映画「カクテル」のDVDを三月中旬に見ました。
トム・クルーズ主演の1988年の作品です。
最初に映画を見始めた時は、若者の立身出世の話かと思っていたのですが、全然違っていました。
友情成分を少し入れた、挫折と恋愛の物語でした。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。最後まで書いています)
軍隊を除隊した主人公は、成功を夢見てニューヨークに行く。
しかし現実は厳しかった。大学を出ていない彼に、よい就職口はなかった。
彼はバーテンダーになる。
そして、先輩バーテンダーと親しくなりながら徐々にその腕を磨いていく。
主人公に転機が訪れる。高級なバーへの移籍だ。
彼は、先輩バーテンダーとともにその店に移る。その頃から、彼は一つの夢を温めだす。
その夢とは、自分の店を持つことだ。彼は先輩とともに、「カクテル&ドリーム」という店の構想を練る。
そんな折、主人公は恋をする。そして、その女性の発案で開業資金を得る算段を立てる。
しかし、その予定は失敗する。彼女には振られ、先輩とは喧嘩別れする。
二年後、彼は失意のまま、ジャマイカでバーテンダーをしていた。
その場所に、先輩がやって来る。先輩は金持ちの女性と結婚していた。
彼は今度、ニューヨークに高級店をオープンするという。そのバーテンダーとして主人公をスカウトしたいと提案する。
主人公は、その地で貧乏な彼女を作る。そして、その彼女と、成功の夢のあいだで心を揺れ動かせる。
そんな折、先輩との戯言が切っ掛けでナンパした女社長と主人公は夜をともにする。そのことが彼女にばれて、彼は振られる。
主人公は、女社長とニューヨークに行くが、再び挫折を味わう。
彼は、先輩が開いたバーに行く。
また、振られた彼女に謝りたいという一心から、彼女に付きまとう。
そして、かつての彼女が自分の子どもを妊娠していることを知る。さらに、彼女の実家が富豪なことも知る。
主人公は、父親として、彼女とやり直したいと言うが、彼女にも実家にも断わられる。
そんな折、先輩が破産して自殺する。主人公は真の愛に目覚め、彼女をさらいに行く。そして、彼女を実家と絶縁させて結婚する。
彼は、かつて先輩と語り合っていた「カクテル&ドリーム」という店をオープンさせる。
「エージェント」を見た時にも思ったのですが、こうやって粗筋を書くと、トム・クルーズの役は駄目人間にしか見えません。
いやまあ、実際駄目人間なのですが。
完璧なヒーロー像というよりは、駄目なところもいっぱい持っている等身大の人間が、それなりの幸せを掴もうと奮闘する。
トム・クルーズは、若い頃はそういった作品が多かったのかもしれないなと思いました。
さて、映画の題名の「カクテル」です。
美味しいカクテルを出すという使い方ではなく、派手なパフォーマンスで客を盛り上げるという使い方です。
そういう意味では、やっていることはDJに近いです。
カクテルの種類も、そんなにいっぱい出てきません。
それよりも、お酒の瓶をジャグリングするようなシーンが見せ場です。
映像として描くには、こういったやり方が適切なんだろうなと思いました。