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2009年03月27日 18:22:21
 2008年の読書のまとめ十月分です。

 星による評価の基準については前述の通りです。

● 2008年10月(10冊/計70冊)



■ 04 金色夜叉(上)(尾崎 紅葉)

(★★★☆☆)

 感想は下巻でまとめて書きます。



10(★★★☆☆)(省略)
10(★★★☆☆)(省略)

 この日は、実家から母親が来ていたので、積んでいた本をムシャムシャと読んでいました。読了五冊は珍しいので覚えています。



■ 10 鼻(曽根 圭介)

(★★★☆☆)

 短編集。作者は器用な人だなという印象でした。自我がいびつに溢れ出すタイプではなく、計算で行動が調整されるタイプだと感じました。

 そつなく上手い短編集でした。



■ 10 玩具修理者(小林 泰三)

★★★★☆

 この人の本は二冊目ですが、表題作がよく、それ以外は落ちるなという印象です。でも、表題作の出来は非常によいです。

 蓮コラのような印象を与える文章が秀逸。「考えて怖い」というよりは「生理的に怖い」という、どちらかというとグロテスク系のホラーです。

 表題作は、言葉の圧力というか暴力を感じさせる一作でした。



■ 10 金色夜叉(下)(尾崎 紅葉)

(★★★☆☆)

 言わずと知れた「貫一」「お宮」の話。明治のベストセラー小説です。

 本屋でふと見掛けて、何気なく購入して読んだのですが、存外に面白かったです。

 そりゃー、人口に膾炙している作品なので、面白くないわけがないです。

 通俗的だという意見もあるでしょうが、そのために内容が時代を問わないものになっているので、今読んでもきちんと面白いです。身悶えします。



 どういう話か、短く粗筋を書きます。

 お宮の父は、昔貫一の父の世話になっていた。その縁で、彼は孤児となった貫一を、自分の娘のお宮と一緒に育てていた。貫一とお宮は将来を誓い合っており、それは親公認のものだった。

 ある日二人は、飲み屋で富豪の息子を見掛ける。その帰り道、二人はその人物の批判をする。その数日後、お宮は何となく、その富豪の息子と婚約を決めてしまう。お宮の両親は、その縁談を喜ぶ。

 懊悩する貫一。その姿を見て、お宮は自分が貫一を愛していること、富豪の息子をそれほど愛していないことに気付く。寛一は、育てられた恩からお宮の両親には逆らえない。

 お宮は、貫一を愛しているが婚約は破棄しないと言う。彼女は貫一に取り縋る。貫一はそんな彼女を非難し、足蹴にして去っていく。

 数年後、絶望の底から高利貸しになった貫一は、冷酷無情の男として主人にも周囲にも一目置かれる存在となる。彼は美人の高利貸しに慕われるが、女性を一切信用せず、無視する生活を続ける。

 そんな彼の許に、偶然お宮が現れる。彼女の夫は不倫をしていた。彼女は貞淑な妻を演じていたが、心の中に愛はなかった。再び貫一の姿を見たことで、彼女は彼に許しを請おうとする。だが貫一は、彼女に会うことさえしようとしなかった……。



 貫一に感情移入してしまいます。そして、お宮の考えなしの行動に「ムキーッ!」と叫びたくなります。貫一と一緒に、お宮を足蹴にしたい気持ちに駆られます。

 何よりも「ムキーッ!」と思うのは、貫一が言った通りの状態にお宮がなってしまうことです。夫婦間は冷め切り、夫は不倫をし……。「だから言ったじゃん!」と叫びたくなります。お宮の先読み能力はゼロです。絶望的に皆無です。

 こういった設定は、いつの時代でも共感を呼ぶなと思いました。



■ 11 江戸川乱歩短篇集(千葉 俊二)

(★★★☆☆)

「あれ、これ読んだことある」という話が何作か入っていました。

 本文よりも、解説の方が興味深かったです。時代背景や、その頃の雰囲気が伝わってきましたので。



■ 11 シナリオライティングの黄金則 ー コンテンツを面白くする ー(金子 満)

(★★★☆☆)

 シナリオ系の本は、ハリウッド本の独壇場ですが、これは日本発です。

 実際にシナリオを大学で研究している人の結果をまとめた本です。

 ハリウッド系のシナリオ作成法をベースにして、さらに細かく見ていっているという印象でした。



■ 20 あなたに似た人(ロアルド・ダール)

★★★★☆

 昔、途中まで読んで投げていた本を、改めて読み直しました。

 昔は面白くなかったのに、今読むと面白いです。この数年で、読者としての能力が上がったのだと思います。

 ロアルド・ダールは短編の名手と言われていますが、やっぱり面白いんだなということが分かりました。



■ 29 チューイングボーン(大山 尚利)

(★★★☆☆)

 ダラダラ続くなと思っていたら、最後にガツンと面白くなりました。種明かしはかなり秀逸。ああ、やられたと思いました。

 でも、途中はちょっと長いなと思いました。
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