映画「クローバーフィールド/HAKAISHA」のDVDを九月下旬に見ました。
2008年の映画で、監督はマット・リーヴス、脚本はドリュー・ゴダードです。
面白かったです。
体験型アトラクション系映画とでも言うのでしょうか、怪獣に襲われたニューヨーク市民の視点で、ドキドキしながら街を動き回ることができました。
というか、そのままゲームになるんじゃないのと思いました。いや、バイオハザード系ゲームの影響を受けている部分もかなりありそうですが。
85分と、この手の映画の長さとしてはちょうどよく、密度濃く楽しめました。
さて、この映画は「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999)のように、手持ちカメラ系の映画です。
しかし、非常に金が掛かっており、綿密に計算がされています。
この映画は「大怪獣が町に攻めてきたら?」というifの中で、巻き込まれた一般市民が、逃げ回ったり、恋人を助けに行ったりする様を、延々と一つのカメラで撮影し続けるという内容になっています。
でも、これが退屈ではありません。興奮します。
上手いなと思うのは、「映像を撮る理由」を最初にきちんと与えていることです。
そして「映像を途中で止める」というアクションを入れていることです。
また「テープは上書き録画していて、止めたところで、元の映像がインサートされる」というギミックも入っています。
当然、これらが上手く仕掛けとして作動していて、話に筋道を作ったり、盛り上げたりしています。
ここら辺は、本当に計算づくという感じです。
次に映画で上手いなと思ったのは、上陸した怪獣が断片的に出てきて、主人公たちと無関係に街を破壊していきながら、それが主人公たちの行く手にきちんと現れることです。
怪獣や軍隊、それらが映像的なイベントとして非常に鮮烈に迫ってきます。
ここは本当に金が掛かっています。
そして、アトラクションとして非常に楽しめます。
また、カメラワークも凝っています。ある意味、究極の長回しなので。
さらに特筆すべきは、説明がほとんどないけれど、お約束や予備知識でニヤニヤしながら映画を見られることです。
「これって、きっとあれだよね」
「あ、あのネタで、こいつはこうなったんだ」
などというように、過去の怪獣系、クリーチャー系の映画の知識を使って補完することで、説明なしに話を楽しむことができます。
ここは非常に楽しめました。
この部分は、実際に映画を見て、各自楽しむとよいと思いました。
しかしまあ、怪獣が気持ち悪くてよかったです。
ゴジラと、エイリアンと、蛸と、エヴァンゲリオンの使徒を足して割ったようなウネウネ系モンスターでした。
造形だけでなく、動きもよいです。溜めと勢いと画面占有率のバランスがよく、緊張と興奮を同時に味わうことができました。
アクション系映画やクリーチャー系映画が好きな人は、文句なしに楽しめると思います。
以下、粗筋です。(大きなネタバレがないように、序盤だけ書きます)
主人公は、ニューヨーク在住の若者である。彼は勤めている会社の東京支社に転勤が決まっていた。
その彼のサプライズパーティーでのことである。主人公は、一日だけ付き合った女性と喧嘩をした。
このパーティーでは、一人の若者がビデオを回していた。彼は冴えない男で、パーティー出席者全員からメッセージをもらうように言われていた。
彼は最初嫌がっていた。しかし、パーティーに来ている前から好きだった女の子と話す機会だと言われて、その役を引き受けた。
パーティーの途中で、大きな音がして地面が揺れる。
会場のテレビを見て、港で客船が爆発したことを知った彼らは屋上に上る。
屋上から見ると、何か大きなものが動いているのが分かる。どうやら、何物かが上陸して戦闘状態になっているらしい。
カメラを持った若者は、記録が後に役立つかもしれないと思い、ビデオを回し続ける。
彼らは軍隊の誘導の下、橋を渡って逃げようとする。そこに怪物がやって来て、橋を尻尾で破壊する。
残された主人公たちは呆然とする。
主人公の携帯が鳴った。後味の悪い別れをした彼女が、怪我を負って閉じ込められているという。
主人公は決死の覚悟で町中に引き返す……。
しかしまあ、カメラを持っているハッド君が、本当に冴えない男という感じでちょっと哀れでした。容姿もしゃべり方も行動も……。
これじゃあ、恋も進展しません。
そして、副社長になったロブは、やっぱりと言うか当然と言うかハッド君よりも有能でした。
そこもちょっと哀れでした。