クロノス・クラウン - 記事検索

おすすめ
自作の本やゲーム他を販売
便利なWebアプリが多数
ソフトウェア
めもりーくりーなー Winのメモリーを掃除
Novel Supporter 小説推敲補助ソフト
PCソフト まとめ
Webサービス
Kindle Unlimited マンガまとめ 巻数の多いマンガを集計
ゲームブック
闇の聖杯の儀式 電書のゲームブック
ゲーム
Little Land War... Win向けSRPG
Little Bit War Switch向け高速RTS
TinyWar... 1面数分の8bit風RTS
EX リバーシ 変形盤面、盤面多数
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001AG6CWI/cronuscrown-22
2009年05月25日 23:23:10
ラスト、コーション
 映画「ラスト、コーション」のDVDを三月上旬に見ました。

 2007年の作品で、監督はアン・リー、脚本はワン・フイリン、原作はチャン・アイリンです。

 原題は「LUST, CAUTION 色戒」。「lust」は性欲、肉欲。「caution」は注意、警戒、警告です。漢字そのままですね。



 この映画に関しては、どんな映画なのか、見る前から聞いていました。まさに「性という名の格闘技」という感じの映画でした。

 映画の後半は、かなりの部分が性描写になるのですが、それがもう格闘技です。

 男は相手を押さえ付け、絡め取り、締め上げ、屈服させる。女はそれに負けないように、体をねじり、主導権を握り、相手を蠱惑しようとする。

 まさにバトルです。

 ヘアーまで見せて絡み合っているのに、エロさよりも先に、格闘技的な手に汗を握る展開に見えてしまいます。

 何せ、しょっぱなの濡れ場では、男が女をいきなり縛り上げて、動けなくしてから貫きますので。

 凄い映画だなと思いました。映画としても面白かったです。

 個人的に、バキの特別編を思い出しました。



 さて、この映画なのですが、そういった性描写が売りの映画かというとそうではありません。

 性行為は、権力への抵抗のメタファーになっています。

 そのことを書くために、まずは粗筋から書こうと思います。



 以下、粗筋です。(終盤の最初まで書いています。ラストのネタバレはありませんが、それ以外はだいたい書いています。ネタバレが致命的な映画ではありません)

 第二次大戦下。主人公は、中国から香港に亡命している女学生。

 大学に通う彼女は、友人に誘われて劇団に入る。その劇団の団長は美男子だった。彼女はその男に好意を抱く。

 劇団は抗日を訴える演劇を行い好評を博す。その演劇で彼女は主人公を演じる。

 劇団は徐々に過激化していく。団長は世の中の役に立つ演技をすることを訴える。彼は日本におもねる中国の高官を暗殺する計画を立てる。ターゲットは、特務機関の男。彼らは金持ちの夫婦とその使用人を演じ、特務機関の男とその妻に近付く。

 主人公は、金持ちの夫人を演じることになる。そして、特務機関の男を誘惑し、一人だけの場所に連れ出す役を担うことになる。

 だが、計画は失敗する。そもそも計画は杜撰だった。そして情報も漏れてしまう。

 特務機関の男と団長を取り持った男がいた。彼は、劇団の企みを知り、脅迫にやって来る。

 その男を、劇団員たちは殺害する。そして劇団はばらばらになる。特務機関の男は、そのことを知らずに香港を後にする。

 三年後、上海で貧しい生活をしていた主人公の前に、再び団長が現れる。彼は抗日の組織に入り、活動を続けていた。

 彼は、再び特務機関の男を誘惑して欲しいという。ターゲットの男は、香港時代よりも出世をして、手の届かない存在になっていた。彼女は、団長に淡い恋心を抱き続けていたので、その願いを聞き入れる。

 しかしそれは、悲劇の始まりだった。

 特務機関の男は、主人公を犯し、屈服させようとする。彼は孤独だった。騙し合いの世界に身を置く彼は、心から愛せる相手を求めていた。乱暴な扱いは、彼の手探りの愛だった。

 そんな男に主人公は心を寄せていく。男の孤独を知った女は、次第に恋に落ちていく。

 そして、暗殺計画が始動した。彼女は特務機関の男とともに、その現場に赴くことになる……。



 先に権力のメタファーと書きましたが、特務機関の男は支配者の象徴で、主人公は虐げられる側の象徴です。

 なので蹂躙するような荒々しいバトルとなります。



 映画は、二つのパートに分けられます。

 一つ目は香港編で、学生たちのあまりに杜撰な暗殺計画が進行します。

 二つ目は上海編で、肉体のぶつかり合いを通した支配と抵抗のバトル、そこから芽生える愛情が中心となります。



 最初の香港編は、馬鹿なことに手を出したせでい、どんどん落ちていく学生たちの泥沼感にダウナーになります。

 何より、劇団の団長の青臭さが非常にげんなりとさせられます。何と言うか、理想に能力が全く追い付いていないし、理想を描くための視野の広さも全くない。

 おかげで、場当たり的に状況はどんどん悪化していきます。

 この香港編で、特務機関の男を誘惑することになった主人公は処女です。

 でも、「金持ちの夫人」として誘惑をさせるので、事に及ぶことになった場合に処女では困ります。

 仕方なく団長は、彼女に性行為の練習をさせることにします。団で唯一童貞を捨てている貧相な男にその役をさせます。彼が童貞を捨てたのは恋愛ではなく、そういった場所です……。

 主人公は団長に恋をしています。しかし、その相手からすまなさそうな顔で頼まれて、嫌々処女を捨てます。そして、性行為の練習をひたすらさせられます。

 もう何と言うか、団長のへたれ具合は壮絶です。

 そして、殺人事件の結果、劇団は解散になるのですが、もっと早く解散していればよかったのにと思いました。

 あと、理想を語るけれど能力がない男に、女性は付いていったら駄目だなと思いました。単に能力がない男よりも性質が悪いです。



 後半の上海編は、がちんこ肉体バトルです。

 こちらでは、特務機関の男と主人公が、肉体の駆け引きを通して、恋愛の主導権を握ろうとします。二人は、互いにマウントを取り合いながら戦い続けます。

 この後半を見ていて分かるのは、男の格の違いです。圧倒的に、団長よりも特務機関の男の方が、男の格が数段上です。映画を見ている人もそれは分かるし、主人公にも当然分かる。

 会う順番が逆だったらよかったのにと本気で思いました。



 そして終盤近く、決定的な台詞を団長が吐きます。

 散々巻き込んで彼女の人生を滅茶苦茶にした挙句、「君をひどい目には遭わせはしない」と言います。

 百年の恋も覚める瞬間と言えばよいのでしょうか。

 これまでのことは酷いことだとは思っていなかったのかよと、壮絶に突っ込みたくなりました。



 さて、この映画の「敵」になる特務機関の男ですが、トニー・レオンが演じています。

 ほとんど台詞がないのに、圧倒的な存在感です。

 そして、ラストの胸に迫る演技。

 いい俳優だなと思いました。
最新20件 (全て見る)

オススメ (全て見る

動画講座 (全て見る

サイト目次

おすすめ

PCソフト/Webアプリ

ゲーム

マンガ

記事

柳井の同人活動

開発

携帯・スマホ

アナログ・ゲーム

Cronus Crown(クロノス・クラウン)のトップページに戻る
(c)2002-2025 Cronus Crown (c)1997-2025 Masakazu Yanai
ご意見・お問い合わせはサイト情報 弊社への連絡までお願いします
個人情報の取り扱い、利用者情報の外部送信について