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2008年12月24日 12:13:19
小さな悪の華
 映画「小さな悪の華」のDVDを十一月上旬に見ました。

 1970年の作品で、監督、脚本は「ジョエル・セリア」です。なかなか面白かったです。

 DVDには監督や俳優、研究家のインタビューが付いていました。この映画は、自主制作に近いぐらいの規模の小規模予算の映画だったようです。しかし、その予算を感じさせない出来でした。

 タイトルの「小さな悪の華」は、ボードレールの「悪の華」が元ネタですね。映画では、ボードレールの詩が重要な役割を持っていますし。



 さて、この映画は、町山智弘さんのポッドキャストで知りました。

 同じ経緯で、ピーター・ジャクソンの「乙女の祈り」(1994)も見ましたので、この映画も見ることに決めました。

 この二作は、同じ事件を切っ掛けに作られた作品です。

「乙女の祈り」は、事件をそのまま映画化したもので、「小さな悪の華」は、事件をインスピレーションにして作られたものです。

 その事件とは、1954年にニュージーランドで実際に起きた殺人事件です。

 少女二人が、自分たちの心象世界を作り、それを引き裂く相手を殺したというものです。

「小さな悪の華」では、この事件をイメージの核にして、二人の少女が次々に悪に手を染めていく軌跡を描いています。



 以下、粗筋を書きます。(ネタバレあり。最後まで書いています。事前知識を入れたくない人は、読まない方がいいです)

 修道院の寄宿学校で暮らす二人の少女。彼女らは、修道院での禁書であるボードレール、ランボー、ロートレアモンなどの本を貪り読み、悪の快楽に憧れていく。

 彼女らは、おおっぴらにばれないようにしながら、大人たちを混乱に導くような悪戯を繰り返す。

 二人は、悪魔崇拝を望み、その儀式を行う。彼女らは、性的に大人を誘うことで、その反応を見て楽しむ。

 だが、そのせいで二人は道を踏み外す。誘った末に、強姦されそうになり、相手の男を殺してしまう。

 追い詰められた二人は、学芸会で詩を朗読しながら、自分たちの服にガソリンを振り掛け火を付ける。



 映画の、日本公開時のキャッチフレーズは以下のようなものだったそうです。

「地獄でも、天国でもいい、未知の世界が見たいの! 悪の楽しさにしびれ 罪を生きがいにし 15才の少女ふたりは 身体に火をつけた」

「身体に火をつけた」って、壮絶にラストのネタバレです。

 いいのか? と思いました。



 さて、この映画なのですが、面白かったのは、少女二人の力関係です。

 片方の少女が主導的立場で、もう片方の少女が、相方の少女に従う関係です。

 男を誘って、からかう場合は、従属的な少女が誘う役で、主導的な少女がその隙に悪戯をする役です。

 明らかに、手下扱いです。

 でも、二人は非常に仲良しに見えます。

 こういった関係の二人の内面というのは、実際のところどうなっているのかなと思いました。

 明らかに対等ではないですので。



 映画は、性的なイメージのシーンが多かったです。

 しかし、そのシーンは、「体だけが大人に育ち」「内面は子供のままの少女たち」といった印象を強めるものでした。

 そういった印象を受けるのは、「肉体的に、ある程度開花している体」を出しながら、そのギャップとして「小学生にしか見えないような行動」を見せているからです。

 そのアンバランスさが、二人の少女の不安定さを際立たせて、「道から外れて転げ落ちそうなハラハラ感」を生み出していました。

 そして、その振幅が、映画が進むにつれて大きくなっていきます。

 性的誘惑が大胆になりつつ、精神年齢の釣り合いの取れなさ(無邪気な悪)が強調されていきます。

 なかなか面白い仕掛けの映画だなと思いました。



 ラストは、前述のように、詩の朗読とガソリンによる焼身と至ります。

 その詩の朗読がなかなかよかったです。

 現代の日本では、あまりそういった文化はないですが、詩の朗読も、芸としてなかなかよいなと思わせてくれるものでした。

 そしてガソリンでの焼身自殺。

 観客たちは、最初それが演出か何かと思って、喜んで拍手を送ります。

 しかし、それが本当の焼身であると分かって、パニックに陥ります。

 この感情の推移が、リアルでよいなと思いました。

 人間は、予定外のことが起こった時に、すぐに現状を認識できませんので。

 映画は、なかなか面白く、興味深い内容でした。
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