映画「ダイナー」のDVDを六月上旬に見ました。
1982年の映画で、監督・脚本はバリー・レヴィンソン。出演は、ミッキー・ローク、ケヴィン・ベーコン他です。
結婚を間近に控えた年齢の若者を扱った群像劇です。あまり私の好みではありませんでした。
● 若者の群像劇
この映画は、若者の群像劇です。特に大きな事件が起こるわけでもなく、ダイナーでだべっている映画です。
若者グループの一人は既に結婚しており、もう一人は結婚を控えています。その結婚を控えた男性が結婚するまでの数日を過ごすのが、この映画の筋になります。そういった意味では、この映画はバチェラ−パーティー物とも言えます。
この映画に近いものとしては、「アメリカン・グラフィティ」(1973)や、「初体験/リッジモント・ハイ」(1982)が挙げられると思います。ただし、これらの映画よりは、少し年齢層が高めです。
話の中心は、結婚と遊びの間で揺れ動く心や、まだまだ遊びを楽しみたい男たちのどうでもよい会話だと思います。
この映画では、男たちが集まって延々と会話を続けます。そういった「男同士の会話」が、ほぼ九割を占めています。
DVDには映像特典が付いていました。そこで言われていたのが、この映画を撮ったあと、大手のお偉いさんたちが公開を渋ったということです。
年寄りには、若者たちのリアルな会話が、同年代の若者たちに受けるということが、全く分からなかったそうです。
危うくお蔵入りしそうになったそうですが、批評家の評価がよかったので、渋々公開したら大ヒットしたとのことでした。
映画を見ていて「分かる分かる。男ってそうだよな」と思うエピソードが多かったです。そういった意味で、この映画はその年代の若者たちの精神と、普遍的な部分を上手く切り取っているのだなと思いました。
● 共同生活のルール
映画に出てくる男たちの中で、一人だけ結婚している人がいます。その男性が、妻に対して怒るシーンがあります。彼が大切にしているレコードを聞いた奥さんが、正しい収納場所に直さなかったからです。
奥さんは涙を流しながら、「なぜ怒られているのか分からない」といった表情をしますが、これは、激怒されて仕方がない失態だなと思いました。
そもそも共同生活では、何かを出したら、元の場所に正しく戻さないといけません。そうしなければ、どこに何があるか分からなくなってしまうからです。
これは、軍隊でも工場でも、複数の人が活動する場所では当たり前のルールです。そういったことを守れないのならば、叱責されて当然です。
また、そういったこととは別にして、他人が大切にしているものには、敬意を払わなければなりません。その人が、ある物をコレクションしていて、それをきちんと整理しているのならば、借りた人間はその並び順を乱してはなりません。
これは男女関係なく、人として当然の行為です。
そういったことが分からないならば、厳しく責められても当然だなと思いました。これは、家から叩き出されても文句を言えません。この件に関しては、奥さんが全面的に悪いので。
● バリー・レヴィンソン
監督のバリー・レヴィンソンは、この映画が監督デビュー作だったそうです。
ざっと監督作を見ましたが、いくつか有名作品がありました。
・「グッドモーニング,ベトナム」(1987)
・「レインマン」(1988)
・「わが心のボルチモア」(1990)
彼は90年代以降は製作総指揮が多くなっているようです。
● ミッキー・ロークの扱い
DVDの映像特典は、監督や出演者たちへのインタビューでした。この映像特典にミッキー・ロークが出てきません。主役級の登場人物なのに。
「レスラー」(2008)で復活するまで、ミッキー・ロークは干されていたということでしたが、そういったことなのでしょうか?
インタビューに登場していたらよかったのにと思いました。
● 粗筋
以下、粗筋です(群像劇なので、だいたいの枠組みだけ書いています)。
舞台はボルチモア。そこに住む若者たちは、ダイナーに集って延々と朝まで会話をするのが常だった。
そのグループの一人が結婚することを決めた。そういったタイミングで、一人の仲間が故郷に戻ってきた。
彼らは、結婚式までの間、いつものように浮かれ騒ぎ、日々を送る。