映画「アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ」のDVDを四月上旬に見ました。
2009年の映画で、監督はパトリック・アレサンドラン、製作・脚本はリュック・ベッソン。主演はシリル・ラファエリとダヴィッド・ベルです。
面白いのは面白かったけど、主人公の一人であるレイトの、事件への関わり方が少し微妙だよなと思いました。
● 肉体アクション健在
前作の「アルティメット」(2004)はCGなしのガチアクションで話題を呼びました。
今回もその味は健在です。相変わらず流れるようなパフォーマンスで追いかけっこをしたり、格闘したりします。
もうなんというか、華麗なダンスを見ているような感じです。時間も100分程度と短めなので、アクションを純粋に楽しめる映画として、息抜きにちょうどよい感じでした。
● レイトの事件へのかかわり方
さて、この映画には二人の主人公が出てきます。一人は体制側の潜入捜査官ダミアン、もう一人は犯罪多発地区の正義漢レイトです。
本作は続編物になるのですが、このレイトの事件への関わり方がちょっと微妙でした。
レイトの視点では、「巻き込まれ型の話」になるのですが、映画もだいぶ進んだところで、知り合いが持ってきた動画で巻き込まれます。
一応物語に関わる動機が用意されてはいるのですが、前作のように「妹を救う」といった分かりやすい目標がなく、ちょっと弱いと感じました。
たぶん原因は「集団を代表させる個人」を出していないからだと思います。
本作では主人公は、「犯罪多発地区の人々を救う」という動機を後付けで付加されます。しかし「人々」という抽象的なものは、モチベーションとしては弱いです。
ここは、映画の定石として「人々」を代表する「守らなければならない私にとって大切な個人」を出すべきだったと思います。
● ボス勢ぞろいという演出
この映画は後半、犯罪多発地区のボスが勢ぞろいして協力するという設定を取っています。
こういった分かりやすい演出は燃えます。ただ、その活躍のウェイトには大きなばらつきがあります。
ハッカー集団の女ボスであるタオが一番活躍して、他はしょぼしょぼという感じでした。
もう少し派手に他のボスも活躍させてよかったのではないかと思います。
ただ、「殺さないことを目指す」というシナリオだったので、そういった部分はやりにくかったのかもしれません。
そういった意味で、少し敵側に工夫(徹底的に破壊してよい敵を出す)があればよかったと思いました。
● ストーリーの伏線と映像の伏線
この映画では、映像の伏線によって話が進む部分があります。
観客が映像として見せられていて、物語とは関係ないけど「見ているから納得」という伏線です。
これは映画では許されるけど、メディアの種類によってはあまり許されない演出だよなと思いました。
● 粗筋
以下、粗筋です(中盤ぐらいまで書いています)。
主人公は潜入捜査官。彼は正義感が強く、不正を許さない男だった。ある日、彼はなぜか逮捕される。身に覚えのない拘束を受け、そこに陰謀の臭いを嗅ぎ取る。
潜入捜査官は、かつてともに戦った、犯罪多発地域の男に助けを求める。
その頃、街では一つの事件が起こっていた。犯罪多発地域で警察官の車が襲撃されたという事件だ。
だがそこには裏があった。その地域の再開発を狙う一味が、地域の一掃を画策して起こした偽事件だった。
その首謀者こそが、潜入捜査官を逮捕させた男だった。敵は、自分の企みに気付いて邪魔しそうな潜入捜査官を、あらかじめ排除していたのだ。
事件の真相を撮影した青年は警察に追われる。彼は知人である犯罪多発地域の人間に映像を託す。その人物こそが、潜入捜査官が助けを求めた男だった。
自分たちが住んでいる地域が危機に瀕している。そのことを知った男は、潜入捜査官を救うために、単身刑務所へと侵入する。