先々週の土曜日に、IKEA港北に行ってきました。
IKEAとは、スウェーデン発の巨大家具屋さんです。
オープンからしばらく経ったので、そろそろ行っても大混雑していないだろうと思い、見に行くことに決めました。
見たこともない形態の店舗は、いろいろな意味で勉強になりますので。
ちなみにIKEA港北は、JR新横浜駅からシャトルバスが出ています。なので、無料で行くことができます。
さて、IKEAについて、簡単な予備知識を書いておきます。
まずは、IKEAの日本語Webサイトです。
□IKEA
http://www.ikea.com/jp/ja/□IKEA - IKEA 港北
http://www.ikea.com/webapp/wcs/stores/servlet/... IKEAの歴史と特徴については、Wikipediaに詳しいです。
□Wikipedia - IKEA
http://ja.wikipedia.org/wiki/IKEA
さて、IKEAを簡単に言うと、「品質を保ちつつ、コストを最小限まで抑えたデザイナーズ家具を扱う巨大店舗」です。
実際に行って店に入ると分かるのですが、総合展示場のような巨大な倉庫の中に、どこまでも商品が並んでいるといった感じの場所です。
パーティションで切ってジャンル分けはしていますが、ありていに言うと、そんな感じです。
どれぐらい大きいか、Googleマップで調べようと思い、検索してみましたが、だだっ広い空き地が出てくるだけでした。
写真が古いのかもしれません。もしかしたら、この空き地が全部IKEAになっているのかもしれません。よく分かりません。
□GoogleMaps - IKEA港北
http://maps.google.com/maps?...拡大地図を表示
このIKEAのコスト削減の努力は、並々ならぬものがあります。
物流コストを下げるために、家具はパーツがばらばらの状態で売り、食器類などは重ね効率がよいようにデザインしています。
そうやって、少しでも安く、去年よりも安くと作っています。
実際、店に行くと「この本棚は、努力の結果、去年よりも1000円安くなりました!」みたいなことが書いてあります。
まあ、家具などはそんなに買う物ではないので、値段のインパクトはそれほどありませんでした。
しかし、食器類が、軒並み100円ショップよりも安いのは衝撃的でした。皿が1枚69円とかで売っているのはかなりのショックです。
家具を普段からよく買う人にとっては、きっと家具類もそういったショッキングな値段設定のはずです。
というわけで、実際に行った時の感想を、時系列順に書いて行こうと思います。
まずは、シャトルバスについてです。
平日は一時間に二本(だったと思う)、土日は一時間に四本のシャトルバスが、新横浜駅から出ています。
というわけで、まずは新横浜駅に行きました。
地下鉄の駅から出ると、200メートルぐらい先に、バス乗り場があるというIKEAの看板が出ており、矢印が書いてあります。
そこで、その矢印に従っていくと、T字路に突き当たります。案内は何もありません……。
結局、右に行くのが正解でした。
そして、そのT字路からだいぶ歩いた先に次の看板がありました。
不親切だなと思いました。もう少し、どうにかすればいいのに。
そういった問題はありましたが、どうにかバス停に着きました。
バス停には、長蛇の列が出来ていました。
しばらく経ち、シャトルバスがやって来ました。
IKEAのテーマカラーである、濃いブルーのバスです。黄色で「IKEA」と、でかでかと書いてあります。
バスに乗ると、車内は前半分には椅子がなく、後ろ半分にだけ椅子があります。
これはたぶん、帰りの客が大荷物を持っていることが前提なんだろうなと思いました。
車内には、当然のことながら、IKEAの製品の広告しか出ていません。
特徴的だったのは、車内にテレビがあり、IKEAでの商品の買い方(ちょっと特殊)の解説ビデオを延々と流していたことです。
これは、上手いやり方だなと思いました。
シャトルバスは、お店に着くまでに15〜20分ほど掛かります。その間に、事前説明をしてしまうわけです。
待ち時間を退屈させないだけでなく、店舗での特殊なショッピングの仕方まで教育する。正しいやり方だと感じました。
シャトルバスが到着しました。
やたらとでかい店舗にまず驚きます。実際は凄い奥行きがあるので、中に入った後の方が驚くのですが、まずはここで驚きます。
そして、店内に入場。
右手に、子供を預けるためのキッズコーナーがあり、正面に二階の展示場に続くエスカレーターがあります。
