映画「ドライビングMissデイジー」のDVDを七月中旬に見ました。
前から見たかった映画の一つです。近くのTSUTAYAにはなかったので、ツタヤ ディスカスで借りました。
1989年の作品で、主演はジェシカ・タンディと、モーガン・フリーマン。
元々、1987年度のピューリッツァー賞演劇部門を受賞した戯曲だそうです。
□Wikipdeia - ドライビング Miss デイジー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83...
とてもよかったです。
こういった、「良いことも悪いこともひっくるめて人生」みたいな、白黒付けた答えを出さないタイプの話は、きれいに決まると非常に美しいなと思います。
怒りんぼうの白人老婦人と、陽気でよく笑う黒人老運転手の微妙な距離感がとても素晴らしかったです。
決して奇麗事だけではなく、時には不満もいい、相手の自尊心を傷付けたりもする。
しかし、長い時間をともに過ごすことによって生まれる関係性は、そういった些細なことを忘れさせるほど素晴らしいものでした。
そういった心の機微を、非常に上手く切り取った映画だなと思いました。
特に、モーガン・フリーマンの独特の「ウィッヒッヒ」という感じの笑い声がよかったです。
嫌味にならない陽気さです。
下手な役者が演じると、わざとらしさや、下品さが出てきそうなぎりぎりのライン。
全ての動きや表情から、そういったよさを感じました。
やっぱりこの人は上手いなと思いました。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。とはいっても、それがどうという映画ではないです。最後まで書いています)
織物工場の社長の母で、元教師の老婦人。彼女は、年のせいで運転を失敗して隣家の庭に突っ込んだ。
母のことを心配した息子は、彼女のために運転手を雇うことを決める。
やって来たのは年老いた陽気な黒人。
だが息子には心配事があった。母親は非常に頑固なのだ。運転手が長く続けられるように、彼は様々なアドバイスを与える。
そして運転手は老婦人の家にやって来た。
最初は彼を拒絶していた老婦人だが、彼の陽気な人懐っこさに次第に心を開いていく。
それから二十五年。
二人はその関係を維持しながら友人のような関係になっていく。
そして、老婦人がぼけ、運転手の視力が落ち、二人はその関係を解消する。
しかし、長年温めた友情は、雇い主と運転手の関係がなくなった後も、続くことになった。
粗筋自体は単純です。
その中に、細かなエピソードが満載されています。そして、老婦人と運転手、そして老婦人の息子の3人を軸にして話が進んでいきます。
しかし、この単純さの中に、時代背景を上手く取り込んで深みを出しています。
黒人差別、ユダヤ人差別(老婦人の一家はユダヤ人の家系)、ユダヤ教とキリスト教の違い、様々な偏見、キング牧師のパーティーなど、「これはファンタジーの世界ではなく、現実の世界なのだ」と思い出す瞬間が随所にあります。
そして、そういった部分を通して、細かな摩擦が人の間に生じていきます。
さらりと流すようにして進んでいく映画ですが、上手いなと思いました。
最初、二十五年にわたるストーリーだとは知らず、「なぜなのか、徐々にキャラが年を取っているように見えるな」と不思議に思っていました。
そりゃあ、そうです。実際に年を取っている演出なわけですから。
珍しいパターンですが、先に粗筋を見てから見た方がいい作品だなと思いました。
普通は逆なのですが。
以前、友人が言っていましたが、日本キャストでも舞台上演されているということなので(Wikipediaにも記載あり)、そちらも見る機会があれば見てみたいなと思いました。
この作品を舞台でやると、どうなるのか気になりましたので。