映画「サンダーバード」のDVDを七月下旬に見ました。
1966年の映画で、原題は「THUNDERBIRDS ARE GO」。監督はデイヴィッド・レインで、脚本はリー・アンダーソン他。
● ストーリー
映画は面白くなかったです。
以下、ネタバレありの感想です。
面白くなかった一番の理由は、物語の間延びです。90分級の映画なのですが、途中で「45分の短編二本か?」と思ったら、そのまま終わらず続いていったというのが、その間延び感を一番表しています。
話としては、サンダーバード隊の面々が、火星へ行く宇宙船をバックアップするといったものです。話の進行は以下のようになります。
1.火星への宇宙船が出発。妨害者の手によって墜落。
2.再度宇宙船を送ることになり、警備としてサンダーバードを呼ぶ。
3.宇宙船打ち上げ成功。(ここまでで45分)
4.主人公たちの末子の夢。ミュージカル・モード。
5.火星に着陸した探査機が、火星の生物に襲われる。そして離脱。
6.宇宙船が地球に戻ってくる。墜落しそうになるが事なきを得る。(ここで90分)
1〜3までが45分。それから、ミュージカル・モードが10分ぐらい続き、残りの話になります。
ともかく、テンポが遅く、密度が薄く、ちょっと辛かったです。
特に、1と4のプロットの間延び具合がひどく、かなりきつかったです。
映画を見終わったあと、特撮周りの映像特典があったのですが、そちらを見てからの方が、楽しめたなと思いました。話ではなく、特撮を見たでしょうから。
● 操り人形と発進時の仕掛け
さて、DVDには、当時のスタッフたちの話が映像特典でついていました。そのなかで知らなかったことがいくつかあったので書いておこうと思います。
まず、一番驚いたのは、サンダーバードの人形たちは、糸で吊った操り人形だということでした。
サンダーバードについては、名前とビジュアルは知っていても、その中身はあまり知らなかったので、これは驚きました。
そういった「糸吊り」なため、「扉をくぐれない」という制約があったそうです。なので、扉をくぐるシーンは一切なく、扉の前か奥に立つシーンしかなかったそうです。これは気が付きませんでした。
そして、そういった「移動の制約」があったために、サンダーバードに乗り込むための「椅子の移動」の仕掛けを作ったということでした。
これは、演出だと思っていたのですが、そうではなく、技術的制約が先にあった苦肉の策だったようです。
裏の話を聞かないと分からないなと思いました。
● 操り人形の手
また、操り人形の撮影では、いろいろと細かい話がありました。
まず、手なのですが、これは映画を見ているときに分かりましたが、大写しの時は人間の手を使って細かな演技をしています。
そのため、人形サイズの小道具と、人間サイズの小道具の二つを作ったそうです。
糸吊り人形は、指を動かすことができません。そのため「物を持つ」といった動作は行えません。けっこう大変だったんだなと思いました。
● 操り人形の口
操り人形の口についても話がありました。こちらは、ちょっと驚きました。
電気仕掛けで、音声の強弱に合わせて、自動で口を動かす仕掛けを作っていたそうです。
人間が演技をつけていると思ったので、びっくりしました。意外なところがハイテクなんだなと思いました。
● ミニチュアでの特撮
ミニチュアを使った特撮の話もあり、こちらも面白かったです。
なかでも「なるほどな」と思ったのは、ミニチュアを使った爆発シーンでした。セットをはみ出さないサイズで、迫力のある爆発を作るのに技術が必要だったという話でした。
現実の世界ではないので、境目を越さないようにするのは大変です。
こういったところも事前に分かっていると、映画の見方が変わるなと思いました。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレあり。最後まで書いています)。
火星への宇宙船が出発した。しかし、妨害者の手によって墜落した。
再度宇宙船を送ることになり、その警備としてサンダーバード隊を呼ぶことが決まった。
サンダーバード隊の活躍により、妨害者の排除に成功し、宇宙船打ち上げは成功した。
その際、仕事に参加させてもらえず、基地に残ることを命じられた末弟は夢を見る。サンダーバード隊の仲間の女性と、宇宙にデートに行く夢だ。
宇宙船は火星にたどり着き、火星には探査車両が送り込まれる。しかし、火星の表面には謎の生物がいて襲われる。彼らは命からがら逃げ出し、地球に帰還する。
宇宙船は問題がおき、このままで墜落しそうになる。サンダーバード隊は救出に向かう。末弟は宇宙船に乗り移り、修理を敢行する。
活躍した末弟は、サンダーバード隊の仲間の女性とナイトクラブにデートに行けることになる。だが、そこには家族全員が来ていて、二人っきりのデートにはならなかった。
● 個人的な感想
話を30〜45分ぐらいにして整理すれば、それなりに面白くなるかもしれないなと思いました。
逆に言うと話に対して二倍ぐらい間延びしていたということなのですが。
もう少し、テンポがよければよかったのにというのが、正直な感想でした。
あと、火星行きの宇宙船は、あの構造では飛ばないだろうと思いました。負荷のかかる場所が、折れそうな感じの構造でしたので。