四季の移ろいをきちんと入れたり、全てが手堅くできています。

 こういった「平易」にベクトルを持っていき、見る人のハードルを下げながら、高いレベルの作品を作ることは、作り手側に高い実力が要求されます。

 なぜならば、奇手による一発逆転や、搦め手によりマニアを唸らせるといったアイデア勝負ではなく、徹底的な職人芸がないとできないからです。

 そういう意味で、「平易で、高いレベル」という、貫禄の作品になっていました。

 また、それだけでなく、軽妙で喜怒哀楽を共感できる内容に仕上がっています。

 家族で行っても、友人同士で行っても、恋人同士で行っても、「よかったね」と言いながら帰れる安心できる一作です。

 非常によい出来で、とても楽しめる作品でした。



 以下、粗筋です。(ネタバレあり。中盤の終わりぐらいまで書いています)

 江戸時代、藩主の食べ物は、その口に入る前に毒見役が試食することになっていた。その試食は、鬼役(おにやく)と呼ばれる複数の武士たちの役目であった。

 まだ若く新婚である三村は、その役をあまり好んでいなかった。

 毎日、毎日、お膳で運ばれる食べ物を、同僚とともに一口だけ食べる仕事。皆伝まで行った剣術も活かせない。

 そんな彼の夢は、将来剣術道場を開き、子供たちの個性に合わせた剣術を教えることだった。

 ある日、彼はいつものように仕事をしていた。そして、出された赤ツブ貝を食す。

 だが、その日はいつもと違った。三村は嘔吐し、意識不明になる。

「すわ毒か?」騒然とする殿中。しかし、それは季節を外した貝の毒が原因であった。

 一命を取りとめる三村。しかし、目覚めた彼は視力を失っていた。

 剣術道場を開くという夢が破れる三村。そしてそれどころではなく、侍としての仕事もできなくなる。

 彼は死を思い、その心はすさむ。

 そんな三村を、妻の加世と、下男の徳平は必死に看病する。特に、加世は献身的に三村に尽くした。

 その加世に、魔の手が迫る。出世頭の島田という男が、三村のお役がご免にならないように運動してくれるという。しかしその代償として、彼女の体を求めて来た。

 介護の甲斐あり、心身ともに回復する三村。そして仕事も首にならず、「生涯養生すること」と沙汰を受け喜ぶ。

 だが、彼は、島田と加世の一件を知ってしまう。「沙汰を単純に喜んだ自分は、なんと愚かであったか」と自嘲する三村。

 だが、彼は復讐に踏み切れない。しかし、島田が本当に何をしたのかを知り、とうとう立つ決意をする。

 そして、盲目でありながらも敵に勝つように、再び道場に通い、修行に励む。

 だが、島田は、江戸の名流で皆伝まで行った手練だった……。



 個人的に予想外だったのは、木村拓也が非常によい演技をしていたことです。

 どんどん内面や肉体的特徴が変わる役を見事にこなしています。

 最初はちょっと皮肉屋の若い侍で、貝毒に倒れて瀕死の状態になり、視力を失って心がすさみ、そこからの回復、決意、そして盲目での立ち回り……。

 木村拓也ではなく、三村新之丞として素直に楽しめました。

 あと、ラジオで聞いたのですが、木村拓也は剣道をやっていたそうです。なるほど、様になっています。

 やはり、そういう部分は重要だと思いました。



 また、木村拓也だけでなく、登場人物の一人一人が非常に味があってよかったです。

 脇役の何気ない一言に笑わされたり、苦笑させられたり。

 相手の心をぐさりと傷付けるようなことを平気で言って何も気付かない同僚がいるかと思えば、おせっかい過ぎて嫌われるおばさんがいたり。

 単なる「よい話」でなく、清濁ひっくるめて楽しませる余裕の作りになっていました。



 個別の俳優で言えば、徳平役の笹野高史がよかったです。

 主人である三村の先代から仕えていて、下男でありながらも、祖父のような温かい目を持ちつつ、よく愚痴を言うくせに、実は主人のことが好きでたまらない。

 いいキャラだなと思いました。

 また、三村の剣術の師範役の緒形拳もよかったです。

 画面に出て来ただけで、ぐっと引き付けられる。そして、強さと優しさを全身から滲ませる。

 こういった存在感のある俳優はよいですね。

 あと、どうでもよいですが、ヒロインの壇れいの顎が割れていたのが気になりました。吉田戦車のイギリス人の話を思い出しました。

 いや、まあ、これはどうでもよい話なのですが。



 映画は、邦画なのに、上映中ずっと字幕が流れていました。

 最初は字幕を出す意味が分からなかったのですが、効果音の解説などが出てきてようやく意味が分かりました。これは、聴覚障害者用の字幕だと。

 視覚障害者を扱った映画なので、そういった障害を持った人が楽しめるようにとの配慮だったようです。

 映画によって、こういった試みもありだなと思いました。
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