2010年の読書のまとめ4月分です。
星による評価の基準については前述の通りです。
● 2010年04月(3冊/計13冊)
■08 ルポ資源大陸アフリカ—暴力が結ぶ貧困と繁栄(白戸 圭一)(
★★★★☆)
アフリカ駐在の経験を持つ毎日新聞の記者によるルポタージュ。
著者は、元々大学時代にアフリカ研究をしており、現地にもいた経験を持つそうです。そして大学卒業後に毎日新聞に入り、数年後にアフリカ駐在員になったとのこと。
これはかなりの良書でした。
アフリカの問題をアクティブに取材して告発しているだけでなく、その過程を綿密に記しています。
どういった裏ルートや人脈を使って取材対象に近付くかということが、かなり詳細に書かれています。それ自体が、読み物として面白かったです。
アフリカという地域を知るのにも役に立ちますし、混沌とした社会のモデルケースを知る意味でも勉強になります。歴史の勉強にもなります。
というわけで、読んでおいて損のない本だと思いました。
■13 「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち(大江 健三郎)(★★★☆☆)
大江健三郎は有名な人だし、氏の本を一度は読んでおこうかなと思って読んだ本です。
基本的にこの本は、半自伝みたいです。主人公=大江健三郎ということで、自分の経験を文章に書いたという体裁の本でした。
この本ですが、序盤悪文に悩まされました。かなりの悪文です。
悪文ということは本人も自覚しているようで、文章の中で「自分が悪文として有名だ」と書いていました。
そういったわけで、序盤は「読みにくいなあ」と思いながら読んでいたのですが、ハワイ(だったと思う)で、古い友人に出会ったくだりで、ぐっと引き込まれてしまいました。
格好良くないし、駄目な人間なんだけど、妙に心に突き刺さる人物が出てくるのです。
結果として「悪文だけど、なんか記憶に残る話を書く人だなあ」という印象を持ちました。そして、「他の本も読んでみたい」と思わされました。
というわけで、大江健三郎については、この後、もう一冊本を読むことになりました。
■29 アクアリウムの夜(稲生 平太郎)(★★★☆☆)
青春ホラーというジャンルの本だと思います。たぶん、中高生ぐらいの時に読むと非常に当てられそうな一冊。
でも、さすがにこの年になると、物語の中というよりは、外から話を読んでしまって、「上手いなあ」とは思いましたが、引き込まれることはなかったです。
本は出合う年齢が重要なので、この本はタイミングを外してしまったなというのが正直な感想です。