2010年の読書のまとめ3月分です。
星による評価の基準については前述の通りです。
● 2010年03月(2冊/計10冊)
■01 伊勢物語 (角川ソフィア文庫—ビギナーズ・クラシックス)(坂口 由美子)(★★☆☆☆)
これはあれですね。アンソロジー本。
伊勢物語というのは、一人の人が書いた本ではなく、いろんな人がいろんなエピソードを書いたものが集積された作品です。
そういった意味では、民話などの形成に近いのでしょうが、個人的にはそれよりも現代の「アンソロジー本」に近い印象でした。
それは、「主人公」という魅力的なキャラがいて、そのキャラを利用して、いろんな人が物語を書くという形態だからです。
「これって、アンソロジー本じゃないの?」というのが、私の感想です。
というわけで、有名なエピソードも、そうでなエピソードもあって、この本はその中から重要度の高いエピソードをまとめたものでした。
なのでまあ、統一感はそれほどないです。それなりに楽しめましたが、物語文学成立の過渡期の形態なのだろうなという感想でした。
■15 火災鑑定—放火犯は自宅に火を放つ!(小林 良夫)(★★☆☆☆)
これはちょっと面白かったです。しかし、ページ数が薄く、例数が少ないので★を減らしました。
どんな本かと言うと、「保険の支払い」といった民事裁判で活躍する火災鑑定人の解説本です。
その現場がほとんど放火で(まあ、呼ばれる段階で放火の疑いありなのですが)、その放火を暴くための方法を色々と解説していきます。
放火犯は、何度も放火を繰り返すか、身内に火事にあった人が大量にいるので、すぐに分かるそうです。
一度味をしめて大金が入ってくれば、同じことを繰り返したり、仲間内で相談したりするので、そうなるのでしょう。
なので「放火だろう」というのは保険会社もすぐに分かり、それを「証明する」ために火災鑑定人が呼ばれるわけです。
消防とか警察の捜査は、人死にが出ない限りは真剣に調べないので、こういった人たちが綿密に調べるそうです。
こういった「特殊知識」系の話は好きなので、楽しんで読みました。
ただ、最初にも書きましたが、ぺらぺらの厚さの本なのですね。これで2倍ぐらい例数があれば、★が1つか2つ増えるのになと思いました。