映画「アース」を劇場で昨日見てきました。
「ディープ・ブルー」のスタッフが再結集して作ったという自然系映像作品です。
前回の「ディープ・ブルー」の時、映画館に行かずにDVDで見て、「この手の映像は金を払ってでも大画面で見るべきだよな」と反省したので、映画館に行ってきました。
映像は相変わらず凄かったです。
ただ、編集は「ディープ・ブルー」の方がよかったと思います。
「ディープ・ブルー」の方は、シナリオの切り替わりごとに、「ともかく驚く映像」を見せて、興奮を煽ってくれましたので。
「アース」はその面でパンチが弱く、少し眠気を誘う部分もありました。
でもまあ、この手の自然系映像作品としては、きちんと物語性も持たせていて、そこら辺は上手いなと思いました。
以下、物語性の部分を書きます。
この作品は、北極から始まり、徐々に南下していき、いくつかの動物の大移動を繋いで南極まで見ていくという形式を取っています。
展開は、だいたいこんな感じです。
南極で北極熊、寒帯や亜寒帯のトナカイの大移動、ヒマラヤを越えてインドに行く鶴、アフリカの象の大移動、鯨の赤道から南極への回遊。
そして、そういった“渡り”をする動物たちのドラマを軸に、チーターやホオジロザメ、ゴクラクチョウなどのいくつかの映像を差し挟み、最後は北極熊に戻って終わりという展開です。
それぞれの動物の映像が、思った以上に“ドラマ”として意味を持っていて、これをきちんと撮るのは大変そうだなと思いました。
個人的には、水を求めて移動する象がどんどん痩せていき、背骨がくっきりと見えていくのが生々しいなと思いました。
また物語性としては、上記のような“大移動”を縦軸にして、“親子のドラマ”を横軸に組み込んでいます。
北極熊の親子や、トナカイの親子、象の親子、鯨の親子などです。
この“親子”が必死に移動したり、外敵と戦ったりする様子を描くことで、上手くサスペンスを導入しています。
非常にベタですが、有効な方法だと思いました。
また、「この手法だ!」と決めたら、一作品中徹底的に繰り返す手法は「ディープ・ブルー」と同じだなと思いました。
基本的に「親子で進んで子供がピンチ」の繰り返しでしたので。
一つ気になったのは「肉食獣が狙うのは子供ばっかり」だったことです。
まあ、弱いところを狙うのはセオリーですから。
とはいえ、この映画だけを見たら、まるで肉食獣が狙うのは子供限定という風に見えます。
親子連れが多かったので、子供がそういった考えを持ちそうだなと思いました。
映画は、渡辺謙がナレーションでした。
普段は映画は字幕で見るようにしているのですが、この映画に限ってはこれが正解でした。
映像を見るのが主で、言葉は添え物ですので。それに、字幕を見て映像を見逃すのは損ですし。何より、映像が字幕で潰れるのは勿体ないですので。
映画として面白いかは疑問の作品でしたが、脳内映像ライブラリーとしては見ておきたい映画だと思いました。なので満足しました。
個人的には、ホオジロザメのジャンプが凄かったです。
あんなのに襲われたら、そりゃあ死にます。
また、ゴリラや猿などの霊長類は、種が近いせいかやたら笑えました。映画は、けっこう笑いのシーンも入れてあり、上手いなと思いました。
あと、四季の移り変わりを捕らえる映像が、地味だけど凄いなと思いました。
基本的に、どのシーンも撮影を考えると大変そうな映像ばかりです。
あと、最後の環境保護の説教臭い部分は、ちょっとどうかなと思いましたが、まあ時代の流れなので仕方がないのでしょう。
映画にはBBCのクレジットが入っていました。BBC Worldwide。
やるなあBBCと思いました。