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2009年04月02日 02:35:07
恐怖のメロディ (ユニバーサル・セレクション第5弾) 【初回生産限定】 [映画]
 映画「恐怖のメロディ」のDVDを二十二日前に見ました。

 1971年の映画で、監督、主演はクリント・イーストウッド。原作、脚本はジョー・ヘイムズ。脚本ディーン・リーズナーです。

 この映画を一言で言うと「クリント・イーストウッドの監督デビュー作」です。

 今こそ、見ておかないといけない一作だと思い、見ました。

 話は、イーストウッドが女性ストーカーに襲われるというものです。まだこの当時は「ストーカー」という言葉はなかったですが。

 原題は「PLAY MISTY FOR ME」。「私のために『MISTY』を掛けて」という意味です。

 この映画で、イーストウッド演じる主人公は、ラジオDJをしています。恐怖の対象となる女性ストーカーは、その番組のリスナーです。

「PLAY MISTY FOR ME」は、その女性が電話リクエストをする時の台詞になります。

 映画は面白かったです。そして、ホラーでサスペンスでした。



 さて、この映画のDVDは、特典も充実していました。当時の役者やスタッフのインタビューなどが入ってました。

 おかげで、当時、どのようにイーストウッドが監督を行っていたのか、そしてこの映画の前後の彼の置かれた状況などがよく分かりました。

 その中でもよかったのは、イーストウッドの師匠とも言うべきドン・シーゲルとの絡みの話です。

 ドン・シーゲルは「ダーティハリー」の監督です。イーストウッドは、「恐怖のメロディ」を撮る際に、師匠と仰ぐドン・シーゲルを、バーテンダー役で招いています。

 イーストウッドは「もし、自分が上手く監督ができなかったら、彼に頼めばいいと思った」と、茶目っ気たっぷりに語っていました。

 また、話の端々に、二人が意気投合していて、互いに信頼しあっていた様子が滲んでいました。



 また、映像特典には最近のイーストウッド自身も登場してきて色々と語っていました。

 そこで彼は「DVDはいい。映像特典などを楽しめる。映画が好きな人や、映画を志す人には、有用な情報がたくさん入っている」と語っていました。その言葉通りに、このDVDには有用な情報がたっぷりと入っていました。

 また「自分の古い作品はいずれ見直そうと思うよ。でも今は、新しい作品をどんどん作っていきたいんだ」と語っていました。

 イーストウッドは1930年5月31日生まれで、現在八十歳。まだまだ心は若いようだなと思いました。

□Wikipwdia - クリント・イーストウッド
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A6%E3%83%83%E3%83%89



 さて、映画についてです。

 まずは粗筋を書いた方が分かりやすい映画なので、先に粗筋を書きます。



 以下、粗筋です。(ある程度ネタバレありです。終盤の直前まで書いています)

 主人公は地方局のラジオDJ。彼の番組には、「MISTY」という曲を何度もリクエストしてくる女性がいた。主人公はその女性を「MISTYの女」と呼んでいた。

 ある日主人公は、バーで一人の女性と出会う。彼女はMISTYの女だった。彼女は、ラジオ局の近くのバーで張って、彼を待っていた。

 一夜の関係だと思い、主人公は彼女と寝る。主人公は、女たらしで、そういった付き合い方をこれまで多くしてきた。

 だが、彼女はそれが一夜の関係だとは割り切らなかった。主人公の家に押し掛け、恋人のように振舞いだす。

 その頃主人公には、二つの懸案事項があった。一つは、前に付き合っていた本命の彼女と縒りを戻すこと。そして、もう一つは、大手のラジオ局に移籍することである。

 主人公は、昔の彼女と復縁するために、MISTYの女と手を切ろうとする。だが、彼女は主人公の言葉には耳を貸さず、まとわり付き続ける。そして自殺騒動を起こす。

 その頃から、MISTYの女のせいで、主人公の未来に暗雲が垂れ込め始める。MISTYの女は徐々に凶暴化していく。

 彼女は、主人公の大手ラジオ局との交渉の席に乱入してくる。また、主人公の家の家政婦を包丁で滅多切りにして、精神病院に送られる。

 病院に収容されたことで、MISTYの女の危機は去ったと思う主人公。だが、彼女は病室から姿を消していた。そして、復縁間近の主人公の周囲に再びやって来た……。



 ストーカー女がなかなか怖かったです。彼女の空気の読めなさっぷりが徐々に背筋を冷たくしていきます。

 対して元カノの女の子は可愛らしかったです。アーティストをしていて、だいぶ不思議ちゃんな感じでしたが。

 この映画の上手くできているところは、主人公が女たらしで、ある程度彼に責任があるために、簡単に相手を悪者扱いして突っぱねられないところです。

 また、主人公は女たらしなので、女性に優しく、相手がストーカー女でも、つい優しく扱ってしまいます。

 そういった部分を見て、観客はやきもきさせられます。

 終盤は「キャー、逃げてー」という感じでドキドキさせられました。



 一つ、メモとして書いておこうと思うことがあります。

 それはメタ・ゲームのことです。この映画では、序盤にゲームが出てきます。

 お酒のキャップなどで主人公とバーテンダーが、ボードゲームをする場面があります。

 実はこれ、嘘っこゲーム。ルールは全くなく、それを見ている女性が声を掛けてきたら主人公の勝ち、無視されたままならバーテンダーが勝ちというものです。

 二人はこの“ゲーム”をしながら「うーん」「チェックメイト!」などと、真剣にゲームをしている振りをします。

 こういった遊び方もあるんだなと思いました。



 最後に、「へー」と思った話を一つ。

 インタビューで、ストーカー女を演じたジェシカ・ウォルターが、イーストウッドに教えられたと言って話していたことです。

「刃物を持つ時は、ねじるようにして持つこと。そうすると刃がキラリと光を反射するようになるから」

 なるほどなと思いました。
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