映画「冒険者たち」のDVDを五月中旬に見ました。
1967年のフランスの作品で、監督・脚本はロベール・アンリコ、主演はリノ・ヴァンチュラとアラン・ドロンです。
ロマンと哀愁を感じさせる作品でした。
● 男二人に女一人
映画は、二人の友情溢れる男の間に、一人の女性が入ってくるところから始まります。
彼らは仄かな恋心を抱きながらも、肉体関係になだれ込むことなく、友情を保ち、行動を共にします。
男の一人は、エンジン開発で革命を起こそうとしている技師。もう一人は曲劇飛行をこなすパイロット。女は芸術家を目指しています。
三人はそれぞれ夢追い人で、全員まだ芽が出ていません。
一昔前なら、こういった三人の構成だと、ドリカム状態などと言っていたのでしょうが、今では何と呼ぶのでしょうか。
そういった三人が、大金とともに海に落ちた飛行機を引き上げに行くところから、話は波乱を迎え始めます。
● 男たちの友情
しかしまあ、この映画の主人公二人は、社会的には生き難い人たちですが、人間としては気持ちがよい人たちです。
そんな二人が一人の女性を愛し、でも友情を壊さないように互いに相手のことを思いやる。
そういった気持ちのありようがよく伝わってきます。そして、そのことが、ラストシーンの感動に結びついています。
派手な映画ではありませんが、しみじみと感じる映画でした。
以下、ネタバレありの感想です。
● 大金とギャング
映画の中盤、大金の引き上げに成功して、富を得た主人公たちは波乱に巻き込まれることになります。
まず、その金を奪おうとした男たちの銃によって、女性が死を迎えます。
そして彼らは付け狙われることになります。
その様子を見て、正当なルートで手に入れていないお金というものは、なかなか身に付かないものだなと思いました。
● 城砦島
映画のラストの舞台は、主人公の一人が購入した城砦島になります。この島は、女性の故郷にあり、彼女が生前語っていた場所でした。
ここには、ドイツ軍の武器がそのまま残っており、銃や手榴弾が備蓄されています。
ラストでは、主人公たち二人と、追ってきたギャングが、島で戦うことになります。
敵はマシンガンなどで完全武装していて、余裕をかましているのですが、反撃が始まると、手榴弾が降り注いでどんどん倒されていきます。
城砦島のロケーションもよく、敵に対する派手な反撃が行われるカタルシスもあり、このシーンはよかったです。
● ラスト
映画のラストは、傷つき死に掛けた友人に、もう一人の男性が声をかけるシーンとなります。
男性の一人は美男子で、もう一人はブ男です。しかし女性は後者に惚れていたことは、互いに気付いています。
傷付いた男は、友人に、彼女はどちらを愛していたのかと尋ねます。聞かれた男は、お前に決まっているじゃないかと答えます。
死にかけた友人は、彼の優しさを感じながら、嘘を吐けと言って満足そうに死んでいきます。
その儚さと優しさと悲しさが、画面から滲み出ていました。
いい映画だなと思いました。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレあり。ラストぐらいまで書いています)。
舞台はパリ。主人公は、エンジン開発技師とパイロットの男性二人。彼らの許に、ひょんなことから芸術家志望の女性が加わる。
紆余曲折の末、彼らはお金を失い、一発逆転を狙って宝探しに向かう。大金を持ったまま海に落ちたセスナを探し当てた彼らはお宝を手に入れる。
だがその金を狙ったギャングに、女性は殺されてしまう。
生き残った二人は、彼女の故郷に向かう。技師はそこで、彼女が生前語っていた城砦島を購入する。そしてパイロットはパリに戻る。
彼らを付け狙い、金を奪おうとするギャングたちがパリに上陸する。
パイロットが久しぶりに友人に会うために城砦島を訪れる。そこに敵もやって来た。彼らは壮絶な戦闘を行い、そしてパイロットは弾を受けて瀕死の状態になる。