映画「ネットワーク」のDVDを三月下旬に見ました。
テレビの視聴率主義を描いた1976年の映画で、アカデミー賞四部門受賞(主演男優賞/主演女優賞/助演女優賞/脚本賞)の作品です。
特に誰が明確な主人公というよりは、数人の主人公格の人々を描きながら進む話でした。
おもしろかったです。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。最後の方まで書いています)
あるテレビ局は赤字で悩んでいた。そして、赤字部門の報道部を閉鎖しようと考える。
かつては28%の高視聴率を叩き出していた老ニュースキャスターは、視聴率の低迷を理由に解雇を言い渡される。
また、彼の盟友の老プロデューサーも、社内で非常に微妙な立場に置かれるようになる。
最後の一週間が迫ったある日、老ニュースキャスターは、「次週番組中に自殺する」とカメラの前で宣言する。
視聴率が全てだと言われた老ニュースキャスターは、追い詰められて精神を病み、そのような発言をしたのだった。
彼はその直後に、番組を降ろされる。また、株主総会で「報道部を独立部門ではなくする」と聞かされた老プロデューサーも首を言い渡される。
だが、事態は思わぬ方向に転がり始める。
老ニュースキャスターの発言のせいで、一気に視聴率が5%も上がったのだ。こんなことはかつてなかった。
また、老ニュースキャスターは、「最後だけはきちんと終わらせてくれ」と頼み、特別に最後の放送に出演する。
彼はその場で、自分の怒りをテレビにぶちまける。そして、それが受けた。
このまま終わらせるのは惜しい。現代人の怒りの代弁者として彼を売り出せば視聴率が稼げる。
若く美しい、敏腕女性プロデューサーがそのことに目を付ける。そして、彼をメインに据えたトーク番組を作り、高視聴率を叩き出した。
老プロデューサーは、老ニュースキャスターの健康と精神を心配する。彼は静養が必要なほど、精神に変調を来たしていた。
だが、老ニュースキャスターは道化として自分に与えられた役を演じ続ける。
老プロデューサーは、女性プロデューサーと会う。
最初は老ニュースキャスターの処遇について話を付けるのが目的だった彼だが、いつしか女性プロデューサーと恋に落ちる。
女性プロデューサーは、老ニュースキャスターを使って高視聴率を叩きだし、会社を黒字に転換させ、絶頂まで上り詰める。
だが、その成功は徐々に崩れ始める。老ニュースキャスターは、会社の資本にアラブマネーが入っていることを攻撃する発言を声高に言い、それが会社の会長の逆鱗に触れる。
老プロデューサーは、妻子との関係と、女性プロデューサーとの喧嘩から、撤退を考え始める。
そして、視聴率は次第に落ちていく。
だが、様々な人間関係や社内事情、契約内容から、用済みとなった老ニュースキャスターを簡単に番組から降ろすことはできなかった。
女性プロデューサーと、彼女を利用していた会社の役員は集まって相談する。彼らは、あるテレビ番組を作るために資金を提供していた“テロリストたち”を使って、一つの作戦を考えるのだった。
話は、少し珍しいタイプの構成でしたが、非常に楽しめました。
役者では、フェイ・ダナウェイがよかったです。というか、何かエロかったです。
容姿も非常によく、キャリアウーマン的美貌を振りまいていたのですが、台詞がそこはかとなくエロかったです。
「私は男みたいなの。セックスのあと、すぐに冷めて次の行動に移るのよ」
「私は、セックスと喧嘩しかできない女よ」
こんな感じです。
仕事、仕事、仕事、セックス、仕事、仕事、仕事、セックス、という感じで、なんかアメリカ的なモンスターマシンを連想させて凄かったです。
最後に少し、テレビについて。
テレビが利用している電波は公共財です。会社として利益を上げるという商行為を行うなら、前提として、公共財を利用している義務を果たして欲しいものです。
つまり、まともな報道を行って欲しい。
テレビ局にこういったモラルが欠けているのは、日本でもアメリカでも同じなのだなと、映画を見ながら思いました。
まあ、日米だけではないのでしょうが。
また、極端に金儲けを推し進めるとどこかで変なことになるのはどこの業種でもそうだなと思いました。
なんとなく、「いいのかテレビ?」と思いながら、この映画を見ていました。