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2007年04月26日 15:51:29
フルメタル・ジャケット
 映画「フルメタル・ジャケット」のDVDを三月中旬に見ました。

 1987年のスタンリー・キューブリックの作品です。「シャイニング」から七年振りに撮った作品だそうです。

 ネタとしては散々見聞きしている映画ですが、本編を実際に見ていなかったのを思い出したので借りてきました。

 感想。

「ハートマン軍曹」

 終わり。



(以下、ネタバレありの感想)



 いや、別にハートマン軍曹だけの映画ではありません。それに、ハートマン軍曹は0〜45分の間の序盤45分間しか出てきません。

 ただ、この45分間が非常に魅力的であることも確かです。

 デブ役のダメダメな新兵が、鍛えられて、虐められて、そして成長して戦場に出るかと思いきや、急転直下“キューブリック風スマイル”を浮かべて殺人鬼になり、ハートマン軍曹をぶち殺す……。

 そして、自分の口に銃口を突っ込んで引き金を引く。

 この展開は、「やはり凄いぜキューブリック」という感じです。

 ここだけでもうお腹いっぱいになった気分になりました。

 そして、ハートマン軍曹が死んで以降は、映画の雰囲気がガラリと変わります。

 映画の感想を聞かれて「ハートマン軍曹」と答えるのは、あながち間違いではないよなと思いました。

 前半だけ見ると、確かに完全にハートマンの映画でしたので。

□那智娘(FULL METAL JACKET語録)
http://www.geocities.jp/ngapoko713/gunsougoroku.html

□ハートマン軍曹写真集1
http://www.d-b.ne.jp/jyubei/gunsouphoto.htm



 以下、粗筋です。

 ベトナム戦争時代。アメリカ海兵隊。

 そこの新兵になった男たちは、鬼軍曹ハートマンの手によって徹底的に鍛え上げられる。

 ハートマン軍曹は、新兵たちに“ジョーカー”“カウボーイ”“微笑みデブ”“スノーボール”などの特徴的な名前を付け、考え付く限りの罵詈雑言を浴びせる。

 太り過ぎで身体能力の低い“微笑みデブ”はそのグループの落ちこぼれだった。ジョーカーは彼を世話するようにとハートマンに命じられる。

 だが微笑みデブはなかなか成長しない。ハートマンは、彼が失敗をする度に、隊全体に罰を科すことを決める。

 微笑みデブは孤立し、全員に憎まれることになる。

 そんな微笑みデブだが、ジョーカーの手助けもあり、徐々に成長する。そして、隊の全員は除隊者を出すことなく、全員が卒業することに決まる。

 だが、その訓練終了の直前の夜、とんでもないことが起きる。

 夜の見回りをしていたジョーカーは、トイレに銃と実弾を持った微笑みデブがいることに気付く。

 微笑みデブは、顔に狂気の表情を浮かべていた。

 二人の話し声に気付いたハートマンはトイレにやって来る。そして、銃にも動じず微笑みデブを部屋に戻そうといつもの調子で話しだす。

 だが、微笑みデブは完全に狂っていた。彼はハートマンを撃ち殺し、銃口を口にくわえて引き金を引く。

 それから数年。

 ジョーカーはベトナムで軍属の報道官となっていた。彼は上司に対立し、新米の部下とともに最前線に送られる。

 そして、懐かしい同期の“カウボーイ”と再会する。

 彼らは、ベトナム人を殲滅しながら、正義などどこにもない“ただの殺し合い”を繰り広げながら進軍を続ける……。



 序盤については既に書いたので、後半についての感想です。

 人を虫けらのように楽しそうに殺していきます。

 小気味いいほどに。

 射的ゲームの代わりに、女子供をヘリコプターから撃って楽しんだり、逆に兵士が戦場に出て行くとあっけなく次々と死んだり。

 後半は、命の値段が十円か二十円ぐらいになります。

 そして、その場にいる人たちは、それに何の疑問も抱きません。

 上手く戦争を描いているなと思いました。

 こういう映画を見たら、戦争をしたがっている人たちは、まずはお前たちが真っ先に射的の的になって死んでくれと思います。

 戦争なんかのために、人生の時間を一秒たりとも無駄に使いたくないし、残り時間を削られたくもないので。



 そして、ラストシーン。

 ミッキーマウスマーチの空々しさ。

 本当にいいミッキーマウスです。

 ディズニーのことだから、きっと公開当時揉めたんじゃないかと思うのですが、そういうことは知りません。

 どうだったのでしょうか? 知っている人がいれば教えて欲しいものです。



 ハートマン軍曹パートと、ベトナムパートは、ある程度独立した別の話です。

 前半は“微笑みデブ”が主役で、後半は“ジョーカー”が主役です。

 戦争用人間を作る狂気の話と、戦場の狂気の話。

 ネタとしては前半の方が面白かったですが、本当の意味での内容の濃さでは後半の方だよなと思いました。

 よい映画でした。
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