映画「隠し剣 鬼の爪」のDVDを一月下旬に見ました。
昨年末、「武士の一分」を見たからです。「たそがれ清兵衛」は既に見ているので、これで山田洋次&藤沢周平の三部作を押さえたことになります。
なかなか面白かったです。楽しめました。
しかし、一点だけ気になったことがあります。それは、メインの二つの話が絡んでいないことです。
本作は「武士が下女に惚れる恋愛話」と「腹黒い大目付の命令で、同門の剣士を討つ話」の二本を繋げたものです。
互いによい話なのですが、この二つの話が全くかすりもしていないです。
この映画の原作は、「隠し剣 鬼ノ爪」と「雪明かり」の二篇です。話を上手く融合させられていないよ……。
とはいえ、よい出来の映画であることは確かです。非常に高いレベルで楽しむことができました。
以下、粗筋です。(中盤終わりぐらいまで書いています)
主人公は下級武士。父の代で禄を減らし、小さな家に移り住んでいる。当主となった彼は、妹を親友に嫁がせ、奉公に来ていた下女も嫁に出し、あとは自分だけという状態になる。
だがある雪の日、嫁に出した下女に出会う。以前は明るくふっくらとしていた彼女は病人のようにやつれていた。彼は娘のことが心配になる。
その後、彼は、その女が病に倒れたことを知る。嫁ぎ先の商家で、奴隷同然の生活を送っているという。
彼は憤慨し、商家に乗り込み、娘を抱えて自宅に連れ帰る。
娘は元気を取り戻す。そして、彼らは兄妹のように二人で暮らし始める。
だが妹の嫁ぎ先である親友に、いつまでも家に置いておくのはお互いのためによくないと言われる。身分が違うからだ。
彼は女に家を立ち去らせる。
その頃、藩の江戸屋敷ではある騒動が起こっていた。謀反である。時は幕末、藩の将来を憂いた若者たちが藩を変えようとしていた。
主人公の友人で、剣の同門の男もその謀反に加担した。それも末端ではなく中枢で。彼は縄に繋がれ、故郷に送り届けられた。
同門ということで、主人公にも嫌疑を受ける。そして、獄に繋がれた男が牢を破った。
「疑いを晴らしたければ討て」
大目付は主人公に命じる。その男は権勢を傘にきて不正を重ね、同門の剣士が「悪」と呼んだ男だった。
脱獄した男と主人公は、藩で一二を争う剣の使い手だ。二人は、壮絶な死闘を始める。
映画中、その正体を明かさず、ずっと引っ張る「隠し剣 鬼ノ爪」という秘技。
主人公のなかで様々な思いが募り、とうとうその剣の封印を解く時が来ます。そして、その正体を知ったとき、観客は一瞬「あっ」と声を上げます。
「なるほど、これは、隠し剣 鬼ノ爪だ!」
隠さなければならない剣であり、鬼の爪と呼ばれるべきものである。
その正体を書くと、完全にネタバレになるので書きませんが、非常に上手いなと思いました。
この驚きだけでも、この映画を見る価値があると思いました。
よい映画でした。
この作品は、主役が永瀬正敏で、ヒロインが松たか子です。
しかしまあ、思ったのですが、松たか子の方が大きく見える。
いや、実際には永瀬正敏の方が男だから大きいのでしょうが、松たか子の方が大柄に見えます。
これは何なのでしょう。顔の大きさでしょうか?
非常に気になりました。