映画「プロデューサーズ」(旧版)のDVDを十二月上旬に見ました。
最近映画になった、「プロデューサーズ」のオリジナル版です。
映画(1968年)→ミュージカル(2001年)→再映画(2005年)という流れになっています。
というわけで、今回見たのは1968年の作品で、監督・脚本はメル・ブルックス。主演はゼロ・モステルとジーン・ワイルダーです。
この作品は、ツタヤディスカスで、アカデミー賞の「脚本賞流し」として登録しているリストに従って届きました。
けっこう、脚本賞を取っている映画で、DVD化されていないのが多いのでびっくりしています。古いのになると、半分ぐらいがDVD化されていません。
もったいないなあと思います。あれば確実に見るのに。
さて、新版もよかったですが、旧版もよかったです。
そして「新版は正しいリメイクになっているな」と感心しました。
理由は「予算」です。
オリジナル版は、監督の初監督作品で「低予算」の映画でした。
対してリメイク版では、成功した後で予算が大量にありました。
そのことを活かして新版では、旧版の基本コンセプトとシナリオを踏襲しつつ、「低予算ゆえにできなかった部分」を作り込んでいます。
映画の時間自体は、新版が三十分ほど長くなっています。
そのほとんどは、ミュージカル部分です。お金の掛かる部分です。
これは、リメイクする意味のあるリメイクです。
こういうリメイクの仕方は評価できます。
逆に言うと、旧版はミュージカルをテーマにした映画なのに、ほとんどミュージカルシーンがないです。
なぜならば、「予算がないから」。
旧版のミュージカルシーンは、「ヒトラーの春」の公演シーンのみです。
新版を見た後、旧版を見ると「お金がなかったから、ここだけなんだろうな」というのがありありと分かります。
まあでも、面白いからよいのですが。
(注:実際は、旧版の完全なリメイクではありません。新版は、ミュージカル版の映画化です)
あと、新版と旧版の大きな違いは「お色気美人秘書ウーラ」のクローズアップです。
新版の方が、大きく取り扱われています。
これは「お色気部門の増強だろう」と思います。興行的には非常に大切なことです。
映画によっては、「お色気」部分が話題になり、みんなが熱く語り合うこともありますので。
最近で「お色気」が印象に残った映画と言えば、「妖怪大戦争」とか「シンシティ」とかでしょうか。
あれは、いい「お色気」でした。
新版と旧版では、もう一つ大きく違うところがあります。(以下、少しネタバレあり)
それは、ヒトラー役です。
新版では、ヒトラー役をゲイの演出家が演じていましたが、旧版では違う登場人物が演じています。
それは、ラブ&ピース風の前衛ポップシンガーです。
いや〜、こいつもなかなか濃いキャラでした。
花を持って、体をくねらせながら、愛について歌い続けます。
さて、今回の旧版の粗筋は新版と同じです。なので、簡単に紹介しておきます。
以下、粗筋です。
昔は敏腕プロデューサーだった男は、今では老女相手に出資を募って興行をする場末のプロデューサーになっていた。
その彼の許に、一人の会計士がやって来る。
引っ込み思案のその彼が言った一言で、二人の人生は一変する。
「ミュージカルは、失敗した方が儲かることもあるんですね……」
そう。大量に出資を募り、一日で芝居が打ち切りになれば、配当を一切払わずに済み、大儲けすることができる!
二人は、その計画を実行するために、最低の脚本と、最低の演出家と、最低の役者を集め出した。
そして、「ヒトラーの春」と題された、ヒトラー礼賛のミュージカルが上演されることになった……。
DVDには、映像特典で、インタビューが付いていました。
その中で、面白かったエピソードを書いておきます。
それは、最初に「ドイツ狂いの脚本家」の役をダスティン・ホフマンがやる予定だったことです。
しかし、ダスティン・ホフマンが卒業のオーディションに受かってしまったので流れてしまったそうです。
ダスティン・ホフマンにとっては、この映画よりも「卒業」に出た方がよかったと思います。
ええもう本当に。
でも、ダスティン・ホフマンの「狂った脚本家」も見てみたいのは見てみたいです。