映画「鉄コン筋クリート」を劇場で、六月下旬に見ました。
「パプリカ」との二本立てでの観賞でした。
2006年の作品で、監督はマイケル・アリアス。「誰だ?」と思って調べたら、CG系の外人さんでした。
□Wikipedia - マイケル・アリアス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83... なるほど、卑近なところでは「トゥーン・シェーダー」の開発・特許取得者ですか。
映画は、なかなか面白かったです。
松本大洋の原作の方は、あまり好きではないのですが、映画は素直に楽しめました。
さて、この映画を見て、最初に驚いたのは声優です。
シロ役の蒼井優の声が、アニメのシロの絵と動きに物凄くマッチしていてびっくりしました。
少し「クレヨンしんちゃん」入っていますが、雰囲気そのままです。
これは本当に驚きました。
蒼井優で記憶に残っているのは、「ハチミツとクローバー」(予告編しか見ていません)なのですが、これは「ハチミツとクローバー」も見てもいいかもと思いました。
それ以外にも、声優は絵と声のイメージが非常に合っていました。
このアニメは、俳優などを中心にキャスティングがされているのですが、俳優のイメージではなく、キャラのイメージに上手くあてはめています。
そのため、スタッフロールを見るまで、俳優の顔は思い浮かばなかったです。
ここまでキャラのイメージに合うのは珍しいなと思いました。
アニメは、町の描写がノスタルジックでよかったです。
「ああ、あるある、昔はこんなだった」という感じの雰囲気でした。
遠景はだいぶ特殊な立体描写に感じましたが、これは原作の雰囲気を活かしているのだろうなと思いました。
個人的には、キャラよりも背景を見ながら、映画を鑑賞しました。
以下、粗筋です。(ネタバレはほんの少しあり。中盤ぐらいまで書いています)
下町情緒の残る宝町には、クロとシロという、ホームレスの子供たちがいた。彼らは非常に喧嘩が強く、誰も彼らに敵う者はいなかった。
ある時、この町にヤクザ者たちがやって来る。彼らは、この町を開発して、子供向けのレジャーランドを作る計画を持っていた。
海外の組織と組んだヤクザ者たちは、邪魔者のクロとシロを排除しようとする。彼らは殺し屋を放ち、二人を町から消そうとする。
年上のクロは、年下のシロを守ろうとする。そして、自分の力では守れないと悟った時、彼はシロと離れ、自らを変え始める。
映画は基本的によくできているなと思いましたが、最後の心象シーンの長さだけはどうにかして欲しいと思いました。
あれは、半分ぐらいでちょうどよいです。
映画を見た後に、原作の本をぱらぱらと確認する機会があったのですが、数ページしかないところを引き伸ばしすぎです。
それが意味のある長さならよいのですが、単なるダラダラとした長さになっていました。
ああいった「印象を伝えるシーン」というのは、受け手がどのくらいの長さで適切だと感じるか、作り手側で計り難いものではあります。
なので、見た人の意見を参考にするなどして、適宜カットしたり、伸ばしたりする必要があると思います。
そういった長さを、誰に聞くでもなく、肌で感じられる人は、よっぽどの練達者か、よっぽどの特殊な才能を持った人です。
やっぱり、こういうのは難しいよなと思いました。
どうでもいいですが、映画を見終わった後、「これは恋愛映画か?」と思いました。
原作を読んだ時にはそういったことを思わなかったのですが、映画を見た際には、そう感じました。
それは、映画ではクロとシロの心の繋がりを濃密に描いているせいかもしれません。
なんだか、恋人同士の話みたいだなと思いながら見ていました。
後、脇役(大人)たちの細かなエピソードがなかなかよかったです。
子供の話がメインの物語なのですが、サブのキャラたちの細かな会話がよかったです。
ちなみに、松本大洋は、「ピンポン」が好きです。