映画「乙女の祈り」のDVDを七月下旬に見ました。
1994年の作品で、原題は「HEAVENLY CREATURES」。監督は「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソンです。
脚本は、ピーター・ジャクソンと、彼の夫人(内縁の妻)のフラン・ウォルシュです。
彼女は、ロード・オブ・ザ・リングの脚本でもあります。
□Wkipdedia - フラン・ウォルシュ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83... 映画は、突き抜けて盛り上がる場所のある映画ではなかったですが、面白かったです。
以下、ネタバレ的なことが入ります。
実在の事件を元にした映画なので、気にならない人は無視して読んでもいいと思います。
さて、映画は、実際に起こった事件を元にしています。
二人の女の子が、田舎町で創作に没頭しつつ心を通わせ、そして二人の仲を引き裂く母親を殺害するという事件です。
主役の女の子の一人は、ニュージーランドの田舎町の貧しい家に生まれた鬱屈した不細工の少女です。
もう一人の女の子は、美人の転校生で、想像力に富んでいて創作意欲が高いが病弱な少女です。
この二人が、魂のマブダチとなり、自分たちの作る想像の世界に没頭していきます。
この映画を見て、一番最初に思ったのは、この不細工な方の少女(メラニー・リンスキー)の顔と体付きが、「スクール・オブ・ロック」や「キングコング」のジャック・ブラックにそっくりなことです。
まるで、女版ジャック・ブラックです。
もしかして、ピーター・ジャクソンって、こういう容姿の人が好みなのかなと思いました。「キングコング」でジャック・ブラックを主人公にしていますし。
ただ単に偶然だと思うのですが、それにしては似過ぎでした。
ちなみに、もう一人の女の子は「タイタニック」のケイト・ウィンスレットでした。
この頃は、まだムチムチしていない少女です(その代わり、顔の作りはいびつですが)。
何が、彼女をあそこまでムチムチにしたのだろうかと、少し気になりました。
映画は、現代物ですが、二人の妄想世界に入ると、粘土人形による中世ヨーロッパ風ファンタジーになります。
ここらへんは、後の「ロード・オブ・ザ・リング」に生きているのかなと思いました。
あと、この殺人を犯した二人の少女の内、文才のある方の美人の少女は、後に小説家になります。
ミステリー作家として、ベストセラーを何本も出しているアン・ペリーという人だそうです。
□Wikipedia - アン・ペリー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82... 映画のDVDには、この関係が明らかになった経緯が書いてありました。
映画公開後に、彼女が名乗り出たらしく、ピーター・ジャクソンは驚いて、どうコメントすればいいかよく分からなかったといったことが書いてありました。
そりゃあ、びっくりするでしょう。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。最後の方まで書いています)
ニュージーランドの田舎町に、一人の女の子が転校してくる。
彼女は才気溢れて美人だったが、どこか人と変わった雰囲気を持つ女の子だった。
そんな彼女と、落ちこぼれで不細工な女の子が仲良くなる。
不細工な女の子にとって、美人の転校生は眩しい存在だった。
二人は、家柄も大きく違っていた。
美人の女の子の父親は大学の学長。不細工な女の子は労働者階級。
だが二人は、想像の世界で物語を作っていくという作業に没頭し、姉妹のように振る舞っていく。
そんな彼女たちのことを、二人の両親たちは快く思っていなかった。
周囲の者たちは、彼女たちをレズビアンだと見なした。その時代の田舎町では、許されない関係だった。
そして両親たちは二人を遠ざけようとする。
そして、美人の女の子が、かつて罹っていた結核をぶり返すことで、二人は物理的に遠ざけられる。
しかし、二人は手紙をやり取りすることで、心を繋ぎ続けた。
そして、退院とともに二人の仲は元に戻る。
そんな中、美人の女の子の両親が離婚することになる。美人の女の子は、ニュージーランドから離れて南アフリカに行くことになる。
二人は仲を引き裂かれそうになる。彼女たちは、その元凶として、不細工な女の子の母親が一番悪いと考える。
そして二人は計画を練り、その母親を殺害する計画を実行に移す。
この映画の主人公二人のこういった関係は、思春期の女の子では割とあるのではないかと思いました。
映画を見ながら思い出したのは、京極夏彦の「魍魎の匣」です。
この小説でも、こういった関係の女の子が出てきますので。
少女漫画でも、同じような関係はいろいろとありそうだなと思いました。