映画「柳生一族の陰謀」のDVDを三月上旬に見ました。
感想は「さすが柳生十兵衛&宗矩が絡むと超歴史だ!」でした。
いやもう、ラストまで見るとシビレました。失禁物の度肝の抜き具合でした。
面白かったです。
さて、本作は、深作欣二監督の時代劇映画です。
製作年は1978年。DVDに付いていた特報や予告編によると、東映の時代劇物復興の第一弾の映画とのことでした。
話は、徳川家三代目の家督相続争いです。
家光とその背後の柳生但馬守宗矩が、忠長側と殺戮を繰り広げるという話です。
「柳生一族の陰謀」というよりは「柳生宗矩の陰謀」と言った方がいいです。
宗矩一人が腹黒さ全開で、他の人は陰謀など巡らせません。
というわけで、主役は“宗矩”と“十兵衛”。
そして、柳生側で戦うのは、十兵衛とともに行動する根来衆。
さらに京の貴族が跋扈したり、出雲の阿国が絡んで来たり、ともかく色々出てきて派手で、活劇も多く、満足できました。
なんというか、げっぷが出そうなほどのてんこ盛りの映画です。
さすがに腹を壊しそうな勢いだと思っていたのですが、最後に“超展開”のまとめが入っているおかげで、今までの展開がどうでも言いぐらいに心を鷲掴みにされました。
腰が抜けます。
ネタバレになるので書きませんが、ラストは非常に衝撃的です。
このラストと、その後の宗矩の素敵壊れっぷりだけで、満点を上げてもいいという気分になってしまいました。
未見の人は、ネタのためだけでも、見ることをおすすめします。
以下、粗筋です。(中盤ぐらいまで、ネタバレしないように書いています)
二代将軍秀忠が突然病死した。
次の将軍は兄の家光になるか、それとも弟の忠長になるか、世間は注目する。
そんな折、秀忠の霊廟に忍者が入った。それを仕留める柳生の剣術使いたち。
忍者が盗み出そうとしたものは秀忠の胃袋、毒殺の証拠だった。
秀忠を殺したのは、松平伊豆守と春日局。秀忠が忠長を三代将軍だと決めた対抗措置として、彼らは毒殺を決行していた。
柳生但馬守宗矩は家光を呼び、将軍になる決意を固めさせる。そして、家光と忠長の、血で血を洗う抗争が始まった。
宗矩は、自らの子供たちや柳生の一門の者、そしてその領内に温存していた根来衆を敵に差し向ける。
根来衆たちは、領地回復のために奮闘する。
彼らと親類のように付き合っていた十兵衛も、根来衆の中に混じり行動する。
だが敵も、黙ってやられるのを待ってばかりはいなかった。
柳生に対抗する剣士を雇ったり、軍備を固めたりする。またその城下では、無数の浪人たちが蠢いていた。
さらに、京の貴族たちも暗躍する。
戦いは三つ巴になる。
そして、家光が上洛し、その途上、駿河城に迫ることで、緊張は一気に高まることになった……。
さて、感想です。
まず、千葉真一=十兵衛が格好いいです。彼は心も爽やかないい男です。暗黒面たっぷりの宗矩と好対照です。
この二人の対比が念入りに描かれているからこそ、ラストの超展開が生きてきます。
ともかくこの映画は、ラストの超どんでん返しのために作られている映画です。
作品全体を通じての“娯楽大作的な盛り上げ”が、全て吹っ飛ぶぐらいの破壊力を持っています。
綿密な時代考証など、十兵衛が活躍する物語には、やはりあってはならないのです(なんのこっちゃ)。
この映画は、娯楽大作の名に恥じないように、柳生親子以外にも、数多くの魅力的な登場人物が出てきます。
まず、その筆頭に上げられるのが松方弘樹の徳川家光です。顔に痣があり、どもりです。キャラが立ち過ぎです。
家光と言えば、最近バンチで、アクメツのコンビが家光&柳生物の話を書いていましたが、やっぱりキャラが立っている人物だなと思いました。
また、キャラが異常に立っていた人物といえば、烏丸少将です。
貴族で「ホホホ」とか言っている癖に、いざ戦いとなると、華麗に剣を振るい、柳生一族をぶった切っていきます。
強い。
超貴族です。
十兵衛にさえ「奴があれほど強いとは。実際に会ってみたが、俺も全く気付かなかった」と言わしめます。
自分の強ささえ微塵も気付かせないとは、相当の達人です。
この映画では、こんな感じの変なキャラが無数に出てきます。さすが、深作欣二です。
あと、個人的に注目したのは阿国役の大原麗子です。
凄い美人です。
他の女優が全て霞むぐらいの美人。
気になったので、大原麗子の写真をネットで調べてみたのですが、写真よりも映画の方が遥かに美人に見えます。
着物マジックでしょうか?
日本人の容姿は、着物でこそ引き立つのかもしれないと思いました。
こんな感じで、映画は非常に(いろんな意味で)面白かったです。
あと、最後に一点だけ。
「真田広之、若いなあ」
こういったアクション物に欠かせない人ですが、子供臭さを残した面立ちでした。
というわけで本作は、娯楽映画好きも、トンデモ映画好きも、柳生好きも満足できる、素敵映画でした。