映画「マルホランド・ドライブ」のDVDを九月の中旬に見ました。
2001年の映画で、監督、脚本はデヴィッド・リンチです。
見た感想は、端的に言うと、投げっぱなしジャーマンです。
映像的には最後まで引っ張っていく力があるものの、映画や物語としては失敗作でした。
散りばめた謎を解決する気がなく、そのまま謎のまま放り出しています。
DVDには映像特典が付いていたのですが、元々テレビシリーズとして撮っていて、「謎の答えは作っていく内に考えればいい」と思っていたそうです。
そして、急遽映画になったので適当な落ちを付けたということでした。
さすがにそれで辻褄が合っている訳がありません。
というわけで、伏線が伏線として機能していない点が多い映画でした。
以下、粗筋です。(知っていたからどうこうといった映画ではないので、途中まで普通に書きます)
交通事故現場から一人の女性が逃げ出した。彼女は住人が旅行に出た部屋に潜り込む。
その部屋に、住人の姪で女優志願の女性が、短期滞在目的でやって来た。
彼女は部屋に知らない女性がいることに驚く。その女性は記憶喪失で大金を持っていた。
女優志願の女性は、記憶喪失の女性とともに、なぜ記憶を失ったのか、なぜ大金を持っているのか調べ出す。
その頃、一人の映画監督が出資者と揉めていた。出資者は、ある女性を主役に選ぶようにと映画監督に強要する。
監督は頭に来て断るが、全ての資産を凍結されて、仕方なくその出資者の意向に従う。
女優志願の女性は、ある映画のオーディションに出る。しかしエージェントは、この映画は駄目だからと、他の映画を薦める。
彼女は、他の映画のオーディション現場に行く。そこでは映画監督が、望まない女性を主役に選んでいた。彼は、女優志願の女性を見て興味を持つが、接点は得られない。
女優志願の女性は、記憶喪失の女性とともに、調査を続ける。記憶喪失の女性がいたと思われる場所に行った二人は、そこで女性の死体を発見してしまう……。
イメージの力が強いシーンはいくつもあるのですが、それが何かの物語を紡ぎ出しているわけではありません。
この映画を褒める人は、たぶん整合性や構造に興味がない人だと思います。
そういう意味では、映画というよりは、映像アート作品でした。