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2007年07月13日 14:16:24
再会の時
 映画「再会の時」のDVDを六月上旬に見ました。

 原題は「The Big Chill」。「chill」は、冷え、寒気、悪寒、冷淡さ、失意。直訳すれば、大きな失意とかでしょうか?

 何か意味のある熟語かもしれないと思い、辞書を引いてみました。

 Yahoo!辞書のプログレッシブ英和中辞典では、「the Big chill」で1960年代という意味でした。スペースアルクの英辞郎検索結果では、「big chill」で大寒波でした。

 さすがに、「大寒波」ということはないと思います。そういった内容ではないので。

 映画は、1983年の映画で、ストーリーは、「1960年代後半に学生だった主人公たちが、友人の葬式を切っ掛けに再会する」というものなので、「1960年代」という意味が正しいのでしょう。

 邦題の「再会の時」は、上手く付けたなと思いました。



 さて、この映画を見始めて、その冒頭で思ったことが三つあります。

 その三つとは「エロい」「映画的な見せ方」「高度な脚本」です。

 以下、その三つそれぞれについて詳しく書いていきます。



 まず、「エロい」についてです。

 映画のオープニングは、複数の中年男性や女性に、友人の訃報が入るところから始まります。

 その中に、一つだけ異質なシーンが入ります。

 それは、若い女性がレオタード姿で、柔らかい肢体を動かして柔軟運動をしているシーンです。

 女性は、小柄で、小尻で、華奢で、幼い顔立ちです。その彼女が、様々なポーズを取ります。

 ポーズの多くは、「大股開き」といった性的アピールを感じるものです。またそれだけではなく、体を捻じったりして、肉の絞られ具合をよく見せてくれます。

 その体付きは、中学生低学年の体をベースに、高校時代を経させず、大人の体にしたようなバランスです。

 このシーンは健康的で、清楚なのですが、非情にエロさを感じさせます。

 そして、そのままレオタードを剥いで襲い掛かりたくなるような劣情を催させます。(私がそう感じるというのではなく、そういった演出です。詳しくは後述)

 これは、非常に上手いなと思いました。



 さて、このシーンですが、「私がエロいからエロく思う」のではなく、そう感じるのは映画の作り手側の意図通りだったりします。

 なぜならば、このシーンは、この映画が「性」について扱っているものであると伝えているからです。

 映画中、この若い女性は、「友人の死」を切っ掛けに再会する中年の男女たちの中に入って、一緒に数日を過ごすことになります。

 なぜ彼女がそういった場所に居合わせるかは、彼女がこの「死んだ友人」の若い恋人だからです。

 そして、「彼女の存在」と「友人の死」が触媒になって、青春時代をともに過ごした男女が再び恋愛に燃え上がります。

 そういった脚本家の意図が明確に分かるのは、映画の後半に、彼女のレオタード姿での運動シーンがもう一度入るからです。

 この「レオタード・シーン」の後、それぞれの男女は、性的な関係に雪崩込みます。

 なので、冒頭の若い女性の姿を「エロい」と感じるのは、映画の作り手側のサインを、正しく受け取った見方になります。

「エロい」と感じるのは、正しい感じ方なのです。



 しかしまあ、「小柄で、小尻で、華奢で、幼い顔立ち」の女性が、体のラインを露にして、肉の瑞々しさを見せるのは、本当にエロいなと思います。

 ああいった容姿は好きです。「監督、分かっているなあ」と思いました。



 次に、「映画的な見せ方」についてです。

 この映画は、複数の男女がほぼ均等に描かれる群像劇です。明確な主人公はいません。

 そして、冒頭では、この男女たちの様子や、葬式の様子が、様々な角度から、断片的に描写されます。

 この冒頭では、統一的で説明的な見せ方は一切していません。

 そのために、提示された断片的な情報から、「こいつらは友人なのだろう」「この人とこの人は、こういった関係なのだろう」「死んだ人は、こんな感じの人なのだろう」と、観客が考えて読みとっていかなければなりません。

