映画「カリガリ博士」のDVDを四月下旬に見ました。
1919年のドイツ表現主義の無声、白黒映画です。全てを“書き割り”で表現した、非常に歪んだ背景が特徴的な、不思議な作品です。
設定とネタは非常に魅力的なのですが、いかんせん古い(そろそろ百年近く経つ)ので、映画としてはそれほど面白い物ではなかったです。
同じ設定とネタで、きちんと現代で作り直せば非常に面白くなりそうだなと思いました。
以下、粗筋です。(終盤直前まで書いています。大きなネタバレはありません。最後のドンデン返しは書いていません)
ある町の祭の日、一人の男が出し物のテントを建てた。その男の名はカリガリ博士。彼は、眠り男チェーザレを目覚めさせるという興行を行う。
チェーザレは未来を予言できるという。カリガリ博士の興行は人気を博した。
だが、カリガリ博士が町に来てから奇妙な殺人事件が起こりだす。そんな折、眠り男チェーザレがある男の死を予言する。そして、その男が予言通り殺された。
カリガリ博士は、眠り男の能力を引き出す不思議な力を持っていた。
彼は眠り男チェーザレを利用して、数々の殺人事件を起こしていた。
親友を殺された主人公は、チェーザレとカリガリ博士を追い詰めようとする。
彼はカリガリ博士を追い続ける。そして、たどり着いた場所は精神病院だった。カリガリ博士だと思っていた人間は、その精神病院の院長だという。
さらに、主人公はカリガリ博士について調べていく。そして、衝撃的事実を知ることになる。
謎のカリガリ博士と、眠り男チェーザレ。そのネーミングだけで、かなり面白そうな気がする設定です。
丸々として邪悪な笑みを浮かべるカリガリ博士と、細身で全身タイツ風の服を着た、無表情のチェーザレ。この二人の容姿の対比も非常によいです。
背景が全部歪んでいる(建物は傾き、窓は台形で、扉も台形)のと相俟って、非常に不思議な雰囲気を漂わせていました。
まあ、古いので、映画としては非常に退屈です。でも、いろいろと魅力を持った作品でした。
DVDは、『淀川長治総監修「世界クラシック名画100撰集」』というものでした。
冒頭でいきなり、淀川長治さんの映画解説が入り、びっくりしました。
久しぶりに淀川長治さんを見たなと思いました。
この解説中、淀川長治さんがしきりに勧めていたのが、「カリガリ博士」と並んで「メトロポリス」です。
文献ではよく見るのですが、まだ未見の映画です。ツタヤ ディスカスにはなかったので、残念です。
どこかで見掛けたら、「メトロポリス」は見てみたいです。
あと、どうでもよいですが、この映画を漫画化するなら、藤田和日郎だよなと思いました。
そんな雰囲気の映画でした。