映画「ロスト・ワールド」のDVDを十二月上旬に見ました。
1925年の白黒無声映画で、監督はハリー・O・ホイト、脚本はマリオン・フェアファックス、原作はアーサー・コナン・ドイルです。
時間は55分と短めながらも、恐竜の動きにストップモーション・アニメを多用してあり、「特撮映画の古典」の名に恥じない出来でした。
個人的には大いに楽しめました。
DVDには、解説も付いており、この映画から連綿と続く特撮血脈について解説してありました。
全部は記憶していないので、Wikipediaを引きながら書いていきます。
● 「ロスト・ワールド」(1925)
監督:ハリー・O・ホイト
特殊効果・技術監督:“ウィリス・オブライエン”
↓
● 「キング・コング」(1933)
監督:メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シューザック
特撮技術:“ウィリス・オブライエン”
・「ゴジラ」(1954)など、多くの怪獣映画に影響を与えた作品。ピーター・ジャクソンによって、2005年にリメイクされる。
・当作でレイ・ハリーハウゼンが、ウィリス・オブライエンの助手を務める。
↓
● レイ・ハリーハウゼン
「シンドバッド七回目の冒険」(1958)骸骨戦士との剣戟シーンなど
「アルゴ探検隊の大冒険」(1963)七つの首を持つ怪物ヒドラの登場シーンなど
「シンドバッド黄金の航海」(1973)六本腕のカーリー像のダンスや剣戟など
・1992年にアカデミー賞特別賞を受賞(高校時代からの盟友レイ・ブラッドベリの手から、オスカーをもらう)。
・ジョージ・ルーカスなど、後の特撮映画の巨匠達に多くの影響を与える。
□Wikipedia - ロスト・ワールド (1925年の映画)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83...□Wikipedia - キングコング
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82...□Wikipedia - ウィリス・オブライエン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82...□Wikipedia - レイ・ハリーハウゼン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83...
さて、この作品なのですが、やはり楽しいのは、ジャングルの奥地の高台に行き、恐竜が出始めてからです。
本当に恐竜が動く動く。
これだけでお腹いっぱいです。
まあ、今から見れば、「恐竜」としてはありえない動きをしているのですが、そういった部分を抜きにすれば、非常にリアルに感じられました。というか、動きが非常に丁寧で滑らかでびっくりしました。
子供時代に、他に似たような映画がなく、これを大画面で見れば、そりゃあはまるだろうと思いました。
話の筋に関しては、意外にきちんとしていました。いやまあ、原作付きですし。
あと、終盤は「これはもろにキングコングがぱくっているな。というか、筋一緒だし」と思いました。
「秘境探検→遭難→捕獲→市街へ輸送」という流れは、「キングコング」そのものでしたので。
細かなところでは「うん? あれはどうするの? いいの?」という部分もありましたが、それほど気にはなりませんでした。
どこがそう思ったかと言うと、主人公の新聞記者の婚約者はどうなったんだとか、そこら辺りです。
まあ、途中で、壮絶に「どうでもいい」といった趣旨の台詞を吐いているので、シナリオ上は問題はないのだと思いますが。
と、思っていて「キネマ旬報」のページのストーリーを見たら、この婚約者は「他の男と結婚した」と書いてあります。私が字幕を見逃したのか、それともカットされていたのでしょうか。ちょっと謎です。
□キネマ旬報 - ロスト・ワールド
http://www.walkerplus.com/movie/kinejun/index.cgi?ctl=each&id=9893
以下、粗筋です。(あまりネタばれを気にするような作品ではないので、最後まで書きます)
主人公は新聞記者。彼は婚約者からけしかけられて、「凄い仕事をしよう」と決意する。
その頃、世間では、大学教授が「恐竜はがまだ生きている」と言い、議論を呼んでいた。
主人公は、その教授に会いに行き、話を聞く。どうやら教授の説には根拠があるらしい。ジャングルに探検にいった人物が、恐竜を発見し、そのことをノートに書いた後、行方不明になったという。
そのノートは、探検家の娘が持ち帰ってた。娘は、父親を救出することを望み、教授にノートを託していた。
これは人情話だ。記事になる。
そう思った新聞記者は、新聞社からの出資を取り付けて探検隊に加わる。探検隊には、教授と新聞記者だけでなく、父親を救出しようとしている女性や、その女性に恋をしている貴族などがいた。
一行はジャングルの奥地に行き、高台の向こうに渡る。だが、その時に作った橋が恐竜に落とされてしまい、脱出不能になってしまう。
高台には、恐竜だけでなく、類人猿もいた。
一行は、脱出の方法を探りながらサバイバル生活に入る。だが、彼らのいる場所では、火山の噴火が近付いていた。
火山の噴火直前に、脱出方法が見つかる。そして、彼らは脱出する。
火山の噴火により地勢が変化して、一行は、泥沼にはまった恐竜を生け捕りすることに成功する。
彼らはその恐竜をロンドンに持ち帰る。だが、恐竜は港で逃げ出し、暴れ出し、町はパニックになる。
最終的に、恐竜はテムズ河に入り、海へと消えていく。
なんというか、製作者たちは、後先を考えずに恐竜を出しまくって、手間をいとわず動かしまくっているなと思いました。
見ている方は楽しかったですが、作っている人たちは「しまった、出し過ぎた」と思ったかもしれません。
まあ、それぐらいのサービス精神がないと、みんな度肝を抜いてはくれないでしょうが。
何にせよ、面白い映画でした。