映画「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」のDVDを一月上旬に見ました。
1985年の映画で、監督はマイケル・チミノ、脚本はオリヴァー・ストーンとマイケル・チミノ。原作はロバート・デイリー。主演はミッキー・ローク、敵役がジョン・ローンです。
ニューヨークのチャイナタウンに赴任してきた署長と、チャイナタウンの若きボスとの抗争を描いた一作。なかなか面白かったです。
● 影の主人公
この映画の主人公は、チャイナタウンに赴任してきた型破りな署長です。その敵役になるのは、チャイナタウンでのし上がろうとしている若いボスになります。
この物語ですが、実は影の主人公は若いボスの方だなあと思いました。
この手の話は、魅力的な敵を作れないと薄っぺらになってしまいます。そして、この映画の敵役はよく出来ているなと思いました。
● チャイナタウンの成り上がりストーリー
敵役がよく出来ているなと思う理由は、敵の肉付けがリアルタイムで行なわれていくことです。
普通の映画だと、敵は絶対的な強さを持っていて、徐々にその詳細や人間性が明らかになっていき、人間としての敵になって、主人公と相対します。
この映画では、敵は最初は単なる若手ですが、徐々に地位を得て、取り引きを広げ、権力を掴んでいき、最後には主人公の強大な敵として成立していきます。
この成り上がりストーリーが、世界を股にかける感じで、なかなか面白かったです。そして、この敵役の物語があるために、この映画の世界観が、非常にリッチなものになっているなと感じました。
● 警察
対する警察側は、かなりグダグダです。
主人公は汚職に手を染めず、徹底的に仕事をして、何度も表彰をされているやり手の刑事です。
しかし、妥協を許さないその仕事の姿勢から、警察上層部からは煙たがられています。なぜならば、政治的駆け引きを受け入れないから。
チャイナタウンの署長に赴任してきてから、彼は上層部から様々な圧力を受けます。しかし、そういった上の意向を無視して、捜査をどんどん進めます。
そのせいで主人公は大切なものを失います。この失うものは、映画の序盤で立っていたフラグの通りのものです。
こちら側は、わりとベタベタな感じのアメリカ映画の警察物という感じでした。
● 中国系の美人のお姉さん
主人公は、チャイナタウンの権力者に圧力をかけるためにマスコミを利用します。
そのマスコミとして、中国系の美人ニュースキャスターに接近します。中国系なので、チャイナタウンを叩いても反発を食わないだろうというのがその理由です。そして、大方の予想通り、彼女と恋仲になります。
まあ何というか、中盤は、ミッキー・ロークが、中国系の美人お姉さんに甘えるシーンが多かったです。
あと、東洋系の細身の女性は、脱ぐとあまり映画としては映えないなと思いました。服を着ている時の方がチャーミングでした。もう少し曲線のある女性だと違ったのでしょうが。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレあり。ラスト直前まで書いています)。
舞台はニューヨークのチャイナタウン。主人公は新しくこの町に赴任してきた署長。彼は型破りで、やり手の刑事として有名だった。
折りしもチャイナタウンでは、マフィアのボスが死んだ。そして若者たちが勝手に動いて勢力拡大を進めていた。
主人公はチャイナタウンに乗り込み、マフィアの幹部たちに釘を刺す。彼は賄賂などは受け取らずに、町の浄化を進めることを宣言する。
警察とマフィアは抗争状態に入る。そして、主人公は徹底的に揺さぶりをかける。彼は、中国系女性キャスターに近付き、マスコミからの攻撃も行なおうとする。その過程で、主人公と女性キャスターは男女の関係になる。
チャイナタウンのマフィアの上層部では、その影響でボスが代替わりした。最も若い男がボスになる。彼は実はボスを暗殺していた。彼は自身がのし上がるために、この機会を活用しようとする。
チャイナタウンは戦場のようになる。各地で銃撃戦が起こり、主人公も襲われる。
新しいボスは主人公を懐柔しようとする。しかし、主人公はその誘いを跳ね除ける。だがその結果として、主人公は妻を殺される。悲嘆に暮れ、復讐を誓う主人公を他所に、敵のボスは活動の場を広げる。
敵のボスは、東南アジアに飛び、麻薬の仕入れを拡大する。また、ライバル関係にあったカナダのチャイニーズマフィアのボスを亡き者にする。
敵は徐々に強大になっていく。主人公は盗聴を行い、尻尾を掴もうとする。そして、いよいよ麻薬が運び込まれる船を突き止める。主人公は単身乗り込み、敵のボスと決着をつけようとする……。