映画「未来惑星ザルドス」のDVDを二十七日前に見ました。
1974年のイギリス映画で、監督・製作・原作・脚本はジョン・ブアマン。主演はショーン・コネリーです。
町山智浩氏のポッドキャストで紹介されていたので見ました。
ディストピア系の映画になるのでしょう。低予算なために前衛的な映像になっています。
何よりも、ショーン・コネリーが“雄臭ムンムン”といった感じで濃かったです。
触っただけで妊娠しそうというのも分かる気がしました。
さて、映画ですが、面白いかと言われれば、まあまあ面白かったです。頑張って見るほどの映画ではないというのが正直な感想です。
そういった中で興味を引いたのは、上流社会の風習や文化などの描き方です。
この映画の未来世界は、不死化した上流社会と、野蛮な状態の下流社会に分かれています。
いちおうSFなので、未来社会として描いてますが、予算がないので派手な映像ではなく、細かな作り込みや設定でその部分をクリアーしています。
低予算SFは、ここら辺が腕の見せ所になると、個人的には思っています。
この映画では、その部分を、主に“奇妙な風習”として表現しています。無気力化した人を捨てるための町の存在や、刑罰としての老化など、その社会ならではの側面を出すことで虚構の世界を低予算で描いています。
ここらへんは、映像インパクトではなく、口頭での説明になってしまうのですが、上手くクリアーしているなと思いました。
また、映像的な対比として、配役を上手く選定することで二つの社会の違いを表現していました。
下流社会に当たる社会の代表であるショーン・コネリーは、“野獣”といった感じで“雄臭ムンムン”の人物でした。
対して上流社会の人間たちは、細身でこざっぱりした人を当てて、対比を作っていました。特に女性は貧乳の役者を揃えて、そういった方向性を強調していました。
またこの貧乳は、不死化したことによる性欲の減退ということも暗に象徴していました。
終盤に明かされる「ザルドスという言葉の由来」は、なるほどなと思いました。ここは素直に「ああ、そう来たか」と感心しました。
以下、粗筋です。(中盤ぐらいまで書いています。特にネタバレ的な内容ではありません)
遥か未来の世界。主人公は、人間狩りを行う騎馬軍団の隊長。彼は、謎の人面浮遊物から授けられた銃で、人々を狩るのが仕事だった。
彼はある日、その浮遊物に乗って、それがどこから来たか突き止めようとする。
到着した先には、不死化した人間達が住む共同体があった。そこで主人公は、実験用に飼われることになる。彼の生命は、その共同体の人々に握られることになった。
その場で生活を始めた主人公は、急速に知識を吸収し始める。何世代も闘争の中で暮らしていた彼は、遺伝子的にその共同体の人々よりも優秀だった。
そして主人公は、この共同体がどうやって出来たのか、その秘密を暴くために行動を始める……。
共同体の生活なのですが、妙に新興宗教っぽくて、そういったものが参考にされているのかなと思いました。