映画「変態村」のDVDを十月下旬に見ました。
2004年の、ベルギー、フランス、ルクセンブルクの映画で、監督はファブリス・ドゥ・ヴェルツで、脚本はファブリス・ドゥ・ヴェルツ、ロマン・プロタです。
原題は「Calvaire」(ラテン語で「ゴルゴタの丘」)。
邦題の「変態村」ですが、「変態」というよりは「狂人」の方が相応しい内容でした。
● 話はB級、表現はレベルが高い
映画の物語は、B級ホラー映画に近いです。ただし、映像の表現はB級を脱しており、それなりにレベルが高いです。
そのアンバランスがよいのかなと思いました。個人的には、話はそれほどではなかったので、もっと物語で楽しませてくれるとよかったのにと思いました。
暴力描写は鮮烈ですが、それは肉体的な痛さであり、精神的な恐怖の領域ではなかったです。
以下、ネタバレです。
完全なネタバレなので、ネタバレが嫌な人は見ないでください。
● 設定の拡大
この映画は、「AはBである」という設定を、どんどん拡大していきます。
話の基本構造はこれだけ。
この「A」には、主人公以外の登場人物が入り、「B」には「実は狂っている」という言葉が入ります。
これが延々と繰り返されます。
そして、それが明かされたあとに、かなりストレートな暴力描写が入ります。
基本的に、物凄く単純です。
その単純さに、B級には見えない、ちゃんとした映像を被せているのが本作だと思います。
そういう意味では、分かってしまえば驚きもなく、個人的には「暴力描写は痛いけど、話はそれほどではない映画」という位置付けでした。
TSUTAYAの店頭で借りてきて、それほど期待していなかったのですが、まあ、それなりの出来だなという感じでした。
● 粗筋
以下、粗筋です(少しネタバレあり。中盤の後半ぐらいまで書いています)。
主人公は売れない歌手。彼はクリスマス興行に向かう途中、エンストを起こして森の中のペンションに泊まることになる。
そこに案内してくれた男は、愛犬をなくして頭に異常を来たしていた。
主人公はそのペンションで、車の修理を呼ぼうとするが、なかなか手配できない。ペンションのオーナーは、元芸人で歌手の妻に逃げられていた。オーナーは主人公に歌をせがむ。オーナーは、主人公に村に行かないようにと言う。
車の修理の手配はつかない。そして主人公は、車を破壊しているオーナーを目撃する。主人公はオーナーを止めようとする。しかしオーナーは車を燃やしてしまう。そして主人公を、逃げた妻と錯誤していることを窺わせる台詞を吐く。
犬をなくした人だけでなく、オーナーも狂っていた。彼は主人公を女装させ痛めつけて監禁する。主人公は逃げ出すが捕まってしまう。
その頃、ペンションに「妻」が戻ってきたという噂話が村に伝わる。村人たちは、ペンションのオーナーの妻を共有していた。彼らは、自分たちの権利を主張するために、銃を持ち、猟犬を従え、ペンションを急襲する……。