映画「プロデューサーズ」のDVDを七月中旬に見ました。
2005年公開の新しい方です。
古い方は1968年にメル・ブルックス監督・脚本で、こちらはアカデミー脚本賞を受賞しています。
映画(1968)→ミュージカル(2001)→再映画化(2005)という流れのようですね。珍しいです。
古い方は、ツタヤ ディスカスで予約しているので、その内見る予定です。
というわけで、新しい方について書いていきます。
監督はスーザン・ストローマン。初めて名前を聞きました。調べてみると、ミュージカル版の演出と振付を行った人だそうです。
□Wikipedia - スーザン・ストローマン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82... 主演のネイサン・レインと、マシュー・ブロデリックは、ミュージカル版での初代オリジナル・キャストだそうです。
映画はとてもよかったです。
「ミュージカルは、会計上、興行に失敗した方が儲かることがある!」という出だしの設定だけで、もう勝ったも同然です。
しかし、それだけでなく、途中もネタが満載で素晴らしかったです。
「最低の脚本、最低の演出家、最低のキャストを集めるぜ!」と言って、ゲットする脚本が「春の日のヒトラー」という名前の脚本です。
もう、こんな調子で、最後までいっぱいいっぱい楽しませてくれます。
「これぞ、エンターテインメント!」という感じで、楽しい映画でした。
映画中、けっこう感心したのは、ミュージカルっぽい退屈さがなかったことです。
ミュージカル系の映画は、歌って踊っている時に退屈な映画が多いのですが、この映画はそういったシーンも飽きることなく楽しかったです。
普通のミュージカル系の映画は、歌と踊りのシーンで登場人物の心理を独白することが多いのですが、この映画では同じシーンでコメディーを行います。
たぶん、そこが退屈にならない原因なのではないかと思いました。
いやまあ、「演出が上手いから」というのに、尽きるのかもしれませんが。
さて、この映画で一番美味しいのは、ユマ・サーマンです。
脳味噌ゼロとしか思えないような色気だけのヒロインを素晴らしく熱演しています。
キル・ビルの印象との落差が凄いです。
いやー、でも、このキャラはとてもいいです。素晴らしい。
脳味噌ゼロとしか思えないけど、馬鹿ではないです。明るく魅力的でいい女です。
男性も女性もそうですが、こういった太陽のような(性格の明るさや何やかやを含めて)人間は、とても魅力的だと思います。
そして、映画の物語に、何の脈絡もなく登場する不思議キャラぶりも素晴らしかったです。
いいキャラでした。
しかし、「ユマ・サーマン背が高いなあ」と思って見ていましたが、調べたら身長181cmでした。そりゃあ、高いです。
□Wikipedia - ユマ・サーマン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83 あと、IQ160ですか。演じているキャラとの落差が凄いです。
キャラというと、演出家とその一団がゲイなのですが、全員「おすぎとピーコ」のような挙動です。
あの怪しい動きは世界共通なのでしょうか?
あの動きは文化ではなく、持って生まれた何かなのでしょうか?
非常に気になりました。
以下、粗筋です。珍しく、出だしだけしか書いていません。まあ、それが全ての映画ですので。
往年の名プロデューサーは、今では駄作ばかりを量産するようになっていた。今では彼は、老婦人たちに取り入り、出資させるジゴロのような男になっていた。
ある日、彼の許に、会計事務所から会計士がやって来る。彼は、ミュージカルのプロデューサーになるのが夢で、往年の名プロデューサーの最盛期のチケットを今でも持ち歩いていた。
会計書類をチェックしていた会計士はふとした言葉を漏らす。「へー、ミュージカルは、失敗した時の方が儲かることもあるんですね」
その言葉を聞いたプロデューサーは、詳しい話を聞く。
出資金を大量に募り、低予算でミュージカルを作り、初日打ち切りになれば、配当金を払わずに済むという。
プロデューサーはこの会計士とコンビを組んで大儲けを企む。最初は渋っていた会計士だが、日常生活の退屈さから逃げ出すために、ショービジネス界に身を投じる。
「集めるのは、最低の脚本と、最低の演出家と、最低のキャストだ!」
その合言葉の下、二人は最低のミュージカルを作るために奔走する。
しかしまあ、二人がゲットする「最低の脚本」の「春の日のヒトラー」が素晴らしく最低でよいです。
ナチ狂いの男が書いたヒトラー礼讃の話です。
その「ヒトラー礼讃」の話を、「第三帝国」の意味も知らないゲイの演出家が、ハッピーに演出していきます。
「まあ、ドイツが負けるなんて暗いわ。明るい話にしましょうよ。そう、ドイツが勝たなきゃ駄目よ」
いやあ、頭が悪くて最高です。
こうやって、最低で最高のミュージカルが出来上がっていきます。
終盤の展開は、予想通りでした。というか、「コメディなんだから、絶対そうなるよね」という展開でした。
100人中、99人が「やっぱりなあ」と言うと思います。
そういったコテコテさも含めて、とても楽しい映画でした。