映画「ミトン」のDVDを七月下旬に見ました。
1967年のソ連の人形アニメ映画で、監督はロマン・カチャーノフ、脚本はジャンナ・ヴィッテンゾンです。
端的に言うと、「チェブラーシカ」(1969)の監督の人形アニメ作品です。
十分しかない短い作品で、DVDにはこれ以外に二つの短編も入っていました。こちらの情報も書いておきます。
・「ママ」(1972)監督:ロマン・カチャーノフ。脚本:セルゲイ・ミハルコフ。
・「レター」(1970)監督:ロマン・カチャーノフ。脚本:ジャンナ・ヴィッテンゾン。
「ミトン」は非常に出来がよくて面白かったですが、他の二編は面白くなかったです。
● ミトン
犬が欲しい女の子が、母親に駄目と言われ、手袋を犬代わりに引きずっていたら、手袋が犬になって……という話。
話がよくできていて、キャラが非常にかわいいというのがあるのですが、何よりも「アニメーションであることの意味」が非常にある作品。
「手袋が犬になって動き回る」というのが、人形アニメだからこそのかわいさで、存分に表現されています。
非常によかったです。
また、「チェブラーシカ」を見た時に、「話が弱く、かなり不条理な物語を作る人だな」と思ったのですが、この作品ではそういった部分がなく、物語も非常によかったです。
「チェブラーシカ」の脚本は、原作者のエドゥアルド・ウスペンスキーと、監督のロマン・カチャーノフでした。
監督本人は、物語を書くのはあまり得意ではないのかなと思いました。
● ミトンのキャラのかわいさ
しかしまあ、この映画の女の子と犬のかわいさは異常でした。
何が凄いって、仕草です。女の子の歩く姿や、立ち止まる仕草や、そのいちいちが、ともかくかわいいです。
足の角度とか、首の曲げ方とか、かなりぐっと来ました。
3Dアニメとかで、萌えが必要な人は、押さえておかないといけない作品の一つだよなと思いました。
● ママ
物不足のソ連で、母親が買い物に行って、ずっと並んでいるあいだの、家の子供の話。
実はけっこう重い話だよなと思いました。この監督の人形アニメなので、暗さや重さはないですが。
● レター
戦地に行っているお父さんからの手紙を、母親と子供が待つというお話。
リアルで描くとけっこう重い話のはずなのですが、「ママ」と同じで、人形アニメなので暗さや重さはかなり減じられていました。
● まとめ
このDVDは、「ミトン」のためだけのものだよなと思いました。
でもまあ、それだけだと十分間しかないので、他の短編も加えて、どうにか三十分にして、売り物の体裁をしているという感じです。まあ、残り二本は完全におまけですが。
「ミトン」だけでも価値のあるものなので、欲しい人は買うだろうと感じました。