映画「ビートニク」のDVDを九月上旬に見ました。
1999年の作品で、原題は「The Source」。アメリカの文化史の重要なピースの一つ、ビート・ジェネレーションについて年代順に追っていくドキュメンタリー作品です。
なぜこの作品に興味を持ったかというと、そもそもの切っ掛けは川端裕人の「リスクテイカー」です。
この作品で、ポエトリー・リーディングの話が出てきて、そこからビートニクについて興味を持ち、長らく記憶していたのでこの映画を借りてきました。
というわけで、以下、私なりに調べて、こうだろうと思ったビートニクについて少し書いておきます。
まず、時代背景です。
ビートニクは、1950年代の文化ムーブメントです。
この文化ムーブメントは、1944年にウィリアム・バロウズ、アレン・ギンズバーグ、ジャック・ケルアックという三人が出会ったことで始まります。
□ビートとはなにか?
http://vivre-sa-vie.hp.infoseek.co.jp/eigakatariki/BEAT/beat%20toha.htm□ビートニク
http://www3.ocn.ne.jp/~zip2000/beatnik.htm□Wikipedia - ビート・ジェネレーション
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83... この1950年代という年代については、私たちにとっては身近な、「ベトナム戦争(1960〜1975年)→ヒッピー文化」のように、「第二次大戦終結(1945年)+冷戦開始→ビートニク」という対応関係と解釈してよいと思います。
また、その後の文化に影響を与えたという意味では、「ビートニク→ヒッピー文化」という発展的な流れになっているようです。
実際、映画では、そういった描かれ方をしていました。
つまり、そういった時代的位置と、文化史的位置に属するムーブメントというわけです。
また、ビートニクという用語の「ニク」は、スプートニク(1957年)の「ニク」から引っ掛けて付けられたそうです。
□Wikipedia - スプートニク計画
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82...
次に、主要三人物の代表作について書いていきます。
● ウィリアム・バロウズ
「裸のランチ」(デヴィッド・クローネンバーグが映画化。薬と虫と肛門の映画)
□Wikipedia - ウィリアム・S・バロウズ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82...● アレン・ギンズバーグ
「吠える」
□関心空間 - アレン・ギンズバーグ (Allen Ginsberg)
http://www.kanshin.com/keyword/22494● ジャック・ケルアック
「路上」
□Wikipedia - ジャック・ケルアック
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82...
さて、映画の感想です。
「ドキュメンタリーだ」
特に映画的なストーリーはありません。当時の映像や現代の生き残りのインタビューを交え、1944年の出会い当時をまず語り、次に50年代、60年代、70年代とその変遷を見て行くという内容です。
興味のない人にとっては多分退屈だと思います。
逆に、興味がある人にとっては、「ああ、あの作品はこういう流れで出て来たのか」「この人とこの人は、ここで繋がっていたのか」「なるほど、あの映画の撮影された頃の文化的背景はこうだったのか」などと、なかなか面白い内容だと思います。
私は後者の楽しみ方をしました。
この映画を見て思ったのは、私の世代にとって「現代」はベトナム戦争以後で、「近代」は第二次世界大戦以前なんだなということです。
ベトナム戦争以後も、第二次世界大戦以前も、映像メディアや本などで散々見聞きしているのですが、この間というのは知識としてはぽっかりと空いてしまっています。
いやまあ、ゼロというわけではないのですが、密度が薄いです。
そういう部分を知る際の手掛かりとなるという意味で、この映画は役に立ちました。
まあ、映画というよりは、映像ドキュメンタリーなのですが。
今回、粗筋は割愛します。
特にストーリーがあるというタイプの作品ではありませんので。