映画「雲のむこう、約束の場所」のDVDを三月下旬に見ました。
家飲みDVD鑑賞会の一本目です(この日は、八人で五本のDVDを見ました)。
「雲のむこう、約束の場所」は、新海誠監督の2004年の作品になります。
感想は、「背景はきれいだったけど、人物はどうかと思った。また、映像作品ではあるが、映画としては駄目だった」でした。
また、見て最初の数分で言った一言は「これはポエムだな」です。
ストーリーを描くのではなく、雰囲気を描く。
しかし、それで九十分近くの時間を引っ張るのは難しいです。この人は、十分ほどの短編を描くくらいがちょうどよいと思います。
というわけで、今年公開されている短編集のような形の方が合っているのだろうなと思いました。
さて、まずは絵について。
背景は、フォトショップのきれいな色使いで、一画面内に多くの色を入れ込むような場面の選択と相俟って、なかなかよかったです。
ただ、キャラがよくなかったです。
背景がきれいな分、キャラのクオリティの低さが目立ちました。
それも、登場回数が多いキャラほどクオリティが低く(クオリティを保つのが難しいのでしょう)、キャラの絵柄の統一感もなく、何だかマンガのコマ内に複数の絵柄のキャラが混在しているモブシーンのようなものを連想しました。
後、気になったのはヒロインの動きです。
これは古い。
数昔前のぶりっ子キャラのような動きをします。最近の流行りじゃないよなと思いました。
ブックレットを見ると、乗り物とかは3Dで作ってセルシェーディングをしていると書いてあったので、キャラもそうした方がよいのではないかと思いました。
その方が、細かな修正を掛けるのには向いているかもしれないですし。
次に、映像について。
これは基本的に物語を描くための映像構成ではなく、心象風景を描くための映像構成です。
なので、映画として見ると、えらく退屈です。
こういうのは、要所要所でやるからこそ、意味がある物ですから。
まあ、ストーリーを追う方向性の物ではないから、いいのかもしれませんが。
仕方がないので、BGVとして流すつもりで見ました。
この作品は、モノローグの多用や、必要以上のカット割りなど、映画のフォーマットには余り乗っていません。
映画監督と言うのははばかられますが、映像作家と言うのはまあありだろうとは思いました。
世の中に何人かそういった人がいるのは、文化の幅を広げるという意味で、構わないと思いますので。
最後に、声優について。
主人公役の吉岡秀隆がハマリ役でした。Dr.コトーの人です。
心象風景の作品で、あのぼそぼそとした内向きのしゃべり口は合っていました。
上手いチョイスだなと思いました。
DVDは、ちょうど、飲み会の集合時間辺りで流していました。
そこで面白かったのが、やってくる人たちの反応です。
「北海道辺りです。あそこに天まで伸びる塔が立っているのが見えますよね」
そういった後、来る人、来る人「なんで? 赤道じゃないんですか?」と言うのが面白かったです。
その回答の中で一番面白かったのは、「地軸が動いたんですかね?」というものでした。
いい飲み会でした。