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2007年04月16日 17:05:33
柳生一族の陰謀
 映画「柳生一族の陰謀」のDVDを三月上旬に見ました。

 感想は「さすが柳生十兵衛&宗矩が絡むと超歴史だ!」でした。

 いやもう、ラストまで見るとシビレました。失禁物の度肝の抜き具合でした。

 面白かったです。



 さて、本作は、深作欣二監督の時代劇映画です。

 製作年は1978年。DVDに付いていた特報や予告編によると、東映の時代劇物復興の第一弾の映画とのことでした。

 話は、徳川家三代目の家督相続争いです。

 家光とその背後の柳生但馬守宗矩が、忠長側と殺戮を繰り広げるという話です。

「柳生一族の陰謀」というよりは「柳生宗矩の陰謀」と言った方がいいです。

 宗矩一人が腹黒さ全開で、他の人は陰謀など巡らせません。

 というわけで、主役は“宗矩”と“十兵衛”。

 そして、柳生側で戦うのは、十兵衛とともに行動する根来衆。

 さらに京の貴族が跋扈したり、出雲の阿国が絡んで来たり、ともかく色々出てきて派手で、活劇も多く、満足できました。



 なんというか、げっぷが出そうなほどのてんこ盛りの映画です。

 さすがに腹を壊しそうな勢いだと思っていたのですが、最後に“超展開”のまとめが入っているおかげで、今までの展開がどうでも言いぐらいに心を鷲掴みにされました。

 腰が抜けます。

 ネタバレになるので書きませんが、ラストは非常に衝撃的です。

 このラストと、その後の宗矩の素敵壊れっぷりだけで、満点を上げてもいいという気分になってしまいました。

 未見の人は、ネタのためだけでも、見ることをおすすめします。



 以下、粗筋です。(中盤ぐらいまで、ネタバレしないように書いています)

 二代将軍秀忠が突然病死した。

 次の将軍は兄の家光になるか、それとも弟の忠長になるか、世間は注目する。

 そんな折、秀忠の霊廟に忍者が入った。それを仕留める柳生の剣術使いたち。

 忍者が盗み出そうとしたものは秀忠の胃袋、毒殺の証拠だった。

 秀忠を殺したのは、松平伊豆守と春日局。秀忠が忠長を三代将軍だと決めた対抗措置として、彼らは毒殺を決行していた。

 柳生但馬守宗矩は家光を呼び、将軍になる決意を固めさせる。そして、家光と忠長の、血で血を洗う抗争が始まった。

 宗矩は、自らの子供たちや柳生の一門の者、そしてその領内に温存していた根来衆を敵に差し向ける。

 根来衆たちは、領地回復のために奮闘する。

 彼らと親類のように付き合っていた十兵衛も、根来衆の中に混じり行動する。

 だが敵も、黙ってやられるのを待ってばかりはいなかった。

 柳生に対抗する剣士を雇ったり、軍備を固めたりする。またその城下では、無数の浪人たちが蠢いていた。

 さらに、京の貴族たちも暗躍する。

 戦いは三つ巴になる。

 そして、家光が上洛し、その途上、駿河城に迫ることで、緊張は一気に高まることになった……。



 さて、感想です。

 まず、千葉真一=十兵衛が格好いいです。彼は心も爽やかないい男です。暗黒面たっぷりの宗矩と好対照です。

 この二人の対比が念入りに描かれているからこそ、ラストの超展開が生きてきます。

 ともかくこの映画は、ラストの超どんでん返しのために作られている映画です。

 作品全体を通じての“娯楽大作的な盛り上げ”が、全て吹っ飛ぶぐらいの破壊力を持っています。

 綿密な時代考証など、十兵衛が活躍する物語には、やはりあってはならないのです(なんのこっちゃ)。



 この映画は、娯楽大作の名に恥じないように、柳生親子以外にも、数多くの魅力的な登場人物が出てきます。

 まず、その筆頭に上げられるのが松方弘樹の徳川家光です。顔に痣があり、どもりです。キャラが立ち過ぎです。

 家光と言えば、最近バンチで、アクメツのコンビが家光&柳生物の話を書いていましたが、やっぱりキャラが立っている人物だなと思いました。



 また、キャラが異常に立っていた人物といえば、烏丸少将です。

 貴族で「ホホホ」とか言っている癖に、いざ戦いとなると、華麗に剣を振るい、柳生一族をぶった切っていきます。

 強い。

 超貴族です。

 十兵衛にさえ「奴があれほど強いとは。実際に会ってみたが、俺も全く気付かなかった」と言わしめます。

 自分の強ささえ微塵も気付かせないとは、相当の達人です。

 この映画では、こんな感じの変なキャラが無数に出てきます。さすが、深作欣二です。



 あと、個人的に注目したのは阿国役の大原麗子です。

 凄い美人です。

 他の女優が全て霞むぐらいの美人。

 気になったので、大原麗子の写真をネットで調べてみたのですが、写真よりも映画の方が遥かに美人に見えます。

 着物マジックでしょうか?

 日本人の容姿は、着物でこそ引き立つのかもしれないと思いました。



 こんな感じで、映画は非常に(いろんな意味で)面白かったです。

 あと、最後に一点だけ。

「真田広之、若いなあ」

 こういったアクション物に欠かせない人ですが、子供臭さを残した面立ちでした。

 というわけで本作は、娯楽映画好きも、トンデモ映画好きも、柳生好きも満足できる、素敵映画でした。
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