映画「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」のDVDを八月上旬に見ました。
1998年のイギリス映画で、監督、脚本はガイ・リッチーです。
群像劇系クライム物です。面白かったです。
● ガイ・リッチー
なんとなく、「マドンナの元旦那」というイメージしかなかったのですが、この人、才能ありますね。
この映画は、非常によくできていました。
「スナッチ」(2000)を見た時には、あまりそういったことを思わなかったのですが、この映画はスタイリッシュで凄く格好いいと思いました。主人公たちは格好悪いですが。
ガイ・リッチーの「シャーロック・ホームズ」(2009)も、ちょっと面白いかもと思いました。
● ジェイソン・ステイサム
主人公一味の中にいたので、「おっ、ジェイソン・ステイサムだ」と思ったら、この映画がデビュー作でした。
この人、水泳の飛込競技の元選手なのですね。知りませんでした。
□Wikipedia - ジェイソン・ステイサム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8...
● スタイリッシュな映画
映画は、非常にスタイリッシュでした。
どこらへんがスタイリッシュかというと、その映像表現と語りがです。
基本的には、ぐだぐだとした語りが入りながら映像でバーンと見せて、より悪い方向に物事が進んだり、驚かせたりして、そのシーンは終了という感じでした。その繰り返し。
でも、このテンポがよくて、楽しくて、ニヤニヤしながら見てしまいます。
ここらへんの見せ方は、少年マンガ的です。サンデー、マガジンというよりは、ジャンプです。
同じようにしたら、同じような雰囲気になるといった感じではないので、監督のセンスなんだろうなと思いました。
● 観客視点の楽しみ
物語的には、主人公たちの周りでいろいろな事件が起きて、それが主人公たちの知らないところで繋がっていて、結果として主人公たちにとってはポカーンとなる展開が起こるといった感じです。
そして、その「全て」を観客は見ていてニヤニヤする。中の人たちはあずかり知らぬ全貌を知る。そこに、この映画の妙味があると思いました。
主人公たちが、Aをすれば、AとBが繋がっていて、BとCが繋がっていて、Cからミサイルが飛んでくる。「なんで!?」
そんな感じで、話がぐるんぐるん動いて、どんどん連鎖していく。その繋がりが非常に上手いです。そして、見せ方も上手い。
最初、全然関係ないと思わせていたところが、実は映像的に伏線になっていて、あとで再現して、「ここにいるでしょう」と見せて、にやりとさせる。
そういった映像的な楽しさがいたるところに仕込まれていて面白かったです。
この映画を見てしまうと、「他の作品でも、こういった味を出して欲しい」「もっと見たい」と思ってしまいます。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレあり、終盤の前ぐらいまで書いています)。
主人公たちは駄目人間。彼らは軽犯罪に手を染めている。
彼らのなかの一人は、ポーカーの名手だった。彼らは、資金を出し合い、高額レートの勝負に挑戦する。だが負けてしまい、莫大な借金を背負わされてしまう。
このままでは殺されてしまう。彼らは、どうすればお金を得られるか考える。そんな折、隣の部屋の住人が、麻薬の密造者を襲って金を得ようとしていることを知る。
主人公たちは、その上がりを掠め取ろうと計画する。
その計画は成功し、お金と大量の麻薬を手に入れる。主人公たちは、知人に頼み、その麻薬の買い手を探してもらう。しかし、その相手こそが、麻薬の元の持ち主だった。
何も知らない主人公たちは、ピンチに陥る。だが、様々な勘違いや、すれ違いが重なった結果、明後日の方向で決着がつくことになる。
● その他
上で粗筋を書きましたが、要素が多くて書ききれません。細かなところが、たくさん連鎖しているので。
ともかく、言葉と映像を駆使した「語り」が面白い映画でした。そう簡単には真似のできない、センスのよさを感じさせる作品です。
ガイ・リッチー、才能あるなと思いました。