映画「ギャラクシー・クエスト」のDVDを四月中旬に見ました。
1999年の作品で、監督はディーン・パリソット、脚本はロバート・ゴードン、原案はデヴィッド・ハワード。主演はティム・アレン、脇を固めるのは、シガーニー・ウィーヴァー、アラン・リックマン他。
いやあ〜〜〜〜。よい映画です。
SFファンは、みんな見た方がよい映画です。スタートレックのファンならたぶんストライクゾーンど真ん中、そうでない人でもSF好きな人は、きっとニヤニヤが止まらなく楽しめる、素敵パロディSF大作です。
以下、けっこうネタバレ満載で感想を書きます。
● スタートレック・オマージュ
この映画は、徹頭徹尾スタートレック・オマージュです。
映画の主人公たちは、スタートレックの俳優的立場の人々です。そして、ファン達のイベント会場に行ってサインなどをしています。
その熱狂ぶりやコスプレなどの様子は、そのままスタートレックのファンたちです。
でも、この映画は、現実とは少し違います。映画では、大ヒット作品ではあるものの、続編は作られておらず、俳優たちはファン・イベントでのサイン代などで糊口を凌いでいます。
そして、そういった生活に嫌気がさしているメンバーもいます。彼らは、そういった俳優たちの気持ちを読めず、無邪気に喜んでいるからです。
こういった風に、この映画は前半、スタートレック・マニアの人たちを少し斜に見るような部分があります。(これはラスト付近で逆転します)
● SF映画の役者が本当の宇宙戦争にスカウト
そんな主人公たちが、なぜか本当の宇宙戦争にスカウトされるというのがこの映画の醍醐味です。
テレビで放送された番組「ギャラクシー・クエスト」を、嘘を知らない宇宙人の一族が「真実のドキュメンタリー」として真に受けてしまうのです。
彼らは惑星を滅ぼされ、一族滅亡の危機に瀕しています。そして、テレビ番組を元に、そっくりな軍隊と宇宙船を開発してしまったのです。
そんな宇宙人たちに、主人公たちは「救世主」としてスカウトされます。
そして、「偽者」の俳優たちが、宇宙の一族を救う戦いで「本物」になることを要求されるのです。
これがすこぶる面白かったです。
やけに乗り気な船長。早く逃げたくてたまらない、ミスタースポック的立場の俳優。その他、それぞれが自分たちの立場に揺れ動きながら、無事の帰還を目指して頑張ります。
● 無駄に豪華な俳優陣
一番笑ったのは、シガーニー・ウィーヴァーです。
おっぱい担当で、言われたことを繰り返すだけの通信士の役です。どれだけ豪華な使い方なんだよと思いました。本人ノリノリだし。
アラン・リックマンも、卓越した演技力で、被り物担当だし。
そういった意味でも楽しめる映画でした。
● SFオタクが世界を救う
さて、映画の前半では、SFファンたちを「空気を読めない感じのオタク」として描いていました。
しかし後半、彼らの立場が逆転します。
主人公たちは、「テレビ番組そっくり」に作られた宇宙船の船内を、大立ち回りで冒険しなければならなくなります。
その優秀なナビゲーターとして、SFファンたちの知識が総動員されます。
現実世界で何の役にも立たない無駄知識が、多くの人々を救う決定打になるのです。
いやあ、楽しいです。
そして、それを阻止する「障害」が、母親の「早くゴミを捨てて来なさい!」という言い付けだったりします。
もう楽しくてたまらない。
SFファンの「いつか来るかもしれない非日常」という感じで非常によかったです。
● 心憎い仕掛け
映画のラストには心憎い演出があります。
テレビ版ギャラクシー・クエストで、端役でしか登場したことがなく、なぜか宇宙船に乗り込むことになった売れない俳優に脚光が当たります。
この事件で仲良くなった俳優たちが、映画版ギャラクシー・クエストを作ることになります。
その際に、「共に戦った仲間」として、彼を「新キャラクター登場!警備主任」という感じで抜擢するのです。
心憎い演出だなと思いました。
最後まで楽しく見ることのできる映画でした。
● 粗筋
以下、粗筋です(中盤ぐらいまで書いています)。
主人公たちはギャラクシー・クエストという往年のテレビドラマに出ていた俳優たち。
SFファンの心を掴んだその番組の人気のおかげで、今でも当時のコスプレをしてイベントに出ることが続いている。だが彼らの中には、そんな状況に嫌気がさしている者もいた。
ある日、船長役の俳優が宇宙船に招待される。彼らは嘘を知らない民族で、テレビ番組をドキュメンタリーだと思い、船長に助けを求めてきた。
彼らはテレビ番組そっくりの宇宙船を作り上げていた。
地球に戻った船長は、意気揚々として仲間を誘う。そして彼らは宇宙船に転送される。
宇宙船を作り上げた宇宙人たちは滅亡の危機に瀕していた。彼らは凶悪な宇宙人たちの攻撃を受けていた。
自分たちはただの俳優だ……。
船長以外の俳優たちは恐れ戦く。だが状況はどんどん悪化していき、彼らは本物の英雄として敵宇宙人と戦うことを要求されていく……。