映画「赤ひげ」のDVDを十二月中旬に見ました。
黒澤明監督の作品で、江戸時代の療養所の医師を描いた作品です。
三時間ぐらいの結構長い作品でした。医者が主役なためアクション系の映画はなく地味なのですが(そのくせに格闘シーンがあるのですが……)、それなりに楽しめました。
個人的には、黒澤明の映画は、ある程度以上アクションがあってバシバシ進む方が好きです。
本作は基本的に入れ子構造の作品です。そのため、私は評価を下げました。
どういうことかと言うと、本作のメイン・ストーリーは、「長崎帰りの若い医者と、療養所の所長の“赤ひげ”の交流を通して、若い医者が成長する」というものです。
その物語のなかに、串団子のように患者の悲惨な人生のエピソードが入っていて、“回想シーンに飛んで戻って来る”という作品構成になっています。
この「本編→回想→戻る」が多いので、映画の尺が長くなっています。
もう一つ言うと、この回想による入れ子が二重になっている場所があります。つまり「回想シーンで回想している」という二重入れ子構造。
映画を見る上で混乱するような内容ではないのですが、映画で二重入れ子は避けるべきだろうと思っているので、正直どうかなと思いました。
回想が終わったとき、「ああ、そういえば今見ている映画は『赤ひげ』だった」と思いましたので。
以下、粗筋です。
長崎帰りの若い医者は、藩医に登用されるはずだったのが、なぜか貧民を治療する療養所に送られる。
そこの所長は“赤ひげ”と呼ばれるぶっきらぼうな医者だった。
若い医者は最初は赤ひげに反発する。
だが、赤ひげとの交流や、本当に医療を必要としている貧しい人々の姿を見ているうちに、若い医者は成長して、ついには療養所にこそ自分の生き甲斐があるとまで思うようになる。
印象に残ったのは、赤ひげが言っていた「本当に必要なのは医療ではなく、貧しさを取り除くことだ」という内容の台詞です。
病気になってから治療するのではなく、病気にならないようにする。
実際、そちらの方が重要だと思います。
食と衛生を提供するだけで、劇的に病人の数は減りますから。
映画の終盤、「どこで終わる気なのか?」と思いましたが、非常にきれいに終わって「さすがに上手いな」と思いました。
確かに、この話なら、ここで終わるのが一番きれい。
なんとなく爽やかになる終わり方でした。
どうでもいいですが、赤ひげ強過ぎです。人体を知り尽くしており、敵の肉体を凄い勢いで破壊していきます。
取り囲んで来た十数人のちんぴらが、あれよあれよという間に肉体を粉砕されていきます。
スーパードクターKぐらい強いです。
そういえば、ブラック・ジャックもかなり強いです。
もっと言うと、バキの鎬紅葉も強かったです。
どうやら、世の中“医者”は強いらしいです。