映画「ファンダンゴ」のDVDを二月下旬に見ました。
1985年の作品で、監督・脚本はケヴィン・レイノルズ。主演はケヴィン・コスナーです。
いわゆる若者のロードムービーです。映画は全体的に馬鹿馬鹿しくも楽しい雰囲気で満ちており、最後は切なさを残して終わりました。
よくできた佳作の映画でした。
ちなみにファンダンゴは、フラメンコ音楽・ダンスのひとつで、スペインのアンダルシア地方の民俗舞踊およびその舞曲だそうです。そこから転じて、馬鹿騒ぎといった意味もあるようです。
● ロードムービー
この映画は、アメリカ映画に脈々と受け継がれているロードムービーの一つです。
主人公たちは大学卒業を控えた青年たちで、車に乗って旅に出ます。そこで、様々なヤンチャなことをしながら、若者としての最後の時を過ごします。
車での移動に加えて、途中で飛行機の要素が入るのが面白いと思いました。飛行機は、移動手段ではなく、かなり飛び道具的に出てきます。
この飛行機に乗っている、始終ラリっているおじさんが面白かったです。
● ケヴィン・コスナー
映画が終わってしばらく経つと、ケヴィン・コスナーの顔しか記憶に残っていませんでした。特に、映画のラストで見せる切ない顔が、強烈に記憶に焼きつきました。
ケヴィン・コスナーは、この映画の頃は、まだ無名だったようです。
こういう存在感は、スターの要素なんだろうなと思いました。
以下、ネタバレが入ります。ネタバレが嫌な人は見ないで下さい。
● 切なさ
この映画は、ラスト直前まで、若者たちの馬鹿騒ぎで占められています。しかし、ラストだけは哀調を帯びたものになります。
旅の発端は、主人公の親友が「結婚をしない」と言い出したことでした。
その結婚の相手は、主人公のかつての恋人です。そして、映画のラスト間際で、友人が結婚式を決意したことで再会します。
主人公は、彼女と一曲だけ踊ります。その前後のケヴィン・コスナーの表情が、ともかく泣けます。ヤバイです。
実際、どうなんでしょう。かつての恋人が、親友と結婚する際の心境というのは。
私はそういった経験はないのですが、この映画の主人公のような表情をしたくなるものなのでしょうか。
その答えは私には分かりません。しかし、この映画の主人公の表情はぐっとくるものでした。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレあり。最後まで書いています)。
主人公は卒業を間近に控えた大学生。彼は友人たちと、これから結婚する親友のためにパーティーを開いていた。その席で、親友が結婚をしないといい始めた。
主人公は、そのお祝いとして、友人たちと連れ立って、車の旅に出ることに決める。
行く先は、かつて友人グループで高価な酒を埋めた場所である。そこに行く途中、車が壊れたり、ナンパをしたり、パラシュートの体験入学をしたりと、様々な馬鹿騒ぎをする。
彼らは、それぞれ社会に出て行くことを控えていた。兵士として戦場に行く者もいた。主人公たちは、それぞれの思いをぶつけ合う。
そして目的にたどり着く。親友は、やはり結婚すると決意を固める。そんな親友のために、主人公たちは見知らぬ街で、結婚式の準備をおこなう。そして、花嫁を呼び、手作りの結婚式を挙げる。
その夜のパーティーで、主人公は花嫁とダンスを踊る。主人公は、かつて花嫁と恋人同士だった。彼女は主人公への感情を断ち切り、親友の許へと嫁ぐ。主人公は、彼女への思いを胸に秘めたまま、自分の人生を歩き始める。