映画「コットン・クラブ」のDVDを十一月中旬に見ました。
1984年の作品で、監督はフランシス・フォード・コッポラ、脚本はウィリアム・ケネディ他。主演はリチャード・ギアです。
本作は、1920年代の禁酒法時代、ニューヨークのハーレムにあった高級ナイトクラブ「コットン・クラブ」を巡るストーリーです。
それなりに楽しく見ることができました。
● 時代切り取り物
この映画を分類するとすれば、複数の登場人物により、ある一時代から次の一時代への遷移を描いた「時代切り取り物」と言えると思います。とはいえ、この映画は、それほど時代の方が動く感じではありませんでした。
そういった感じで、本作は「明確な大きなストーリー」があるわけではなく、「群像劇的」な感じで物語が進んでいきます。
また、主人公は基本的に受け身の存在で、その周りで人間が動き、その事件に巻き込まれるという展開です。
そのため、主人公という乗り物に乗り、周囲で起こることを眺めながら時間の流れをたどるといった雰囲気でした。
そういった意味では、明確に「面白い」というポイントがない映画です。
冒頭で「それなりに楽しく」と書いたのには、そういった背景もあります。
● 俳優
まずは、リチャード・ギアです。この人は主人公を演じていました。
年を取っても色気のある俳優ですが、若い頃のリチャード・ギアは「美男子」という言葉が本当にしっくりとくる感じでした。
こりゃあ、人気あるだろうなと思いました。
次はダイアン・レイン。
この人の演じるキャラは、大人に見える容姿を利用して、子供時代から色気を武器にしてのし上がってきた人です。
数年振りに再会した主人公が、まだ彼女の年齢が10代だと聞く場面があり、けっこう驚きました。十四歳ぐらいから、そういった手練手管で男を篭絡していたようでしたので。
そういった「自分の美しさで人生を操縦するキャラ」を、ダイアン・レインは美しく演じていました。
最後はボブ・ホスキンスです。
この人は、コットン・クラブのオーナーであるオウニーを演じていました。
このボブ・ホスキンスが、三谷幸喜にそっくりでした。そのため映画中、三谷幸喜がギャングのボスのように振舞っているように見えて、えらく違和感がありました。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレあり。話の流れを追うようにして、最後まで書いています)。
時は禁酒法時代。主人公はニューヨークの白人演奏家。彼はある日、たまたま入った酒場で、裏町のボスの一人を暗殺から助けることになる。また、一人の美しい女性と出会うことになる。
主人公は、ボスに目を掛けられるようになる。だがそれは、彼にとって迷惑だった。
しかし、主人公の弟はそのことを契機と思い、ボスの部下になる。また、主人公は、美しい女性がボスの愛人だと知る。
主人公と美しい女性は恋仲になる。主人公は、別の顔役である、コットン・クラブのオーナーに伝手を作り、その人脈でハリウッドに進出する。
主人公の弟は、ギャングの仕事に深入りして独立を目論む。弟は誘拐を行い、その後殺されてしまう。
主人公は数年振りにハリウッドから戻ってくる。美しい女性は、相変わらずボスの愛人のままであった。しかし、抗争の末、ボスは殺される。主人公は美しい女性を誘い、西海岸へと旅立つ。