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2011年07月13日 16:26:32
暴走機関車
 映画「暴走機関車」のDVDを三月下旬に見ました。

 1985年の映画で、監督はアンドレイ・コンチャロフスキー、原案は黒澤明他、脚本はジョルジェ・ミリチェヴィク他、主演はジョン・ヴォイト、助演はエリック・ロバーツです。

 突っ込みどころはあるのですが、それを上回る緊迫感を味わえるよい映画でした。あと、語るべき点の多い映画だなと思いました。



● 二つの話のニコイチ

 この映画は、二つの話を無理矢理繋いだような作りになっています。

 一つは脱獄物です。もう一つは、暴走した乗り物に乗る話です(「スピード」(1994)などがこの系統です)。

 そしてこの映画では、この二つの結合に必然性がありません。というのも、脱獄した二人が、たまたま乗った列車の運転手が心臓発作で死んで暴走列車になるからです。

 また、この運転手の死に、脱獄者は関わっておらず、暴走していることも途中まで気付きません。

 映画自体は面白かったのですが、この話の接続はいただけないなあと思いました。

 ちなみに暴走の方は、列車をコントロールする管制室みたいなところが必死になって仕事をするという話になります。

 そのまま暴走を続けると、他の列車に激突したり、駅に突っ込んだり、化学プラントに突っ込んだりと、様々な問題が発生するからです。

 人が載っていなければ脱線して終わりにできるのですが、人(脱獄者+α)が機関車には乗っており、ジレンマに陥るという設定でした。



● ジョン・ヴォイト演じるマニーと、ジョン・P・ライアン演じるランケン所長の対立

 映画のフォーマットは、途中から完全に暴走物がメインになります。しかし、主人公の心の葛藤は、脱獄物の方で進みます。

 主人公は何度も脱獄を繰り返している男で、刑務所の所長と対立しています。

 この所長が、これでもかというほど嫌な奴で、さらにマッチョな精神構造を持っています。

 所長は、自分を虚仮にする主人公を、己のマッチョイズムで叩きのめすために、ヘリコプターで暴走機関車を追いかけて自ら銃を持って乗り込みます。

 この二人の対決が熱いです。

 また、主人公の心の変遷も非常によいです。

 最初は、孤高の脱獄の達人といった風情だったのですが、徐々にめっきが剥がれて来て、感情むき出しのわがままな男になっていきます。

 そして、極限状態の中で徐々に悟りの境地のようなところに達し、最後は完全なる自由を求める「真の孤高の男」に変貌します。

 その男が、雪の中を暴走する機関車の中で、世俗の悪意の象徴とも言えるような所長と対決します。

 かなり興奮する映画でした。



● 雪の中の機関車

 しかしまあ、機関車というのは見ごたえがありますね。それも、雪原の中を疾駆する機関車の重量感と存在感は半端ないです。

 映画には、何か一つ圧倒的に絵になる要素が欲しいところですが、この映画では「雪の中の機関車」がその役目を果たしてくれていると思いました。



● 黒澤明、アンドレイ・コンチャロフスキー

 この映画は、黒澤明が書いた脚本を元にして、アンドレイ・コンチャロフスキーが監督をしました。

 このアンドレイ・コンチャロフスキーという人は、ロシア出身の人で、「ワーニャ伯父さん」(1971)、「マリアの恋人」(1984)と、どちらかというと芸術寄りの映画監督といった感じだったと思うのですが、この映画では見事にアクション映画を作り上げています。

 たしかDVDの特典映像では、二転三転していて頓挫しそうになった企画で、監督が黒澤明のファンなのでメガホンを取ったという話をしていたと思います。

 それにしても、凄い作風が違います。たぶん、かなり転機になった作品なんじゃないかなと思いました。



● 粗筋

 以下、粗筋です(ネタバレあり。ラスト直前まで書いています)。

 主人公は刑務所に収監された囚人。彼は何度も脱獄を繰り返しており、囚人たちから一目置かれていた。

 彼は、高圧的な所長と対立していた。所長は主人公を亡き者にしようとしていた。

 刑務所は極寒の地にあった。主人公は計画を練って脱獄する。そんな彼に憧れる一人の若者が付いてきた。

 彼らは機関車に乗り込む。しかし、その運転手が心臓麻痺で死に、機関車は暴走列車と化した。

 鉄道会社の管制室では、列車の暴走に対する対処が始まる。最初は脱線を考えていたが、列車を確認した人間からの報告で、車内に人がいることが判明する。

 激突の瞬間を巧妙に先延ばしにしながら、彼らは情報を探る。

 そんな彼らの元に、一人の男がやって来た。刑務所の所長は、鉄道会社の社員を暴力で屈服させ、機関車の位置を確認してヘリコプターで移動する。

 車内では、主人公たちは女性乗務員を捕まえる。彼女は唯一機関車のことを知っている人間だった。

 彼女から話を聞き、暴走を止めるためには、最前列の車両まで行かなければならないことが分かる。だがその道は閉ざされていた。主人公たちは、車両の外伝いに行く計画を立てる。

 極限状態に追い込まれた主人公は、粗暴さを徐々に露にする。そして計画は頓挫し、徐々に死の瞬間が近付いてくる。

 そこに、「俺の手で貴様を殺す」といきり立つ、刑務所の所長がやって来た。彼は空から車両に乗り込み、主人公を殺害するために近付いてくる……。
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