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2011年03月17日 19:53:03
カラーパープル
 映画「カラーパープル」のDVDを一月中旬に見ました。

 1985年の映画で、監督はスティーヴン・スピルバーグ、脚本はメノ・メイエス、原作はアリス・ウォーカー。主演はウーピー・ゴールドバーグです。

 四十年にわたる、ある黒人女性の半生を描いた作品。よく出来た佳作だと思いますが、ウーピー・ゴールドバーグ演じる主人公の若い頃が、妙にウザく、前半ちょっときつかったです。



● 映画のトーン

 この映画は、1900年台前半(1909年〜約40年間)の、ある黒人女性を主人公にした物語です。

 時代背景的に、黒人+女性ということで、差別のヒエラルキーとして下の方に置かれている感じですが、「黒人」ということよりも「女性」ということの比重の方が圧倒的に大きかったです。

 なぜならば、主人公は若い姉妹の姉で、十代半ばにして、父親の子供を二人産むところから物語がスタートするからです。

 そして、「妹が父親に犯されそうになるので、どうしようか」というところが、映画の冒頭部分になります。

 この時点で、主人公はかなり厳しい状況に置かれているのですが、映画のトーンはそれほど暗くはありません。どちらかというと、少し陽性ぐらいの感じで映画は進行していきます。

 これは、映画のテンポがよいことと、映画全体を貫くユーモアがあること、そして、主役を演じるウーピー・ゴールドバーグの持つ雰囲気が影響しているのかなと思いました。

 特にユーモアの部分はかなり気を使っているようで、不幸の中にも思わず「くすり」とできるユーモアが織り込まれており、なかなか面白かったです。



 以下、ネタバレのある感想を書きます。



● 四十年の描き方と伏線

 この映画は、主人公が無理やり嫁がされ、そこで下女のように扱われるところから動き出します。

 主人公の嫁ぎ先に、父親から逃げた妹がやって来て、そこでも妹が犯されそうになり、泣く泣く出奔するところが展開点になります。

 その別れ際、「手紙を書くからね!」と妹は言います。この妹の言葉を頼りに、延々と手紙を待ち続けるというのが映画の大きな枠組みになります。

 映画を大雑把に分けると、以下のようなフェイズに分かれます。

・姉妹の生活。妹との別離。

・届かない手紙。

・ロール・モデルとなる女性の登場。

・隠されていた手紙の発見。

・自立と再会。

 この映画は153分と、けっこう長いです。なので、映画を大きく分けると、30分×5フェイズぐらいに分かれます。

 映画全体を貫く伏線として「妹」と、その先触れとしての「手紙」があります。そして、この伏線を終盤解決することで、物語が収束するようになっています。これは、上手い物語の開始と終結方法だなと思いました。

 この、物語自体の枠組みの中で、主人公はロール・モデルとなる女性に出会い、自我が目覚め、自立します。なので、物語の構造的には、以下のようになっています。

┌姉妹の物語
├手紙を書くという宣言
│ ┌現状に甘んじる主人公
│ ├ロール・モデルを発見して変化する主人公
├手紙が届く
│ └自立して成功する主人公
└姉妹の再会

 上記のように、大きな枠組みとして姉妹の物語があり、その中で女性の自立の物語が存在しています。たぶん「姉妹」の方は舞台設定的なものであり、本題は「女性の自立」の方ではないかと思います。

 この映画の原作はピューリッツァー賞を受賞しているので、単に姉妹の話というよりは、後者の方に重きが置かれているのではないかと思いました。

 また、そういった賞とは関係なく、映画自体がこういった構造のように見えました。



● ウーピー・ゴールドバーグ演じる主人公

 この映画は、ウーピー・ゴールドバーグの映画デビュー作です。彼女は子供の頃から劇団に所属しており、若い頃から活躍し、ちょうどこの映画の時に、原作者のアリス・ウォーカーに認められて主役になったそうです。

 ウーピー・ゴールドバーグは、この映画で、少女から老婆までを演じています。

 この演技ですが、前半〜中盤は、かなりウザい感じでした。ウーピー・ゴールドバーグがウザいのか、彼女が演じるキャラがウザいのかは分かりません。

 これは、自己主張をしないのに、いつもニヤニヤしているせいかと思いました。私は基本的に、引っ込み思案でハキハキしない人にはイラつく性質なので、そう感じたのかもしれません。