 こういった「ばらばらの情報を、ばらばらのまま提示する」「劇中の人々は全てを知っているけど、観客だけが何も知らない」といった描き方は、非常に映画的な見せ方だなと思いました。

 小説やマンガは、こういった物語の描き方に向いていません。

 なぜならば、こういったメディアは、読解に「読み手の時間と労力」が必要だからです。

 なので、「読者にとって理解不能な情報がある程度続き、その内に意味が分かってくる」という描き方をすると、「読み進めるのが苦痛」となり、そこまで達する前に読者は飽きてしまいます。

 対して映画は、勝手に進んでいくので「分からないなりに、まあ見てみよう」という見方ができます。

 実際この映画では、この序盤部分では、小気味のよい映像とその繋ぎを駆使し、乗りのよい音楽を投入することで、序盤を「映像の羅列」として描くことで生じる観客の退屈さを上手く避けていました。

 こういった部分を見て、「映画の特性を熟知した上での描き方だな」と感じました。



 最後は「高度な脚本」です。

 この映画は、普通の単純な話の進め方ではなく、「複数の登場人物の会話だけ」で成り立った物語の進行をしています。

 さらに映画では、上記の物語を、複数視点で描き、情報をばらばらに提示して、それらを統合して、違和感なく見せています。

 これは、才能があって、かなり手馴れた人でないとできない仕事です。

 脚本家について調べてみると、監督と兼任でローレンス・カスダンという人でした。

 この人の他の仕事を見てみると、「ああ、このレベルの人なのか。それなら納得」というラインナップでした。

 仕事の中から、有名な作品を並べてみます。

・スター・ウォーズ 帝国の逆襲(リー・ブラケットがメインの脚本家。サブの脚本家としてクレジット)
・レイダース 失われた聖櫃<アーク>(脚色)
・スター・ウォーズ ジェダイの復讐(脚本)
・ボディガード(脚本、製作)
・ワイアット・アープ(ダン・ゴードンがメインの脚本家。サブの脚本家としてクレジット。監督、製作)
・ドリームキャッチャー(監督、脚本)

 このラインナップを見て、「そりゃあ、才能もあって、手馴れてもいるな」と思いました。



 以下、粗筋です。というか設定です。細かな粗筋は書き難い作品ですので。

 一人の中年男性が死んだ。その葬式に、1960年代にともに大学時代を過ごした四人の男性と、三人の女性がやって来る。

 そして、死んだ男の若い恋人を交えて、八人で週末を過ごすことになる。

 七人は、若い一人を交えながら、近況について、そして学生時代について語り合う。そして、当時、相手のことをどう思っていたのか、今どう思っているのかなどを伝え合っていく。

 彼らは、大学時代、学生運動に入れ揚げており、正義と友情と愛とセックスに生きていた。

 七人のうち、夫婦になっているのは二組。一組は円満な家庭を築いており、もう一組は破局寸前になっている。

 残り三人のうち、男性の一人は俳優となり、大きく成功してた。だが私生活では離婚を経験していた。

 もう一人の男性は、ピープル誌のジャーナリストとなっており、資金を集めて有名人向けのクラブを開きたいと考えていた。

 彼は学生時代の頃から変わらず女好きで、葬式の直後だというのに、死んだ男の若い恋人にアタックを掛け始める。

 もう一人、未婚の女性は、そろそろ出産可能年齢を過ぎるので、その前に子供を作りたいと考えていた。

 彼女は、大学時代の友人の一人を選んで、射精してもらいたいと思っている。

 また、若い女性は、恋人の死に落ち込んだ様子もなく、「彼とのセックスはよかった」といったような台詞を口にする。

 彼ら八人は、数日の再会を通して、恋を再燃させ、パートナーを組み替えたり、思惑を達したり、失敗したりする。

 そして、その再会の時を経た彼らは、再び自分たちの生活に戻って行く。



 派手な映画ではないですが、よい映画でした。

 個人的には、「若い女の子の清楚なエロさが素晴らしい映画」だと思いました。

 こういったのを、狙って出すのは上手いよなと思います。

 映画を見終わった後に、レオタードのシーンだけ、もう一度チェックし直しましたので。
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