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2009年03月09日 14:19:54
極道の妻たち
 映画「極道の妻たち」のDVDを一月下旬に見ました。

 1986年の作品で、監督は五社英雄、脚本は高田宏治、原作は家田荘子です。

 主演は岩下志麻。

 ネタとしては知っていて、断片的には見た覚えがあるものの、通して見た記憶がないので、借りてきて見ました。

 面白かったです。

「極道の妻たち」は、「ゴクドウのオンナたち」と読むそうです。「ゴクツマ」とよく略されるので、「ツマたち」だと思っていました。



 さて、この映画は、まずは冒頭でびっくりしました。

 黒地のバッグに、ショッキング・ピンクの文字で「極道の妻たち」とババーンとタイトルが出ます。

 この配色、最近で言えば「小悪魔系」という配色です。最近行ったドンキホーテでも、「小悪魔系」のコーナーがあり、この配色のグッズが大量に置いてありました。

 この映画は、その配色で、冒頭のスタッフロールが行われます。そのドギツイ配色にまず驚きました。

 そして、いきなり、極道の妻たちの慰安飲み会のシーンに移ります。その中で「姐さん」の岩下志麻だけが、やたらと貫禄と迫力があり、「こりゃあ、レベルが違う」と思わせてくれました。ただ、座っているだけなのに。

 最初の数分で「掴みはOK」という感じでした。



 そして話は、二つのドラマを主軸に展開していきます。

 一つは、親分が死んだ後の二派に分かれての跡目争い。もう一つは、姐さんの妹(かたせ梨乃=一般人)が、姐さんと対立する男を愛してしまったが故の対立劇です。

 この“前者”は、よくある「ヤクザ物」の展開なのですが、“後者”で捻りが利いているので、話が膨らんでいました。



 さて、姉と妹の対立なのですが、それを見ていて思ったのは「姉の有能っぷり」と「妹の無能っぷり」の対比です。

 姉は、「刑務所に入った旦那の組のシマ」を「倍に増やす」ほどのやり手です。仕事も速く、頭の回転も速く、度胸もあり、襲撃者を銃撃戦で撃退するほどの女丈夫です。

 映画中では、そういったことがよく分かるような、“具体的に行動するシーン”が多数投入されています。そのため、そういったシーンが入る度に「こいつは凄い」と感心させられます。

 対して妹は、どちらかというとおっとりとしている控えめな性格の人間です。

 映画中、ヤクザ者に犯され、激しく求婚され、そのままなびいて結婚します。彼女は、放っておけない“駄目な男”に尽くしてしまうタイプです。

「一流の男なら文句を言わない。そいつは三流だ。カスだ!」と姉に言われて、「だから私が付いていてあげないといけない!」と答えます。

 この対比があるので、岩下志麻=姐さんの有能っぷりと女丈夫っぷりが強調されています。

 映画は、この岩下志麻の“格好良さ”を堪能するといった内容になっていました。

 DVDにパッケージの粗筋に、「岩下志麻姐さんが……」と書いてあるのも分かる気がしました。

「粗筋」なので、「岩下志麻」(役者)は出てきません。でも、思わず「岩下志麻姐さん」と書きたくなる気持ちは理解できました。



 映画のラストは、かたせ梨乃と世良公則の濡れ場が凄かったです。

 かたせ梨乃のムチムチの露出した胸を、世良公則がこれでもかと揉みしだきまくります。そして、吸い付きまくります。……かなり長い時間。

 公開当初、この濡れ場が話題になったそうですが、映画のバランスから考えても、かなり突出した長さの濡れ場になっています。

 映画のラスト近くに、これだけの濡れ場を用意すれば、当時リピーターも多かったのではないかと思います。

 映画が終わった後には、このシーンが非常に強く印象に残りましたので。



 そして最後は、非常にクリフハンガーな終わり方でびっくりしました。「そこで終わるか!」と。

 まあ、その後続編が続々と作られるわけですが、これは続きも見たくなるなと思いました。その内、続きを借りてくるかもしれません。



 以下、粗筋です。(ネタバレあり。最後まで書いています)

 主人公は姐さん。服役中の夫の代わりに、組を切り盛りしているやり手の女。

 その彼女には、町工場を経営する父親と、ホステスとして働いている妹がいた。主人公は、妹に良縁を持ってきて、父親の借金も返済できるように絵を描く。

 妹は姉の描いた絵に乗ることに、あまり乗り気でなかった。

 婚約の直前、妹は姉の金で海外にバカンスに行く。そこで、ホステスの頃の客に会い、その男の部屋まで行ってしまう。男はヤクザ者だった。脅された彼女はその場で犯される。

 その頃、主人公は難しい局面に立たされていた。本家の親分が死に、跡目争いが始まったのだ。主人公は、本家の決めた跡目に従うように決めるが、そのせいで分裂した組織に敵視されることになる。

 妹を犯した男は、主人公の対抗組織の人間だった。その男は親分筋から、本家の決めた跡目を暗殺する仕事を与えられていた。

 男は暗殺を成功させるが、そのせいで、どちらの組織からも邪魔な人間となってしまう。妹は、男に言い寄られて妻となる。男は小さい組を構えていて、彼女はその組の姐さんになった。

 主人公は跡目争いの中で遊泳しながら、刑務所に入っている自分の夫を跡目にしようと画策する。また主人公は、妹と男を引き離そうとする。だが妹は抵抗し、最終的に、姉妹の仲は決裂する。

 妹は男とともに再起を図ろうとする。しかし、主人公の放った刺客により、男は殺されてしまう。

 主人公の夫の出所の日がやってきた。主人公は港で夫を迎える。その彼女の前で、夫は射殺されてしまった。



 バーンと撃たれて、岩下志麻が唖然として、そこで映画が終わりました。クリフハンガーだ!



 あと、どうでもいいことですが、かたせ梨乃が凄いムチムチしていました。

 前半、彼女の手がアップで映るシーンがあるのですが、「うわっ」と思うほど指がぷっくりしていました。これはまずいと思うぐらいのレベルでした。

 あと、ラストの濡れ場でも非常にムチムチしていました。



 でもまあこの映画は、岩下志麻がガチで最強だと思いました。この映画は、彼女のための映画です。

 以下、岩下志麻姐さんが最強だと思った点を羅列します。

・敵が変装して襲撃。→着物の下の太腿に仕込んでいた拳銃を抜き、素早く迎撃。射殺。

・敵の組織がちょっかいを出して来た。→敵の組の親分の家にトラックを突っ込ませる。敵の親分の奥さん、発狂寸前。

・二人だけの席で、敵の親分が、着物の上から太腿を触ってくる。→「中途半端なことしなさんな!」と、太腿を露にして、涼しい顔で太腿をグワシッと掴ませる。

・海外から帰ってきた妹の挙動が変。→「男か?」と推測し、自分への対抗心から「ヤクザ者やろう」と考え、その数秒後に電話を掛けて、その前後の飛行機の乗客名簿を全部入手する。

 度胸もあれば、頭も回ります。

 こりゃあ、周りも一目置くわと思いました。
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