 しかし、このキャラは、年とともに徐々に変換していきます。

 終盤、自立して以降の彼女は、雰囲気が変わり、非常に落ち着いた感じになります。

 こういった変化を感じるのは、演技によるものなのでしょうが、上手いなと思いました。

 ちなみにウーピー・ゴールドバーグは1955年生まれで、この映画は1985年の作品です。三十歳で、少女から老女までを演じたことになります。なかなか凄いなと思いました。



● 魅力的な女性キャラたち

 この映画には、主人公以外に、魅力的な女性キャラが二人出てきます。

 一人はソフィア。太っちょの肝っ玉女性という感じで、容姿は駄目だけど、見ていて清々しくなる好漢です。

 彼女は途中、不幸な目に遭い、一時期魂が抜けた状態になりますが、後に生気を取り戻します。

 もう一人はジャグという歌手です。彼女は、主人公の憧れになり、ロール・モデルになる女性です。

 奔放で自立しており、内面から輝いているような美しい女性です。主人公は、彼女のバックアップを受けて、最終的に自立します。

 彼女は父親の牧師と決裂しているのですが、終盤和解を獲得します。そのシーンがとてもよかったです。



● スティーヴン・スピルバーグの映像の上手さ

 しかしまあ、スピルバーグは映画が上手いなと思いました。

 淡々と話が進んでいるだけに見えるシーンも、とりあえず飽きさせずずっと画面を見続けさせます。

 この監督の凄いところは、面白い映画も、面白くない映画も、映画が流れている間は、画面を見続けさせるところだと思います。

 この映画は面白い方だったのですが、それでも150分超という長い時間なので、集中力を持続させるのは大変だと思います。

 スピルバーグの映画は、そのうちDVDを買って、細かくメモを取りながら見ないといけないなと思いました。



● 粗筋

 以下、粗筋です(ネタバレあり。最後まで書いています)。

 1900年台初頭。主人公は黒人の少女。彼女は父親に犯されて二人目の子供を産んでいた。彼女には一人の妹がいた。

 妹が成長するにつれ、父親の興味は妹に移っていく。主人公はそのことを危惧する。

 その頃、一人の男やもめが、妹を嫁に欲しいと言ってきた。その男は独善的で暴力的な人間だった。父親は妹を手元に置いておきたかったので、姉である主人公を代わりにやると答えた。

 主人公は男やもめの元に後妻として入る。その生活は下女のようなものだった。

 しばらく経ち、家を逃げ出した妹が主人公の許にやって来た。だが、この家の主人は、妹のことを狙っている。しばらくは平穏が続いたが、やがて主人は妹を襲おうとしだした。

 妹は反撃して、家を追い出される。「手紙を書くから!」という悲痛な叫びと共に、妹は主人公の許を去った。

 それから、主人公の受難の生活は続く。そしていつしか年月が経った。

 主人公は、旦那のことをミスターと呼んだ。そのミスターが惚れている歌手が、主人公の家に数日滞在した。最初、その歌手に「ブス」と言われて傷ついていた主人公だが、彼女の美しさや奔放さに憧れを抱くようになる。

 そして、彼女との交流を通して、徐々に自分というものを獲得していく。いつしか主人公は、ミスターの許を離れることを考え始める。

 しばらくして、歌手が主人公の家に訪れた時に、妹からの手紙を発見する。主人公と歌手は、ミスターのいない隙に家捜しをして、過去に届いていた手紙を全て入手する。

 そこでは、妹が元気に幸せに暮らしていることが書いてあった。彼女は牧師夫婦に拾われ、アフリカに行っていた。妹は、牧師の家の子供を育てていた。その子供たちこそ、里子に出された主人公の子供たちだった。

 主人公は、その幸せに勇気を与えられる。そして、歌手の助けを借りて、家を出て自立することを決める。

 主人公は自立し、実家の家屋を相続する。そして、仕立て屋を始めて成功する。

 時が経ち、妹たちがアフリカから戻ってきた。主人公は、妹と、そして子供たちと再会する。
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