映画「夜の大捜査線」のDVDを、十一日前に見ました。
1967年の映画で、原題は「In The Heat Of The Night」。
ノーマン・ジュイソンが監督で、スティーリング・シリファントが脚本です。
主役は、シドニー・ポワチエ(黒人)と、ロッド・スタイガー(白人)です。
この組み合わせと邦題で分かる通り、黒人と白人の刑事コンビ物の映画です。
しかしまあ、シドニー・ポワチエは知的な外見をしていますね。
このちょっと後に「招かれざる客」も見て思いましたが、非常に頭がよさそうで誠実そうな容姿をしています。
こういった外見は、俳優としては武器になりますね。
さて、映画です。
面白かったです。
コメディ要素は一切ないのですが、そのシチュエーションゆえに、にやにやしながら見ることができます。
というわけで、まずは、粗筋を書いた方が分かりやすいので、先に書きます。
以下、粗筋です。(ネタバレ特になし。序盤だけ書いています)
アメリカ南部の町。
最近警察署長になった男の管区で、殺人事件が起こった。町にとって重要な人物である、ある実業家が殺されたのだ。
警察官の一人が、その容疑者として、深夜の駅にいた黒人男性を連れてくる。
その黒人男性は、きちんとしたスーツを着ていた。
警察官と署長は、その男が怪しいと思い、尋問しようとする。しかし、彼は北部の警察官だった。それも、凄腕の殺人課の刑事だった。
北部では南部と違い、黒人差別があまりなく、彼は北部ではエリートで、南部の警察官たちよりも高い給料をもらっていた。
黒人刑事は、休暇を利用して、母の住む南部を訪れていたのだ。
警察署長は、北部の警察署に連絡して彼の素性を確認する。誤認逮捕も甚だしく、彼は面子を潰す。
さらに、悪いことに、その町では殺人事件などこれまでほとんどなく、事件解決の方策が見つかっていなかった。
そして、その解決の手助けのためとして、北部の警察署長から、黒人刑事に協力させると言われてしまう。
警察署長も、黒人刑事も断ろうとする。だが、北部の警察署長は陽気にそのことを受け流す。
そして、白人の警察署長と、黒人刑事の合同捜査が始まった。
南部は差別の町で、あらゆる人が、黒人刑事が黒人なのにエリートであることを忌み嫌う。
警察署長自身はそれほど差別意識はないが、無用のトラブルを招く元になると思い、はらはらする。
黒人刑事は、そういった微妙な立場にいる署長を同情する。
二人の奇妙なコンビは、互いの立場にギクシャクしながらも、徐々に殺人事件の犯人に近づいていく……。
というように、コメディ要素は一切ないのですが、コメディのように面白かったです。
なかなかよくできた映画だなと思いました。
しかしまあ、黒人刑事が一番知的で慎み深く、出てくる白人たちが、ことごとく頭が悪く、野蛮なのは凄いなあと思いました。
あと、反目しあっていた二人が、互いのプロ意識を見て協力する気になるというのは、定番だよなと思いました。
この映画では、検死に立ち会った黒人刑事が、凄い勢いで知識と経験を見せ、それで署長が心を決めます。
一応、ミステリーとしてのセオリーを守って、捜査や推理を行っているのですが、そういった謎解きは余り気にならず、それよりも、二人のぎくしゃくした関係が面白かったです。
これは、楽しい映画だと思いました。
こういう風に、キャラの配置だけで、面白さが転がるようにするのは大切なことだと感じました。
互いに「言わなくても分かる。だから言うな」「分かった。あんたもなかなか大変だな」という無言の会話が、目線だけで交わされるのが面白かったです。