本当は左手に進むと、レジと「50円のソフトクリーム売り場」があるのですが、これは、ぱっと見は分からないようになっています。
動線的には、まずは二階に行ってもらわないといけないので、これは正しい見せ方だと思います。
ただ、シャトルバスでも、店の入り口でも、「50円のソフトクリーム」が大きく宣伝されていたので、レジにたどり着くまで、ずっとどこで売っているのか謎でした。
さて、エスカレーターに乗って、二階に上がります。
二階は、スウェーデン料理の店と、ショールームです。
スウェーデン料理の店は、一通り回った後に入ったので後述します。
三階〜五階は、P1、P2、P3となっているので、たぶん駐車場なのだと思います。
ショールームは、様々なコンセプトルームが展示してあります。
IKEAでは、ここで見た家具を専用のメモ用紙に記録していき、一階の超巨大倉庫でそのパーツを探して購入する仕組みになっています(これが「特殊な買い方」です)。
この、ショールームを回って思ったのは、「この店は、アパート暮らしの人間ではなく、家持ちの人が来る場所だな」ということです。
基本的にインテリアというものは、統一して揃えて始めてデザイン的意味が出て来るものです。
そういったことをするには、ここで一部屋全ての家具を買う気でなければなりません。
それはちょっと辛いです。
また、このショールームを回っていて思ったのは、背の高い家具が多いということです。
私が今住んでいる部屋は、背伸びをせずに天井に手が届きます(低い!)。
そして、ショールームで売っていた家具の多くが、私が手を上に伸ばしたよりも大きな家具です。
「うわあ、私の部屋に入らないや」と思いました。
背の低い家具もあるのですが、ショールームでは、そういった家具はあまり前面に出して売ろうとしていません。
なんというか、都会のアパート暮らしの人間を落ち込ませる店だなと思いました。
この二階には、子供向けの商品(ぬいぐるみや玩具)も、色々と売られていました。
玩具は、木のおもちゃなどが多く、家が大きければ似合いそうだなと思いました。
ぬいぐるみは、正直言って駄目だなと思いました。日本人のセンスからかけ離れ過ぎています。
中でも、ネズミのぬいぐるみが酷かったです。気持ち悪くて怖いです。
よれよれの髭に、虚ろな目、やる気のなさそうに垂れ下がった腕と足。まるで、ネズミの死体を拾ってきたようです。
やはり、かわいい人形系は、日本人の方がセンスがいいよなと思いました。
次は一階に下りました。
二階の倍ぐらいの広さがあります。いや、体感的には、三倍か四倍ぐらいあるかもしれません。実際の広さはよく分かりませんが。
二階では、だいぶ浮き世離れした印象を持っていましたが、一階に下りて、急に目の色が変わりました。
一階の序盤は食器や調理器具類、中盤はインテリアや小物類、終盤は超巨大家具部品倉庫になっています。
この、食器類の安さに驚きました。
既に書きましたが、100円ショップよりも安い食器が多数並んでいます。これは、衝撃的でした。
安いのは食器類だけではありません。蝋燭とか、信じられない安さで山積みされており、目の玉が飛び出ます。
いろいろと漁って買おうかと思いましたが、よく考えたら置き場所もないですし、そもそも足りない物もないのでやめました。
それに、この時点でどれぐらい店舗が広いか全く分からなかったので買うのを控えました。
これは、後で考えれば正解でした。
この、一階の序盤と中盤を歩いているうちに、相当疲労してきます。なんやかやで、店に入ってから90分ぐらいは歩かされ続けています。
いい運動です。ハイキングに来たような気分です。
IKEAに行く時は、歩きやすい靴を履いていかないと、途中で遭難します。いやもう本当に。
そして、超巨大家具部品倉庫です。
本当は、ここがIKEAの心臓部です。高額価格帯の商品が、超高密度で積載されている場所です。
家具屋としてのIKEAの本体とも言っていい部分です。
天井(かなり高い)まで続く棚が、延々と端まで続いており、端の方の人が小さく見えます。
この店で家具を買う時は、本当に気合いを入れて来ないと、途中で挫折するなと、本気で思いました。
少なくとも、洒落や酔狂で買いに来る場所ではありません。
そして、ようやくレジです。
このレジに来て、「わー、洒落で食器とか買わなくてよかった」と思いました。
まるでコミケのような長蛇の列ができています。
この、IKEAという店なのですが、あらゆる経費を極限まで削減するという方針でできています。
なので、店の巨大さに比べて、驚くほど店員が少ないです。というか、店員を滅多に見掛けません。
