映画「ロサンゼルス」のDVDを七月上旬に見ました。
1982年の作品で原題は「Death Wish II」、監督はマイケル・ウィナー、脚本はデヴィッド・エンゲルバックとマイケル・ウィナー、主演はチャールズ・ブロンソンです。
90分級の映画で、冒頭の急展開に驚きました。気軽に楽しめる映画だなという感じでした。
● いきなり続編
原題が「Death Wish II」とあるように、前作があります。映画が始まって気付きました。でも、前作を見ておく必要は特にないです。あまり繋がりはなさそうなので。
ちなみに、前作の「Death Wish」は、邦題が「狼よさらば」(1974)です。
このシリーズは「ロサンゼルス」「スーパー・マグナム」「バトルガンM-16」「DEATH WISH/キング・オブ・リベンジ」と続くようです。
今回の「ロサンゼルス」を見た限りでは、映画の流れは「身近な人がレイプされて殺される」→「夜の私刑者として復讐する」→「周囲の人が同情的で警察に捕まらない」という感じのようです。
前作について言及する台詞でも、同じようなことが言われていました。
● 濡れ場だらけの序盤
この映画の流れは前述の通りです。そのため序盤はやたら裸のシーンが多いです。当然、和姦ではなく強姦です。それも、非常に暴力的なものです。
主人公の身近な人物は、年齢、人種に関わらず、ならず者の毒牙にかかります。
ともかく、序盤を裸で埋めることで、観客を映画館に引きずり込んでやるぜ!という製作意図を強く感じました。
でもこの映画、ヌードだらけなのですが、微妙にエロくありません。
エロスというのは、「女性の裸」ではなくて、想像力の余地のある「過程」です。この映画の濡れ場には、決定的にこれが欠けています。
女性がセックスをしていればエロいのではなく、どんな女性が、どういった過程でセックスをしているのかが分かるからエロいのです。もしくは、そのシーンから、そういった情報が想像できるからエロいのです。
この映画のように、「ならず者がやって来る」→「即レイプ」みたいな描写はエロくはないです。女性の感情の動きや、肉体と精神の不協和音などが感じられないと、目には届いても脳には届きません。
ここらへんは、残念だなと思いました。まあ、尺の関係もあるのかなと思いました。
以下、序盤のネタバレが入ります。
序盤なので、構わない人はそのまま読んでください。
● 序盤の超展開
序盤、話は急展開します。主人公の娘が誘拐されて、監禁されて、ならず者たちに犯されます。
まあ、これは想定の範囲内です。そういう映画ですし。
その監禁場所から娘が逃げ出そうとして窓に走ります。そして、窓を突き破って外にジャンプします。その結果、建物の外の柵に付いていた棘に貫かれて娘が死にます。
「え〜〜!」と思いました。そして、主人公は復讐に燃えます。
……悪人たち、主人公の娘を殺してなくない? いや、自殺に追い込んだという解釈でいいのか? まあ、レイプと殺人は同じレベルの犯罪なので、話は成立するのですが。
なんだか、シナリオを書いたはいいけど、ならず者たちが娘を殺す理由が見つからなかったので(いい女なので、飼い殺しにした方が得)、手っ取り早く娘を殺してみました、みたいな展開で驚きました。
ちなみに、この映画で一番印象に残ったシーンはここでした。
● チャールズ・ブロンソン
筒井康隆に似ていますよね?
前から思っていたのですが、この映画を見て、そうだよなと再確認しました。
筒井康隆の本に載っている著者近影が、もう本当にそっくり。世代的に、もしかしたら意識しているのかもと思いました。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレあり。最後まで書いています)。
主人公は建築家。彼はニューヨークからロサンゼルスに最近移って来た。
そんな彼に不幸が訪れる。ならず者に絡まれたのがきっかけで、娘を誘拐されて殺される。
主人公は復讐を決意し、スラム街にこっそりと隠れ家を借りて二重生活を始める。そして、復讐の狩りを始める。
そんな主人公を警察は疑う。そして、ニューヨークから一人の刑事を呼び寄せる。主人公は、以前にも身内に不幸があり、その復讐を行っていた。その際には、住人の同情の声で不起訴となっていた。ロサンゼルス市警が呼んだ刑事は、その頃の捜査担当者だ。
刑事は主人公を追い、尻尾を掴もうとする。その最中、銃撃戦になり、殺されてしまう。
主人公は、娘の復讐と、刑事の仇を討つために、悪人たちに正義の鉄槌を下す。
● 婚約者
映画中、主人公の婚約者が出てきます。彼女は、映画のラストで主人公が裏で行っていることに気付き、身を引きます。
まあ、この映画の主人公のような人は、きっとまた同じようなことをするでしょうから、安心して一緒に暮らせないでしょう。
というわけで、続編がこの後も数作作られているようなのですが、きっと同じようなストーリーなのだろうなと思いました。
テレビで見ると、長さ的にもちょうどよく、気軽に見られるだろうなと思いました(裸が多いので、家族向けではありませんが)。