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2008年10月27日 15:33:37
エターナルサンシャイン
 映画「エターナル・サンシャイン」のDVDを九月中旬に見ました。

 2004年の作品で、監督はミシェル・ゴンドリー、脚本はチャーリー・カウフマンです。

 ミシェル・ゴンドリーは、最近では「僕らのミライへ逆回転」(2008)を撮っています。

 チャーリー・カウフマンは、「マルコヴィッチの穴」(1999)で有名な人です。

 というわけで、一癖も二癖もある脚本を、映像作品的に面白い物を撮る人が組み立てた作品になっています。

 面白かったです。



 さてこの映画なのですが、映画が始まってしばらく経って、「主人公はジム・キャリーに似ているな、けど違う人っぽいな」と思ったら、ジム・キャリーでした。

 なぜ最初に違うと思ったかと言うと、抑えた演技で、前髪を目の辺りまで垂らしていたからです。

 ジム・キャリーは「笑い」の演技も上手いけど「泣き」の演技も上手いので、この映画のような恋愛系泣き映画にも合うなと思いました。

 あと、映画が終わってスタッフ・ロールまで気付きませんでしたが、ヒロインはケイト・ウィンスレット(「タイタニック」のヒロイン)でした。

 ケイト・ウィンスレットと言うと、大きくて太くて強そうなイメージがあったのですが、この映画では一回り小さく、繊細な印象でした。

 そういった感じで、主人公と、その相手役とともに、いつもとは少し違う印象でした。



 あと、この映画では、脇役も知っている俳優が出ていました。

 キルステン・ダンストと、イライジャ・ウッドです。

 キルステン・ダンストは、この映画では「スイーツ(笑)」な感じのキャラでした。

 この俳優さんは、抑えた表情だと可愛いんですが、感情が爆発した演技のところに来ると顔が崩れるなと思います。

 あと、スタイルはいいですね。というか、裸の体のラインが実に可愛いです。

 この人は完全なサブキャラだろうと思って、舐めて見ていましたが、重要な役どころのキャラでした。

 イライジャ・ウッドは、無垢そうな顔をしていて、酷いことをしているキャラでした。

 映画の中で、もっと突っ込まれてもいいだろうと思いました。



 さて、本作なのですが、できはよかったのですが、記憶に残らない映画だなと思いました。

 映画を見て、今回感想を書くために調べ物をするまで、どんな内容の映画だったのか忘れていました。

 ここまで見込んで映画が作られていたら「凄い」と思うのですが(記憶消去物の映画なので)、たぶんそうではないです。

 なぜ忘れていたのか考えましたが、二つの理由があると思います。



 一つはタイトルです。

「エターナル・サンシャイン」となっていますが、そこから連想するイメージとこの映画の内容は特に合致していません。

 そのため、タイトルをトリガーとして、映画の中身を思い出すことができません。



 もう一つは印象的なシーンがないことです。

 この映画は、消去される記憶の中を逃げ回るといった構成なのですが、上書きループをしながら、シーンの切れ目を映像的演出で繋いでいくといった手法を取っています。

 そのため、鮮烈な印象を残す「その映画の代表となるシーン」が存在していません。また、ブロック単位でシーンを記憶できなくなっています。

 そのせいで「記憶しやすい内容」ではなくなっているので、記憶しにくいのだと思います。

 手法としては面白かったのですが、弊害のある手法だなと感じました。

 たぶん、映画館で見るともっと記憶できていたのではないかと思います。



 さて、本作は、脚本がチャーリー・カウフマンということで、脚本自体が仕掛けに満ちた内容になっています。

 しかし「マルコヴィッチの穴」のような、発想と展開とシーンの飛躍はなく、狭い範囲でのループ物の話になっています。

 面白いのは面白いと思いましたが、もう少し広がりのある物語の方がよかったかなと感じました。

 でもまあ、終盤の「繋がり感」は、さすがによくできているなと思いました。



 以下、粗筋です。(少しネタバレあり。終盤直前まで書いています)

 主人公は中年の男性。彼は一人の女性と恋に落ち、付き合い出す。

 しかし、交際していく内に、互いの欠点も見えてきて、互いに反発し出す。

 そんなある日、彼女は、記憶消去のために精神科医を訪れる。そして、主人公に関する記憶を消してしまう。

 突然の仕打ちに悲嘆にくれる主人公。

 そして彼も、記憶消去のために精神科医に行く。

 そこで彼は、彼女の思い出の品を大量に持ってくるようにと指示される。そして、その物品に対する脳の反応を記録されていく。

 その日の夜、彼の部屋に精神科医のスタッフたちがやって来る。そして、眠っている内に機械を使い、昼に記録したデータを元に記憶を消していく。

 主人公は夢の中で、彼女の記憶を次々に消されていく。

 だが、彼女のことを忘れられない主人公は、夢の中で、その記憶消去と戦い、“彼女”を消去から救おうとする。

 現実の世界では、精神科医のスタッフの一人が、彼女の持ってきた思い出の品から彼女の好みを熟知して、恋人の座を奪っている。

 主人公は夢の中で奮闘するが、眠りから覚めなければ現実の世界に影響を及ぼすことはできない。

 しかし奇跡は起こった。主人公が抵抗を続けたせいで、機械が誤作動を始めた。精神科医のスタッフたちはボスを呼ぶ。

 そしてそのことが、物語を意外な結末へと導いていく……。



 何気にSFです。

 上手いなと思ったのは、記憶消去の手法です。

 それぞれの思い出の品に対する反応を記録して、その反応のカウンターをぶつけることで、思い出を打ち消していきます。

 この「思い出の品」→「反応」→「カウンター」→「消去」というコンボがあるので、「消去」に抵抗する主人公は、次々と「思い出の品」に関するエピソードの中で「消去」と戦っていくという展開になります。

 このギミックのおかげで、話が非常にスムーズに流れていきます。

 そして、映像的にも「様々なシーンを断片的に繋ぐ」という演出に必然性を持たせています。

 ここらへんは、脚本の勝利だなと思いました。



 恋愛映画の姿を取っていますが、実はSF好きな人向けの映画じゃないかと個人的には思いました。
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