万引き対策とかどうしているんだ? と思うほど、店員がまったくいません。
その方針が、このレジにも適用されていて、店の巨大さに比べて、レジの数が極端に少ないのです。
いや、実際は、普通の店よりも、よほどレジの数は多いのですが、この規模の店にしては少な過ぎます。
そのせいで、レジにたどり着くのに、数十分掛かりそうなほどの列ができています。
私は「何も買わずに正解だった」と、冷や汗を掻きながら、脇から出て行きました。
そして、レジを出た先には、ソフトクリーム屋がありました。
散々探していた「50円のソフトクリーム屋」です。
「なるほど、省コストで、とことん客を疲労させた後、この50円のソフトクリームで、リフレッシュさせるという作戦か」と思いました。
そりゃあ、入り口にソフトクリーム屋がないわけです。先に食べられると、この作戦が使えなくなりますから。
そして、「リフレッシュのために50円を払わせるのか。上手いな」と思いました。
さて、この後は、スウェーデン料理の店に入って食事を食べたのですが、ここまでで、書かなかったことを先に書こうと思います。
それは、IKEAの商品のデザインについてです。
IKEAの特徴は、各商品のデザインにとことんまでこだわっていることです。
そして、それぞれの商品をデザインしたデザイナーについて、前面に押し出していることです。
各商品のコーナーには、その商品をデザインした人の全身写真と名前が、壁一面にでかでかと張り出されています。
これは、日本のお店にはない売り方だなと思いました。
日本では、この規模の店で、これほど「人」を出す売り方は見ないので。
この売り方は、店舗だけでなく、カタログにもそのまま適用されています。
ともかく、デザイナーの写真がたくさん載っています。
ちなみに、IKEAの商品カタログ(厚さ7mmぐらいある)ですが、うちのポストにも投函されていました。
なので多分、横浜の商圏の各家庭に、ポスティングしているようです。
ちょっと信じられないのですが、シャトルバスを無料で運行していることも含めて、このカタログをポストで見た時には、巨大店舗の凄さというものを肌で感じました。
さて、デザインの話に戻ります。
基本的に、無地の商品は、問題ありません。
しかし、色や模様が塗ってある商品のデザインは、日本人好みではありません。
ありていに言うと、けばけばしい。そして、大振り。
なので、「もし買うとしても無地の商品だけだよな」と思いました。
私は、すっきりしているデザインが好きですので。
店舗を見る限り、日本人デザイナーはいないようですので、これは、この店の今後の課題になるだろうなと感じました。
明らかに、売れる商品と売れない商品の落差が出そうでしたので。
そして、最後は二階に戻ってスウェーデン料理の店で食事です。
学食っぽいです。というか、学食システムです。
トレイを持って、食べ物を取って、レジで清算。
店の好きな場所に行って食事を食べ、セルフサービスで下膳です。
店内で特徴的なのは、家具やインテリアが全てIKEAの売り物で、値段が書いてあることです。
気に入れば、店で買って帰れというわけです。
さて、食事です。
高いのか安いのか正直よく分かりません。スウェーデン料理という珍しい料理なので、割高なのだろうと思うのですが、セルフサービスなために、それほど高いわけでもありません。
なので、普通の店よりも少し高いけど、サービスは学食という、よく分からない値段感覚になっています。
肝心の味なのですが、「まあ、珍しいよね」という感じです。
IKEAに行くと、ここしか食べる場所がないし、珍しいから食べますが、家の近くに同じ味の店があったら行かないなという感じです。
面白かったのは、肉団子にジャムを付けて食べることでしょうか。そういえば、そういう食べ方があったなと思いながら、ジャムは一度だけ付けて、それ以降付けませんでした。
まあ、年に一〜二回ぐらいしか行かない店だと思いますので、その時ぐらいは珍しいスウェーデン料理を食べるのもありかなと思いました。
でもまあ、基本的に、赤道から離れれば離れるほど食材は減り、料理の幅が狭くなりますから、それほど期待してはいけないよなというのが結論でした。
あと、デザートは、コンビニのデザートみたいでした。
さて、食事が終わった後は、シャトルバスで新横浜駅に帰還です。
なんやかやで、二時間ぐらいはIKEAにいた(そのほとんどは歩いていた)と思いますので、結構疲れました。
何か買う時は、かなり気合いを入れて、それも平日に来ないと駄目だなというのが、個人的な結論でした。